藤岡みなみ|思い立ったがDIY吉日<vol.51>

藤岡みなみ|思い立ったがDIY吉日<vol.51>

タレントの藤岡みなみさんが、モノづくりに対してのあれこれをつづるコラム連載!題字ももちろん本人。可愛くもシュールな世界観には、思わず引き込まれちゃいます。今回は、バスボール作りにチャレンジ!

藤岡みなみ

タレント、エッセイスト。タイムトラベル専門書店 utouto店主。縄文時代と四川料理が好き。やってみたがり。
ブログ:藤岡みなみ 熊猫百貨店
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欲しいものを買ってあげたい、しかし……

初めてでも簡単だったバスボール作り。

息子が何を言っているのかよくわからない。2歳半、おしゃべりのレパートリーが毎日どんどん増えてきた。ある日、「ちゃんえぬのーろく……よよくね?」と繰り返し言っているのでなにかと思ってよく聞いてみると「チャンネル登録よろしくね」と言いたいようだった。驚き、焦った。あまり長時間見せないように気をつけてはいるけれど、YouTubeの影響力は絶大だ。

そして別の日、「ぼすぼうやる」とまた不明なことを言っているので集中して聞くとどうやら「バスボール」がやりたいらしい。球体の入浴剤で、お湯に入れると泡を出しながら溶けて中からおもちゃが出てくるやつだ。バスボールで一緒に遊んだことはなく、完全に彼が自分で仕入れてきた情報だったので感心した。そして、ちゃんと自分からやりたいと主張できたのはえらいので、ここはひとつ大人の力でバスボールを買って喜ばせようと思った。

さっそくネットでバスボールを検索してみる。む!むむむむむ! た、高いぞ。1つ500円くらいするではないか。お風呂2回分で1000円。すぐ泡となる運命なのに……う〜ん、やっぱりちょっとやめとく〜?大人の力、かよわし。

身近な材料でできるのが嬉しい。

粘り強くネットでバスボールの最安値を調べるうち、どうやらDIYできるらしいという情報にたどり着いた。しかも汎用的な材料でできるから、材料費もあまり気にならなそうだ。よし待ってな、母ちゃんが「ぼすぼう」を作ってやるぞ。

 

バスボールは諸行無常を教えてくれる

主な材料は重曹、クエン酸、片栗粉。これを2:1:1の割合で混ぜる。どれも掃除や料理にも使えるものだから嬉しい。食紅で色をつけたり、好きな香りのアロマオイルを混ぜたりしても楽しい。霧吹きや小さいスプーンで水をほんの少しずつ足して、指で押したら固まる状態にする。おかし作り用のシリコン型やガチャガチャのボールなど好きな型にぎゅうぎゅう押し込んで、中に小さいおもちゃを入れる。1日以上乾かして完成。作ってすぐ遊べるわけではなく、しっかり乾かす時間が必要だ。作っているときにバレて邪魔されたり急かされたりしないよう、昼寝の時間にコソコソ作業した。もう少し大きくなったら一緒に作りたいな。

中におもちゃが入っていることが重要。

翌日、乾いていることを確認してそっと型からはずしてみる。初めてだから失敗しても仕方ないと思ったけれど、予想に反してかなりいい出来だった。これは……500円しそう!さっそく遊びたくて(私が)、いつもより2時間早く息子をお風呂に誘った。

これは500円しそう(しつこい)。

「アァー!ぼすぼうう!」と期待通り驚いてくれて嬉しかったが、あまりよく眺めもせずにいきなり水の中に投げ込み、手作りバスボールは10秒で泡となって消えた。あっけな……。中に入れておいたウニ軍艦の消しゴムが出てきたので、見てごらん、ウニだよ?!と盛り上げるも、すでに次のバスボールを掴んで投げ込むところだった。頼む、もっとゆっくり楽しんでくれ。食紅で色付けしてマーブル模様になっているところとかオシャレポイントなのに。どんどん消えていくから気が気ではない。溶けるたびにふんわり広がるアロマオイルの香りが唯一私を落ち着かせてくれた。

あー!お待ちくださいお客様ー!

そのあともカレーライスやいちごタルトの消しゴムが中から出てきたときにはかなり喜んでくれていたが、私が自分の趣味全開でアンモナイトや土偶を入れた「考古バスボール」はピンとこなかったようで、すがすがしいくらい無反応だった。それにしても1日乾かして10秒で消えるのは切ない。そうか、親の心子知らず、とは先人がバスボール作りの最中に考えた言葉だったのか(違う)。

 

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