パンマニアが案内!盛岡市は一度は訪れたい「パンの町」だった
10,000個以上のパンを食べ歩いてきた、旅するパンマニア片山智香子です。美味しいパンがあると聞けば、多少遠くても足を運ばずにはいられない性格。今回は、コッペパンブームのきっかけにもなった「福田パン」がある盛岡まで行ってきました。
JR東京駅
こまちとの併結部分に萌える
JR東京駅から東北新幹線「はやぶさ」で約2時間15分、JR盛岡駅へ向かう。
はやぶさは、盛岡駅まで「こまち」と併結されている。発車時間が迫りバタバタしてはいたが、列車好きとしては思わず連結部分に目がとまってしまった。色合いといいフォルムといい、萌える。
いなだ珈琲舎
喫茶店で頂く絶品ホットサンド
11月の盛岡は凍えるほどではなく、引き締まるくらいの寒さが逆に心地よい。盛岡駅から市内地までは、街並みを堪能しながら散歩がてら歩くには丁度よい距離。最初の目的地である「いなだ珈琲舎」までは徒歩で向かった。
盛岡駅から徒歩で約30分、「盛岡劇場・河南公民館」の目の前にあるいなだ珈琲舎では、
モーニングが落ち着いた時間帯に伺ったこともあり、マスターとゆっくりお話ができた。
煎った後はもちろん、生豆時から豆の状態を確認し丁寧に選別した自家焙煎の珈琲が楽しめる。毎日飲んでも飽きのこないものを目指しているという珈琲は余韻まで美味しかった。
珈琲同様にこだわって提供されている「ホットサンドセット」は、ひと口目からそのこだわりが分かる。さっくりしていながらも弾力もあるハードトーストはミミまで一体感がある。ハム、キュウリとともにサンドされている玉子は、奥州市の菊地農場のものを使用。特筆すべきはパンに塗られたマスタードバターとカクテルソースだ。程よい塩味と辛味がパン生地に染み込み、素材の旨味をうまく引き出している。
穀
材料へのこだわりが半端ない
再び盛岡駅方面に戻ること徒歩約17分、盛岡城跡のそばにある「穀」へ向かう。お店は通りに面しているが、ガラス扉に店名が書かれているだけなのでご注意を。
店内は広く、常時、厳選された10種類程度のパンが並ぶ。こちらの最大の特徴は、可能な限り国産小麦を使っていることだろう。ライ麦などは海外のものだが有機栽培のものを使っているそうだ。私自身、粉ヲタでもあるので店内で粉袋を見かけると異常にテンションがあがる。北海道産が大半なようだが、「ゆきちから」や「もち姫」は岩手県産のものらしい。もち姫という粉があることを今回初めて知ったので、それだけでも嬉しい。
こちらで購入したのは「イチジク&クルミ」と「豆パン」。イチジク&クルミは、人気があるというカンパーニュ生地(フランス語で田舎風のパンを意味する)に、有機白いちじくとローストした有機クルミを使用。イチジクのじんわり広がる優しい甘味に香ばしいクルミが加わり、それだけでも美味しい。このカンパーニュは全粒粉が加わることで、より味わいが深まり、粉自体の力強さも感じる。
甘納豆を練りこんだ豆パンは、ひと口目から甘味を感じる。イタリア語でスリッパを意味するチャバタ生地は外側はさっくりしているのに、内側がしっとりしていて、そのコントラストがやみつきになる美味しさだ。
パンが目的とはいえ、せっかく盛岡まできたので「盛岡城跡公園」にも寄ってみた。ここは日本100名城にも選ばれており、とにもかくにも紅葉が綺麗で驚いた。石川啄木の歌碑などもあるので、風景を楽しみながらぶらり散歩してみるのも楽しい。
本日最後は、Bakery &Cafe tuk-tukへ向かう。盛岡駅からIGRいわて銀河鉄道で1駅、最寄駅の青山駅へ。銀河鉄道というネーミングに岩手を感じる。
Bakery&Cafe tuk-tuk
ハード系のパンに定評あり
青山駅から徒歩で約15分のところに「Bakery&Cafe tuk-tuk」はある。自家製の酵母と風味豊かな岩手県南部小麦を使ったハード系のパンが並び、どれも美味しそうだ。
こちらのお店に伺った目的のひとつが、盛岡の「美味いもんアンバサダー」の認定商品「盛岡黒平豆パン」だったが午後に伺ったこともあり売り切れだった。その代わりに「ショコラカヌレ」「あんバター」「レーズン」を購入。
カヌレはカカオの香りが鼻腔をくすぐる。中が生チョコっぽい仕上がりなので食感が面白い。あんバターは、卵と乳製品は使用せず、バターではなく豆乳クリームバターでヘルシーに。ほんのり甘い餡子と塩味が混ざり合い、甘じょっぱい味わいがたまらない。さらに、キメのつまった生地にたっぷり入っているレーズン。もしかしたら、レーズンがtuk-tukのパンを一番堪能できるのかもしれない。それくらい素材の味わいを感じることができるパンだった。
すっかりあたりも暗くなってきたので、1日目のパン屋さん巡りはこのくらいにして、ホテルへ向かう。今回は盛岡駅の目の前、「ホテルメトロポリタン盛岡」に宿泊した。
福田パン 長田町本店
唯一無二のコッペパンここにあり!
2日目の朝は早起きして「福田パン 長田町本店」へ向かう。盛岡駅から徒歩で約11分。まだ日が昇りきっておらず、うっすら朝焼けしている岩手山。川のせせらぎも耳に心地よく、何を食べようか到着する前から心躍る。
福田パンはコッペパンブームのきっかけになったお店として知られる。店内はカウンタースタイルになっており、おしながきに書かれている中から選ぶ。具は2種類まで組み合わせ可能だが、今回は初めてなのでカスタマイズはせず、惣菜系から「エビカツ」「ごぼうサラダ(ポテトサラダ入り)」、限定品の「田野畑山地酪農牛乳クリーム」を選んだ。
まずコッペパンがめちゃくちゃ美味しい。手のひらよりも大きく持ってみるとずっしりくるのだが、口あたりが滑らかで軽い食感なのだ。エビカツは、エビのぷりぷりした食感、千切りしたキャベツ、ソースと辛子マヨネーズがじゅわりと口内に広がる。ごぼうサラダは、シャッキリしたごぼうの歯ごたえがよく、それだけでも美味しいのだが、さらにポテトサラダも入っているので、全体がよりまろやかになっている。田野畑山地酪農牛乳クリームは、ミルクが濃厚! 牛乳の旨味だけがギュッとつまっている感じ。ジャムとの組み合わせも楽しめるようだが、このまま純粋に牛乳クリームを堪能して欲しい一品。
PanoPano 盛岡向中野店
石窯オーブンで焼かれたパンが100種類
旅の最後に向かうのは「PanoPano 盛岡向中野店」。盛岡駅から岩手県交通のバスで約25分、向中野五丁目停留所で下車し徒歩約1分。レンガ造りの外観は可愛らしくテラスでのんびりパンを頂くことができる。
石窯オーブンがあり、パンは100種類以上ならぶ。奥には厨房も見えるのでその躍動感も楽しい。
こちらで購入したのは不動の人気だという「自家炊きカレーパン」に、女性に人気のある「サバサンド」、岩手県産「もち姫」を使用したという「もちチーズ」の3つ。ちなみに「もち姫」とは岩手県産もち性小麦のことで、それら岩手県産小麦を100%使用した「もち姫食パンいわて100」も人気があるらしい。
どれも美味しいのだが、サバサンドのポテンシャルの高さに驚いた。サバの油分をレタスと玉ねぎがさっぱり仕上げてくれている。セミハードなパンはそれ自体でも美味しいのに脇役に徹して、サバの旨味を引き立てていた。
今回、5つの店のパンを食べ歩いてみて感じた、それぞれのこだわり。盛岡というと、わんこそばや冷麺など「麺」が名物なイメージがあるが、地元の粉を使ったパンも多く、その一つ一つが本当に美味しい。これからさらに、盛岡のパンが注目を浴びるのではないだろうか。いや、そうあって欲しい。
東京駅
掲載情報は2021年1月14日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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