京都・笠置「日本で2番目に人口が少ない町」を旅してみたら・・・(後編)
人口1250人の町、京都府最南端の町、笠置町。人口減少著しいこの町を旅した後編。自然あふれるアウトドアスポットや鉄道ファンの聖地、町が抱える人口問題なども紹介する。
■アウトドアで人気、初心者から上級者まで楽しめる
笠置は自然が豊富なだけあり、アウトドアスポーツで人気が高い。町の真ん中を流れる木津川は水流が穏やかで、カヌーが楽しめる。スクールも開催されているので、初心者にもおすすめという(3月から11月開催、事前要予約)
また、木津川ではアユをはじめ、コイやフナ、ブラックバス、ウナギなどが釣れると、釣り人にも人気。巨岩や奇岩を利用したボルダリングは初心者から上級者まで通年で楽しめる。自信がなければ、巨岩群のそばにある「東海自然道」を散策するだけでも楽しい。
木津川にかかる「潜没橋」も見どころの1つ。柵がない橋は慣れていないと通るたびにいつも緊張するが、地元の人々は車でも平気で走って通って行くからすごい。
■鉄道にファンおなじみ、桜と列車のコラボ撮影
笠置町で最も田舎らしい場所、飛鳥路付近や東海自然道を歩いていてふと気づいたのが、JRの線路がとても近いこと。
関西本線の亀山~加茂で、電車の本数は日中、上下それぞれ1時間に1本。車両は1両(2両の場合もある)で、非電化区間かつ、電線などの人工物がとても少ない上、山と川という自然の中を走る光景は、ローカルな鉄道写真そのもの。
特に、桜が咲く時期は、線路沿いに咲く桜のトンネルを列車が通過する光景を撮影しようと、関西一円から鉄道ファンが集まるという。特に、駅の跨線橋から撮るのが人気スポットであるほか、駅から歩いて行ける木津川にかかる橋からも桜と列車が撮影できる。 ※鉄道撮影はくれぐれもマナー厳守で!
笠置町は、町のシンボル的存在の笠置山など豊かな自然や歴史スポットなど、観光の見どころは多い。ただ、人口減少と高齢化などの問題は深刻で、人口が戦後のピーク時で3344人だったのが、いまや1250人。しかも、65歳以上の高齢化率が50%近くを占める。
町にはコンビニが町の入口に1軒あるのみで、大きなスーパーなどはない。駅前の商店街は大半がシャッターを閉じており、活気も感じられなかった。駅から徒歩5分の温浴施設は閉館。かつて賑わった旅館やホテルなどが“廃墟”となっている光景も見られた。現在、町内での宿泊施設もピーク時より少なく、道の駅などもないため、旅行客に便利とは正直、言い難い。
一方、木津川の河川敷にあるキャンプ場のみ、平日でもテントがまばらに張られ、休日はさらに多くの人が訪れるほど人気だ(新型コロナの影響で、2021年1月12日8時まで一時閉鎖)キャンプ場がさらに整備され、駅周辺にキャンプ用品などのレンタル場所やコンビニなどができ、トイレも改装されれば、もっと集客できるだろう。
何度も述べてきた通り、交通アクセスは良い。それを生かし、小さい町ならではのフットワークで観光の発信を一本化し、自然とアウトドア、グルメや土産、歴史などの観光資源を、それぞれ集客したいターゲットを明確にしてバランスよく紹介し続ければ、自然に癒されたい都会人、町を訪れるリピーターも増えるのではないかと思う。
山里の風景、空気もきれいで、身も心もリフレッシュできる。手つかずの大自然が満喫できる町、笠置町は日帰りや近場への旅行先としておすすめだ。
京都府笠置町
https://www.town.kasagi.lg.jp/
(Written by A. Shikama)
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