2020年、ビジネスのここが変わった!? 「新たなクロスボーダー戦略・国内M&Aの現状とこれから」 専門家が語る、ウェビナー開催!

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中小企業においては経営者の高齢化や人手不足といったさまざまな問題があります。このような状況の中で、中小企業のM&Aの件数は、近年増加傾向にあります。

最近では、企業向けソフトウエア大手の米セールスフォース・ドットコムは1日、ビジネスチャットを手掛ける米スラック・テクノロジーズを買収すると発表しました。

新型コロナウイルスが世界中で未だ猛威を振っていますが、全体のM&A活動は徐々に回復傾向にあります。

グローバルでM&A専門家にSaaSプラットフォームを提供するDatasiteが、世界65の拠点で展開されるイギリス発のM&A専門のグローバルメディア「Mergermarket」 と共に、2020年日本市場のM&Aの振り返りや来年の市場予測について、11月26日(木)にウェビナーを開催。
今回のウェビナーでは、より詳細な日本市場第3四半期の振り返りを含め、最近の日本市場のM&Aトレンド・傾向、日本企業が海外M&A市場に参入する際に注意すべき点や、2021年の市場予測などのテーマについて、M&A専門家が議論致しました。

①本年の日本のM&Aの動向について
近年の国内M&Aの動向はインアウトが伸びていました。しかし、今回のコロナに影響により、2020年上半期はクロスボーダーの取引が中止・保留により滞っていました。下半期は再開と新たなツールを用いての取引変化が生まれ上場の傾向にあります。
①動向

 

②日本のM&AとクロスボーダーM&Aの現状は?

【林氏】
10年前と比べて、M&Aの市場は競争力・成長力は上がっています。
その要因は2つあります。クロスボーダー化の加速海外における入札案件の増加です。こうした増加に伴い、問題点もあります。出し手が平面的かつ限定的な情報提供であること、時間的制限があること。これらの課題は今回のコロナ下で改善されました。

③パンデミック前後におけるM&A戦略は?

【赤井氏】
コロナのシーズンを大きく二つに分けてお伝えします。日本の緊急事態宣言を軸にそれより以前を『コロナ前期』、それ以降を『コロナ後期』とここでは置きます。
まず『コロナ前期』ですが、それまで進んでいた取引・交渉が延期になり、新規の案件はありませんでした。しかし、『コロナ後期』では、それまで止まっていた案件が動き出し、新規案件が多くなりました。さらには、コロナ後期から経営者の思考が大きく変わりました。

【志村氏】
コロナを経験した今、これまで以上に意思決定・スピードが重要になりました。これまでの対面で話し合わなければならなかったことが、リモートの出現により案件の進行スピードが上がりました。特に、クロスボーダー案件はデジタル化が当たり前になりました。

【清水氏】
M&Aはスムーズ、スピードかつリモートであることが重要になりました。弊社のDatasiteではAIを利用しています。まず1つ目が、自動翻訳機能です。12ヶ国語に対応でき、外国語の資料を瞬時に読み取ることが出来ます。2つ目は、マスキング機能です。検索機能を用いることにより、色塗りされた文面をメール・文書から検出することができます。以上のAI機能を駆使することで安全・安心・リーズナブル・スピードにクロスボーダー案件を消化しています。テクノロジーの融合は必要不可欠です。
④今後の国内M&Aは?

【赤井氏】
コロナが一番のドライバーになって、業界再編が余儀無くされています。中でも上場子会社が非常に重要になります。戦略ですが2つ在ります。1つ目はコアの事業であれば完全子会社化にすること。2つ目はもしノンコアであるならばMBOもしくは売却することです。こちら今、最もホットな領域ですのでMBOの解説致します。上場のメリット・デメリット経営者が考え直した時にデメリットの方が多いことに思い悩むケースが多くなっています。先程、上場子会社の話が出ましたが、上場の関連会社の範囲も広がり活発な議論が出ています。

【石井】
上場意義の見直しが重要になっていきます。MBOに関わらず今後起こり得る業界再編の点でもPEファンドの果たす役割は非常に需要だと思いますがいかがでしょうか?

【赤井氏】
PEファンドは重要な役割だと思っています。上場子会社の経営の方とお話しする機会がありますが、もしノンコアで同業競合他社に売却されるのあればPEファンドの資金を使って再建する試みがあります。とういうのも、MBOにすることによって非公開化し、PEファンドを活用する動きが業界で現れています。このことは、PEファンドの捉え方がプラスになっていることが読み取れます。

【林氏】
企業を経営することは、リスク管理・スピードが非常に重要な戦略になります。PEファンドを用いることで重要な役割を果たし、状況が変わります。

【石井】
少しトピックが変わりますが、今後コロナの影響により銀行の融資引き締め、財務状況・経営破綻の可能性も出てくるかと思いますが、国内外M&Aの再編にも影響もあるかと思いますが注目されている投資機会はあるのでしょうか。

【林氏】
手元の資金を固めた上で、戦略的な思考のステップは重要です。厳しい状況下ではありますが、ヒト・モノ・時間を配分することがキーワードになります。そうした上で、どういった再編機会・投資機会があるか考えてみますと大きく分けて2つあります。1つがものづくり企業に関しまして、生産拠点の移転あるいは配合。2つ目はサプライチェーンの見直しです。今後はより一層スピードと攻めの姿勢サプライチェーンの見直しが重要になります。

【赤井氏】
採算部門を売却してしまうと競合になりがちで交渉が難しいのが特徴です。ファンドに関してですが、特定のセクターに関して言いますとオールアップ戦略のファンドが多いことが最近の特徴になります。採算部門以外では企業の利益・競争力もあるがノンコアである場合、売却、売り手側が想像していたよりも額が高い。時価総額以上を超えてしまう。と言った問題を我々アドバイザーが関与する必要があります。以上のことから対象企業の意向が非常に重要になります。

【石井】
国内M&Aは不採算事業、上場企業、上場関連会社、アクティビスト、ノンコアなど多くの事象が同時進行していることがわかりました。国内M&Aの動き方の変化をお願い致します。

【志村氏】
敵対的買収、対向提案をけしからん、お作法が悪いという風潮は以前よりも低下しています。しかし、ある会社がオンセールの場合、自社がより良い対向提案を出すことができない・全く検討していないということが現れてきます。その場合、取締役の責任に繋がることが今後起こり得ると思います。そうすると、ある意味赤井さんの究極的な売却防衛策・上場企業である意義の再建、MBOが今後、増えてくると思います。

【石井】
先程、志村さんがおっしゃっていました敵対的TBOの検討は徐々に現れています。その背景ですが、日本企業のコーポレートガバナンスも一要因なのでばないかと思います。

【赤井氏】
日本企業のコーポレートガバナンスの進化は非常に目覚ましいです。特に大きい売却・買収案件の際、社外取締役の方と売り手側の意向を擦り合わせることが重要かつ必須になります。敵対的買収についてはグローバルな活動はアクティビストに委ねられているかなと思います。アクティビストは企業価値を向上させないが、ここの採算部門を売却・IPOにした方が良い。又、成長のためには、定めたターゲットを吸収すると時価総額が上がります。海外ではアクティビストもイグゼクティブをおこなっています。こういうことが日本でも起こってくることを予想しています。

コロナ禍に対する変化・成長とともに、コーポレートガバナンスの改革・改善が国内成長に繋がり、M&Aの変化に後押ししていることがわかりました。
また今回のウェビナーは開催中、視聴者にアンケートも実施致しました。その結果は下記の通りです。

アンケート1
アンケート2

どうやら視聴者も、2021年以降のM&A市場に関しては前向きに捉えている方が多いようですね。
登壇者プロフィール

石井 秀幸(司会)
株式会社 KPMG FAS
執行役員パートナー ディールアドバイザリー、M&A
UBS証券を経て、独立系M&Aアドバイザリー会社のフロンティア・マネジメントにてアジア(含むインド)と日本間のクロスボーダーM&Aおよびコンサルティング事業の立ち上げ(含む、主要国各国の投資銀行・M&Aアドバイザリー会社等との提携・連携推進)、案件開発・案件執行を統括。

赤井 雄一
大和証券株式会社
グローバル・インベストメント・バンキング共同本部長 専務取締役
1989年から2009年までの20年近くにわたり、M&Aアドバイザリー業務に従事し、多数のクロスボーダー案件、経営統合案件に携わる。

林 義和
ルネサスエレクトロニクス株式会社
経営企画・財務統括部 コーポレートアライアンス部長 
ローム株式会社にて、国内外のM&Aやグループ事業再編等のプロジェクトを推進後、2010年に買収した米国企業に出向、事業開発部長兼人事部長としてPMIの現場をリード。帰国後に現職、成長戦略実行チームを率い、構造改革案件やM&A、PMIを執行中。

志村 直子
西村あさひ法律事務所
パートナー
コーポレート/M&A分野のパートナーとして、国内外における企業買収・企業提携や、ジョイント・ベンチャー、グループ内再編など、数多くのM&A案件に従事。

清水洋一郎
Datasite 日本責任者
米国で金融、IT、自動車、製造業のマーケティング担当を経て、国内大手ITコンサルティング会社やSIerでITソリューションなどの営業・マネジメントに20年以上従事。

いかがでしたでしょうか?
コロナによって経済界の変化は大きく変わっています。今後の国外・国内M&A市場に注目です!
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Nicheee!(ニッチー!)

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