「東京駅」まで60分以内、中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2020年版
「新しい日常」への移行を一気に迫られた2020年。テレワーク化が進み、通勤しない日が増えたという人も多いだろう。生活様式が変わったことで住まいに対する考え方にも変化が起き、「通勤時間が多少かかっても、広さを重視して住まい探しをしたい」という人も増えているようだ。
そこで、いつもは「主要駅まで30分以内」の価格相場を調べている当連載「中古マンション相場ランキング」においても、今回は調査範囲を広げて「東京駅まで60分以内」にある駅の価格相場を調査してみた。駅徒歩15分以内にある、ファミリータイプの中古マンションの価格相場が安かった駅のトップ10を紹介したい。
●東京駅まで60分以内の価格相場が安い駅TOP10
1位 七里 1050万円(東武野田線/埼玉県さいたま市見沼区/51分/1回)
2位 桶川 1385万円(JR高崎線/埼玉県桶川市/50分/0回)
3位 北本 1400万円(JR高崎線/埼玉県北本市/55分/0回)
4位 白井 1515万円(北総線/千葉県白井市/50分/2回)
5位 元山 1535万円(新京成線/千葉県松戸市/47分/1回)
5位 天王台 1535万円(JR常磐線/千葉県我孫子市/43分/0回)
7位 三郷 1580万円(JR武蔵野線/埼玉県三郷市/45分/2回)
7位 流山 1580万円(流鉄流山線/千葉県流山市/56分/2回)
9位 北柏 1590万円(JR常磐線/千葉県柏市/44分/1回)
10位 村上 1730万円(東葉高速鉄道/千葉県八千代市/53分/1回)
コロナ禍で住まいの選択肢が広がった
(写真/PIXTA)
リクルート住まいカンパニーでは今年5月、住宅の購入・建築・リフォームを考えている人に対し、検討する物件に関する調査を実施(「コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査(首都圏)」)。今回と前回(2019年12月実施)の調査結果を比べてみると、意識の変化が浮かび上がってくる。通勤時間に対する意向を尋ねた設問では「徒歩・自転車で15分以内」と回答した割合が前回より7ポイント減少し(35%→28%)、「公共交通機関で31分超60分以内/60分超」と回答した割合が10ポイント増加(24%→34%)。また、「住まいの広さと駅からの距離、どちらを重視するか」では、広さ重視派が10ポイント増加(42%→52%)。つまり、住まいから駅や勤務先まで離れていてもいいと考える人や、住まいの広さを重視する人が増加していたのだ。
ということで、これまでなら都内に勤務することを考えると「ちょっと遠いな」と住まい探しの選択肢から外していた「東京駅まで60分以内」のエリアを、検討対象にする人も増えたのではないか。そんな考えのもとで行った今回のランキング結果は上記リストの通り。ランクインした駅について見ていこう。
大宮まで4駅、再開発が進行中のさいたま市の駅が1位に
1位は埼玉県さいたま市に位置する、東武野田線・七里(ななさと)駅。価格相場は1050万円で、2位以下よりもぐっとリーズナブルな結果となった。東京駅へ向かうには東武野田線で4駅・約10分の大宮駅に行き、そこからJR上野東京ライン直通のJR高崎線またはJR東北本線に乗り換えると計50分少々で到着する。この経路の列車は7時・8時台に加え9時台にも何本も走っており、時差通勤が推奨されている状況でも比較的無理なく乗ることができるだろう。
七里駅は現在、駅舎の改修が進行中。2023年度中の完成を目指して、橋上駅舎化と、駅北側からのアクセス性が向上する南北自由通路の整備が行われている。また、駅北側の再開発も進められており、将来的には北口駅前広場ができるほか、公園や幹線道路の整備も計画されている。
七里総合公園(写真/PIXTA)
現在の七里駅周辺はというと、商店は主に駅南側に集中。駅から徒歩約15分圏内に、スーパーにドラッグストア、ホームセンターのほか、子ども用品を扱う「西松屋」も。芝生広場や花畑があり野菜の朝市も開かれる駅北側の「さいたま市春おか広場」や、大型遊具やアスレチックを備えた駅南側の「七里総合公園」など、子どもがのびのびと遊べて大人の息抜きにもぴったりな公園も点在している。のんびりと暮らすにはいい街だろう。
JR上野東京ラインで東京駅まで1本で行ける駅にも注目
2位以下の駅は埼玉県と千葉県からランクイン。そのうち東京駅まで乗り換えせずに行けるのは、2位のJR高崎線・桶川駅と3位のJR高崎線・北本駅、5位のJR常磐線・天王台駅。この3つの駅に共通するのは、JR上野東京ラインへと乗り入れるJR高崎線またはJR常磐線の停車駅だという点だ。JR上野東京ラインは東京駅と上野駅を経由した後、JR高崎線・宇都宮線・常磐線の各線に分岐していく。そのため埼玉県、栃木県、千葉県と都心部がダイレクトにアクセス可能になり、2015年の開業時は話題を集めたものだ。
2位の桶川駅と3位の北本駅はJR常磐線の隣り合う駅。桶川駅のほうが東京駅寄りで、東京駅までは約50分で行くことができる。桶川はかつて中山道の宿場町として栄えた歴史ある街であり、今も残る古い土蔵や蔵造りの商家といった宿場町の面影を訪ねて観光客もやって来る。
春の城山公園(写真/PIXTA)
桶川駅西口とペデストリアンデッキで結ばれたショッピングセンター「おけがわマイン」など、暮らしを支える施設も充実。同ショッピングセンター3階には、中央図書館、書店、カフェ、イベントスペースで構成された文化・交流施設「OKEGAWA hon プラス+」も備わっている。春は「城山公園」でお花見を楽しみ、夏は「桶川祇園祭」の御輿や山車を眺め……と、季節ごとの楽しみも多彩なので、単に住みやすい街としてだけではなく「楽しめるお気に入りの地元」として住民に愛されている。また、桶川市には中古マンションを含む住宅購入資金の貸付制度があるので、興味のある人は調べてみてはいかがだろう。
千葉県の駅で最も安かったのは4位の北総線・白井(しろい)駅で、価格相場は1515万円。東京駅へのアクセス方法は、京成本線(特急)に直通の北総鉄道(特急)に乗り、青砥駅で京成本線(通勤特急)に乗り換えて日暮里駅へ、そこからJR上野東京ライン直通のJR常磐線に乗車。すると乗り換え2回、計50分ほどで東京駅にたどり着く。2回も乗り換えるのを避けたい場合は、所要時間が10分ほど増えるものの乗り換え1回で東京駅まで行ける経路も選択できる。
白井駅は千葉ニュータウンとの呼び名で宅地開発された区域の一角をなす、千葉県白井市に位置。駅を中心に計画的に整備されただけあり、整然とした街並みが広がっている。駅から北に徒歩10分ほどの市役所には警察署の分庁舎が併設され、周辺には病院や消防署など生活に欠かせない施設が集結。広大な芝生広場や散策路、遊具広場がある「白井総合公園」と、図書館と郷土資料館、プラネタリウム館、さまざまなイベントが行われる文化会館を備えた「白井市文化センター」も、市役所に隣接している。
千葉ニュータウンの様子(写真/PIXTA)
白井市は「住みやすく・子育てしやすい街」を目指して街づくりに取り組んでおり、今年4月には複合型保育施設「白井市幼稚園等送迎ステーション」を開設した。これは幼稚園の開所時間と保護者の就労時間のミスマッチを解消するための施設だそう。保護者に送り届けられた子どもたちは、幼稚園開所時間外の朝夕は送迎ステーションで過ごし、日中は幼稚園バスの送迎で通っている幼稚園へ。さらに、子どもが幼稚園にいる日中の送迎ステーションは、保育所や幼稚園に通っていない子どもでも利用可能な一時預かり、小規模保育施設としても機能している。また、この保育施設がある一帯は複合商業エリア「フォルテ白井」として整備され、スーパーにドラッグストア、100円ショップ、衣料品店、クリーニング店とコインランドリーが建ち並び、先日の「カレーパングランプリ2020」で最高金賞を受賞したベーカリー「ピーターパン」の支店もある。
今回ランクインした駅は東京駅まで50分前後の立地が多く、都心へのアクセスを重視して住まい探しをする場合は候補地から外される場合もあるだろう。しかし、それぞれの街について見てみると、のびのびと暮らしやすそうだったり子育て支援に力を入れていたりと、生活の質という面からすれば魅力的な特徴も備えている。
これまでとは生活様式がガラリと変わったことで、人々の意識にも変化が生じている。住まいに対する考え方、価値観も例外ではない。今の自分にとって真に心地よい住環境とはどんなものか、改めて考えてみてはいかがだろう。そうすることで、よりしっくりとくる住まいが見つかるかもしれない。
●調査概要
【調査対象駅】東京駅まで電車で60分圏内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数40年未満、敷地権利は所有権のみ、間取り3K、3DK、3LDKタイプ(2sLDKを含む)以上
【データ抽出期間】2020/6~2020/8
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出(2020年8月31日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載 元画像url https://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2020/11/176523_main.jpg 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル
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