「コロナ解雇」が7万人超え 失業保険の受給は?自己都合か会社都合で要件は異なる?

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「コロナ解雇」が7万人超え 失業保険の受給は?自己都合か会社都合で要件は異なる?
厚生労働省によると、新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇い止めは見込みを含めて、11月13日時点で7万1121人に達しました。大手企業が次々と赤字決算を公表する中、今後も「コロナ解雇」が心配されます。

例えば、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは、2021年3月期の連結純利益が511億円の赤字になる見込みを発表。正社員と嘱託社員の冬のボーナスを7割削減し、時給で働くダンサーら出演者らに対しては窓口業務などの配置転換を要請し、合意できなければ退職などの案を提示しました。一部報道によると、退職を選んだダンサーらは会社から「自己都合退職」であることを示す書類への署名を求められたと言います。

離職理由は、雇用保険の失業給付金の支給内容に関わるため、会社都合か自己都合かは、望まない形で仕事を失う人にとって重要な問題です。コロナをきっかけにした退職は、どちらに当たるのでしょうか。特定社会保険労務士の茅根真由美さんに聞きました。

自己都合退職でもコロナ特例措置が適用できる場合がある。会社が示した離職理由に納得がいかない場合はハローワークで相談・申し立てを

Q:雇用保険の失業給付金を受給する場合、会社都合と自己都合の違いは何ですか?
——–
一般的に、離職理由が事業者側の都合であれば「会社都合退職」、転職など一身上の都合であれば「自己都合退職」となることは知っている人も多いと思います。実際に失業給付金を受給する場合は、さらに判断基準が細分化された3つの区分に分けられます。

【1:特定受給資格者】
倒産や解雇など、いわゆる会社都合退職に当たるケース。労働者の合意が必要となりますが、会社から退職するように促される「退職勧奨」を受けた場合も含まれます。ただし、自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された場合は除きます。

【2:特定理由離職者】
(a)有期雇用契約の雇い止めによる会社都合退職。契約書に契約更新が明示されているも確約されておらず、労働者が更新を希望したのに更新されなかった場合などが該当します。
(b)健康上の理由や、やむを得ない理由により通勤困難になった場合など、「正当な理由」と認められた自己都合退職。

【3:1や2に該当しない離職者】
転居、結婚、出産、介護、転職など、一身上の理由による自己都合退職。

1~3では、それぞれ失業給付金の支給条件および、支給を受けるまでの給付制限期間(いずれの区分でも別に7日の待期期間あり)、基本手当の給付日数が異なります。

1、2-(a)
雇用保険の被保険者期間6カ月以上▽給付制限期間なし▽給付日数90日~330日

2-(b)
雇用保険の被保険者期間6カ月以上▽給付制限期間なし▽給付日数90日~150日

3
雇用保険の被保険者期間12カ月以上▽給付制限期間2カ月(5年間で2回まで、2020年9月30日までの離職は3カ月)▽給付日数90日~150日

※給付日数は、年齢と雇用保険の被保険者期間により異なります。「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例」(厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000655461.pdf)の要件を満たすと、給付日数が上記より60日(一部30日)延長になる可能性があります

Q:コロナによる離職はどのようなケースがありますか?また、失業給付金の受給区分ではどれに当たる可能性がありますか?
——–
コロナ感染拡大による離職の理由として、代表的なものは次のようなケースです。

<コロナによる会社の売り上げ減少、経営悪化が原因>
・倒産
・整理解雇
・退職勧奨
・契約社員、パート、アルバイトなど有期雇用契約の雇い止め

いずれも会社都合退職となり、倒産、整理解雇、退職勧奨は、「特定受給資格者」に当たる可能性があります。いわゆる雇い止めなどは、契約内容に応じて「特定受給資格者」または「特定理由離職者」と判断が分かれます。

<新型コロナウイルス感染拡大により急変した家庭の事情が原因>
・職場で感染者が発生、基礎疾患がある、など感染予防の必要性がある
・同居する家族の感染による看護・介護
・学校園の休校(園)措置による子どもの養育

いずれも自己都合退職の扱いですが、「新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例」が適用できる場合があります。上記のうち、感染予防の必要性がある場合は「特定受給資格者」、家族の介護・看護、子どもの養育の場合は「特定理由離職者」となります。

Q:契約社員やパート、アルバイトなど、有期雇用契約の雇い止めが、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に分かれる判断基準は何ですか?
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「特定受給資格者」となる要件は、次のケースです。
・労働契約を更新して3年以上働いていたが、次の契約が更新されなかった
・労働契約書で「契約は更新する」「自動更新」と確約されていたのに、更新されなかった

「特定理由離職者」となるのは、労働契約書で「契約を更新する場合がある」などと、確約してはいないが、更新の可能性が明記されており、働く側が更新を希望したのに、更新されなかった場合です。

この場合は、面談などで会社から「更新しない」と言われて、「わかりました」とすぐに合意せずに、更新希望があれば、「更新してほしい」と明確な意思表示をすることが必要です。また、原則退職届等を提出する必要はありませんが、もし記載するのであれば「更新を希望したが叶わなかったため退職する」とした方が良いでしょう。

Q:自己都合退職におけるコロナの特例措置を教えてください。
——–
前述のとおり、次のような理由で離職した場合、「新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例」が適用できる可能性があります。

<特定受給資格者とみなされる可能性があるケース>
①本人の職場で感染者が発生した、または、本人もしくは同居の家族が基礎疾患を有する、妊娠中、高齢であることを理由に、感染拡大防止や重症化防止の観点から、自己都合離職した場合。
・離職日:2020年5月1日以降

<特定理由離職者(離職理由が正当な理由)とみなされる可能性があるケース>
②同居の家族が新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより、看護または介護が必要となった。
③新型コロナウイルス感染症の影響で、子どもの養育が必要となった。小学校、義務教育学校、特別支援学校、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園などに通学、通園する子どもに限る。
・離職日:①②とも、2020年2月25日以降

Q:退職時に、会社から「自己都合」で処理されても、後から「会社都合」に変更することはできますか?また、会社都合退職をすると、再就職に影響はあるのでしょうか?
——–
退職時に、会社から自己都合として処理されても、後からハローワークで会社都合退職だと認められるケースはあります。

例えば、長時間労働がつらくて辞めた場合、自己都合と考えがちですが、実は、残業時間が要件に当てはまれば、会社都合である「特定受給資格者」となります。その際、労働契約書やタイムカードのコピー、給与明細など、確認書類が必要となります。

通常の会社都合退職では、自身に問題やトラブルがなかったどうか、採用側が慎重になる可能性はあります。実際、退職時に事業者側から「会社都合にすると、次の就職に響くよ」などと言われる例もあるようですが、今回のようなコロナによる倒産や解雇などによる会社都合退職が、採用の合否に影響するとは考えられません。

大切なのは、退職理由が事実に即したものか、自分が納得できるかどうかです。

万が一、会社が示した離職理由に納得がいかない場合でも、会社には直接言いにくいという人が多いでしょう。また、コロナによるさまざまな特例は複雑で、注意が必要です。ハローワークで申し立てを行うことができますので、気になることがあれば、まずは相談してみましょう。

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