北アメリカに生息する「コヨーテ」はどんな動物?オオカミとどこが違う?

北アメリカに生息する「コヨーテ」はどんな動物?オオカミとどこが違う?

コヨーテはオオカミと同様イヌ科の動物です。
そのためとても似ている動物だとされることもあります。

しかし実際のコヨーテは、オオカミと違った特性を多々持っています。
その違いは生息場所に限りません。体格や造形、さらには歩く際の尻尾の動作にまで及んでいます。

そこでここでは、コヨーテとはどういう動物なのか、オオカミとはどう違うのかを解説していきます。

コヨーテとは

コヨーテは食肉目イヌ科イヌ属に分類される動物です。
まずはどんな動物なのかを見ていきましょう!

コヨーテの元来の生息域

コヨーテはもともと北アメリカ大陸西部に分布する動物です。
普段は森林や山間にいるのですが、かなり適応力に優れた動物となっており、近年では元来の生息域以外にまで勢力を拡大しています。

コヨーテの大きさや姿

コヨーテは頭胴長が約75cm~101cm、体高が約60cm以内の動物です。
体重は約9kg~20kgほどで、平均体重は約14kgとされます。
中型犬から大型犬ほどの重さとなっています。

大きなしっぽが特徴ですが、その尾長は約30cm~40cmと体の大きさの半分弱あります。

体毛は全体的に淡い黄褐色をしていて、ところどころに白い毛が混ざっているのが特徴となっています。
なお、手足は黄色がかっており、尻尾や背中は灰褐色、お腹は灰白色という見た目をしています。

コヨーテの生態

コヨーテは単独またはペアで行動します。
ときに小規模な群れを形成し活動をすることもあります。

コヨーテはネズミやウサギやオグロプレーリードッグを食べます。
また、泳ぎがとても得意なので魚などを狩ることもあります。

なんでも漁って食べてしまうことから、生息する農地や住宅街などでは厄介者扱いされることもあります。
天敵であるオオカミのいない地域では、小動物だけでなく、群れでより大きな獲物を狩ることもあり、ハンターとしての性質をより強く見せることもあります。

ちなみに、イヌ科の動物というだけあって、尿に含まれる成分で縄張りを主張することもあります。

コヨーテという名前の由来

コヨーテという名前は、コヨーテの習性が名前の語源とされています。
メキシコなどで用いられるナワトル語で「歌う犬」という意味がある「coyotl(コヨトゥル)」という単語がその由来とされます。

コヨーテはイヌ科の中でもイエイヌを除くと唯一いつも吠える犬とされています。
遠吠えは早朝や夕暮れに行われることが多く、一頭が吠え声を上げると他の個体も加わるのが特徴です。

このコヨーテの習性から付けられたというのです。

オオカミとの違い

コヨーテはオオカミ、特にアメリカアカオオカミに似ているとされます。
しかし比較していくと違いがあることが分かります。

本来の生息場所の違い

コヨーテとアメリカアカオオカミは生息場所がそもそも違います。

アメリカアカオオカミは、今日では自然下にはおらず、絶滅してしまったとされます。
しかしかつてはフロリダ州やテキサス州といった、アメリカ南東部だったとされています。

同じ北アメリカ大陸の動物とはいえ、コヨーテは西部、アメリカアカオオカミは東と主な生息地は異なっていたのでした。

体格や造形の違い

コヨーテとアメリカアカオオカミは体格や造形も違ってきます。

特徴としてはオオカミの方が大きい体格をしていて、コヨーテの方が小さい体格をしているのが特徴です。
コヨーテの体長が1m以下が多いとされますが、アメリカアカオオカミは1mを超えるものも多く、大柄のものとなると1.2m前後のものもいるとされます。

また、造形に関しても違いがあります。
例えば耳を見てみると、オオカミよりもコヨーテの方が大きいのが特徴となっています。

歩くときの尻尾の使い方

コヨーテとオオカミは歩くときの尻尾も違ってきます。

オオカミは歩くときに尻尾を持ち上げるようにするのですが、コヨーテは尻尾を下げたまま歩くのが特徴です。
遠目でも観察を続けていれば、この歩き方でどちらかが分かりますね!

コヨーテとオオカミの関係

コヨーテとオオカミは近縁種ということもあって、それぞれの関係もまた面白いものとなっています。
ここからはそんな両者の関係についてご紹介します。!

オオカミはコヨーテの天敵

実はコヨーテの天敵はオオカミです。
体がコヨーテよりアメリカアカオオカミの方が大柄ですので、襲われたらひとたまりもありません。
しかし、環境への適応力という点ではコヨーテの方が上回ったということもあり、現在の生息状況は逆転しています。

ちなみにアメリカアカオオカミなどのオオカミ以外にも天敵が多く、ピューマやイヌワシに襲われることもあります。

コヨーテは天敵のオオカミとの間に子供をつくれる

コヨーテは犬と同じように雑種を作ることが可能な動物です。
その対象が天敵である各種オオカミになることもあるんだとか。

オオカミが減ったらコヨーテの数が増えた!

コヨーテの本来の生息地は北アメリカ大陸の西部のみだったとされます。
しかし、人類の進出や開発の影響で本来の生息域以外にも移動をしています。

これはオオカミたちも同じです。
しかし、コヨーテほど新しい環境への適応力が高くなかったためか、その数を減らしてしまいます。
特にアメリカアカオオカミに至っては自然下では絶滅してしまい、現在では一部保護区にいるだけとなっています。

同じように本来の生息場所を離れることになった立場ながら、天敵であるオオカミの数が減ったコヨーテは分布域を広げていきました。
現在では北はアラスカ、南はパナマにまでその生息域を広げています。

まとめ

コヨーテはオオカミに似ているものの別の動物です。
そもそもオオカミ自体、コヨーテの天敵です。

しかし、コヨーテは環境適応力が優れており、生息域を拡大しています。
それに対しオオカミの一種、アメリカアカオオカミなどは自然下のは絶滅していたりします。

姿は似ていても、環境への順応性の違いで生息数に大きく差が付いたこの2種は、似ているようで全く似ていないのかもしれませんね。


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