日本一標高の高いパン屋さんで、山の空気とハイジのパンを味わう

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日本一標高の高いパン屋さんで、山の空気とハイジのパンを味わう

10,000個以上のパンを食べ歩いてきた、旅するパンマニア片山智香子です。美味しいパンがあると聞けば、多少遠くても足を運ばずにはいられない性格。今回は、大自然の中にあるパンを求めて長野県の志賀高原まで行ってきました。

東京駅

北陸新幹線デビューにワクワクが止まらない

JR東京駅から北陸新幹線「はくたか」で約1時間30分、JR長野駅に到着する。実は私、北陸新幹線ができてから長野方面に行くのは初めてで、シュッと伸びた面長のフォルムや艶やかな青に乗る前から心躍る。

北陸新幹線

長野駅

圧巻!大庇と列柱の「門前回廊」は必見

長野駅は善光寺口と東口があるのだが、まずは長野電鉄の湯田中駅へむかうため、乗り換えのできる善光寺口へ急ぐ。乗り換え時間約20分というタイトな時間設定の中、善行寺口に出てみると、大庇(おおびさし)と12本の列柱に思わず目が留まった。

列柱で支えられた大庇は高さ約18m、約幅140mで、列柱とともに長野市産の杉材を使っているそうだ。「圧巻」という言葉がまさにぴったり。ものすごい迫力に旅の最初から感激し、思わず立ち尽くしてしまった。ちなみに、こちらは、北陸新幹線(旧長野新幹線)が金沢まで延伸された際に整備され、「門前回廊」という愛称で親しまれているらしい。

長野駅の大庇と列柱

湯田中駅

駅から徒歩0分の足湯へ!

さて、先を急ごう。今回の最初の目的地は志賀高原の横手山。列車で行く場合、長野駅で長野電鉄に乗り終点の湯田中駅を目指す。今回はのんびり車窓を楽しみながら向かおうと特急は使わずに普通列車を利用。長野駅から信州中野行きに乗り、信州中野からは湯田中行きの列車に乗り換える。乗り換え時間も含めて1時間20分くらいみておけば大丈夫。

長野電鉄 信州中野駅

途中までは地元の学生の姿もあるのだが、終点に近づくにつれ乗客もまばらになり、窓から見える風景も建物が消え、一面の緑と遠方に山がかすかに見える。がたごとと揺られながら自然豊かな風景をのんびり眺める。あぁ、なんて贅沢な時間なのだろう。

長野電鉄の車窓

終点の湯田中駅に到着したら、長電バスに乗り換えて横手山を目指すわけだが、出発まで時間があったので駅周辺を散策してみた。改札を出て、ぐるりと駅の反対側に行ってみると足湯がある。屋根もあり駅のすぐ横という立地なのも嬉しい。敷地内には湯田中駅前温泉「楓の湯」という施設があった。どうやら足湯は、楓の湯に併設されているもののようだ。

楓の湯 足湯

湯田中駅

くねくねのカーブを登りきるとそこは絶景!

バスは降車する際に運賃を払えばよいので事前にきっぷを購入する必要はないが、せっかくなのできっぷ売り場で購入してみた。湯田中駅から「のぞき」停留所までは1,400円。

きっぷ売り場

定刻に湯田中駅を出発し、約55分乗車したら、のぞき停留所に到着。「旧街道の絶景をのぞく急斜面」からきたといわれている「のぞき」という地名。えっ? のぞき? と聞き返したくなるようなユニークな地名だ。

横手山

15分間の空中散歩を楽しむ

バスを降りてまず感動したのは、横手山の空気。空の青さ、深い緑で連なる山々など標高2,000m近くから見る絶景が素晴らしいのは言うまでもないが、湿気を感じないってこんなに気持ち良いものなのか! と感動した。もちろん、夏なので日差しは強く、暑いは暑いのだが、都会のようなまとわりつく湿っぽさが全くないのだ。大きな声で「気持ちいいー!!」と叫びたい気持ちを抑えて、スカイレーターへ向かった。

スカイレーター

横手山の山頂に行くにはスカイレーターとリフト(スカイペア)を利用する。そう、わざわざ山支度をして登頂しなくてもさくっと頂上に行くことができるのだ。チケット売り場で1,500円(税込)の往復券を購入し、係員の方に見せたら山頂へ向けて出発だ。

「乗ったら動かないでくださいね」と言われたが、乗ってみるとその理由が分かる。想像している以上に傾斜があるので動くと危ないという意味なのだろう。どちらにしても、一方通行で追い抜けるほど幅はないし、もともと私自身、高所恐怖症なのでぴくりとも動かず、目だけで左側に広がる大パノラマを堪能していた。5分も乗っていると到着するので、降りたら目の前のリフトに乗り換える。リフトに乗るなんて30年くらい前に行ったスキーが最後だったなーなんて思いながら10分の空中散歩を楽しんだら、ついに山頂だ。

リフト(スカイペア)

満天ビューテラス

日本最高地点にある通年営業のテラス

リフトを降りたら、階段をのぼり同じ建物にある「満天ビューテラス」へ。2,307mの気持ち良い空気を吸いながら眼下に広がる絶景を眺める。比較的午前中の早い時間は人もまばらなので、ゆっくり堪能できる。

満天ビューテラス 満天ビューテラスからの風景
HIGH MOUNTAIN COFFEE&CO. CRUMPET CAFE

HIGH MOUNTAIN COFFEE&CO. CRUMPET CAFE(写真提供:志賀パレスホテル)

せっかくなので、ビューテラス隣にある「HIGH MOUNTAIN COFFEE&CO. CRUMPET CAFE」にも入りたかったのだが、改装中だったようでクローズ。店名にもなっているクランペットとは、小麦粉と酵母で作る塩味のまたは甘い軽食パンのことだ。メニューの写真がめちゃくちゃ美味しそうだったので楽しみにしていたのだが、こちらは次回のお楽しみということにする。

横手山頂ヒュッテ

山の空気を吸いながらパンを食らう

そろそろ今回の旅の最大の目的地へ向かおう。日本一高いところにあるパン屋として有名な「横手山頂ヒュッテ」。大人気な場所なので、のんびりしているとパンが売り切れてしまうかもしれない。午前中に行くことをおすすめする。

新型コロナウイルス感染症対策として、手の消毒の他に、住所や名前、体温などを記入し来店カードポストにいれてから入店するのが決まりになっているようだ。

横手山頂ヒュッテ

パンのラインナップとしては素朴なものが多く、一番人気はハイジのパン。ぷっくりしたフォルムでふわふわした食感。このまま食べても美味しいが、とろ~りとけたチーズなんかをかけても絶対美味しいはずだ。もう、気持ちは完全にハイジ(笑)。

長野を感じるものとして、野沢菜パンもあったので食べてみたが、パンはもとより野沢菜が最高に美味しい。

ハイジのパン

横手山神社

山頂にあるパワースポット

リフトのそばに「横手山神社」と書かれた案内を見つけた。奥に入っていくと鳥居はあれども神社らしきものはない。

横手山神社 鳥居

さらに進むと方向を示す矢印がある。まだ進むのか。もう、ここは行き止まりじゃないかと思ったところに祠を見つけた。これかー!! 自分のイメージしていた神社とは違ったが、2,307mの山頂にあるというだけで、パワーを感じずにはいられない。

横手山神社

2307スカイカフェ

絶景を見ながら名物の焼きカレーをいただく

再び、リフトとスカイレーターを乗り継いで、のぞき停留所へ戻る。バスを待っている間に停留所横の「2307スカイカフェ」で名物の焼きカレーをいただくことにした。

2307スカイカフェ

焼き上げることを考えてキーマカレー風のルーに仕上げたというコチラ。中に敷き詰められているライスにもカレーが染み込んでいて、お肉もホロホロとろけるよう。上にかかったチーズが全体をまろやかに包みこむ。夏のこの時期のカレーも美味しいが、これ、スキーの時期に食べたら、さらに悶絶するほど美味しいだろうなと山を見ながら思う。

焼きカレー

志賀パレスホテル

大浴場には源泉かけ流しの温泉が

この日の宿泊先である「志賀パレスホテル」は、ほたる温泉(硯川)停留所のそばにある。のぞき停留所からバスで12分という近さだ。まずは入ってすぐのロビーで新型コロナウイルス感染症対策、手の消毒。チェックインをすませたら、のんびり部屋で過ごしてから、ホテルの中を少し散策。

ホテルロビー

スキーで有名な志賀高原、暖炉のそばにスキー板がたてかけられており雰囲気がある。こちらのホテルで私が一番気に入ったのは、ほたる温泉の源泉から湯を引いた大浴場だ。

いやー、めちゃくちゃ気持ち良かった。広々とした浴槽で窓から自然光が入り込む。源泉かけ流しのお湯は温度も熱すぎず、優しくなめらかに身体を包み込み、昼間の疲れがぬけていくのが分かる。まさに極楽。

大浴場

翌朝は何種類かの小皿や小鍋が並べられたホテルの朝食をいただく。上げ膳据え膳って本当に幸せ。朝からいただく湯豆腐の喉ごしが良くて、思わずご飯をおかわりしてしまった。

朝食

2日目も行ってみたいパン屋があるので、バスで湯田中駅まで行き、
再び長野電鉄に乗って長野駅へ。

粉門屋仔猫

食卓を豊かにしてくれるパンがいっぱい!

長野駅の善光寺口から徒歩3分程度のところにある「粉門屋仔猫」。なに?! この蔦のからまる建物は! 素敵! 素敵すぎる! と一気に乙女な気持ちにさせてくれる外観。

粉門屋仔猫

店内にはパンの他にワインなども置いてあり、大人な雰囲気。それというのも、こちらのパン屋のコンセプトは「パンペアリング」。手軽に食べるというよりも、きちんと食卓に座りワインなどと一緒に食べるパンをイメージしているそう。

粉門屋仔猫 店内

今回は定番の「クッペ(大)」と「フォカッチャ(エルブドウプロヴァンスのフォカッチャ)」、季節ものの「焦がし醤油のなす味噌フォカッチャ」と「オリーブとレモン」を購入した。ちなみにクッペとはフランス語で「切る」という意味。小さなフットボール形に成形した生地に窯入れ直前にナイフでクープを一本いれたパンのこと。そして、フォカッチャはイタリアの伝統的な平焼きパンで、諸説はあるのだがピザの原型ともいわれている。

これらは、シンプルだからこそ、そのお店がこだわっている味というものが分かる。季節ものの2つも、自分では考えつかない組み合わせで面白い。すぐにでも食べたい衝動にかられたが帰宅するまで我慢し、ゆっくりといただいたのだが、どれもこれも素材の味を感じることができ、噛みしめると口内に旨みが広がる。あぁ、美味しい。

粉門屋仔猫で購入したパン

写真は、「左上:クッペ(大)」「左下:焦がし醤油のなす味噌フォカッチャ」「右上:オリーブとレモン」「右下:フォカッチャ(フォカッチャ(エルブドウプロヴァンスのフォカッチャ)」。

久しぶりに行った長野は思ったよりも近く感じた。ぶらりパン旅に出るにはちょうど良い距離。志賀高原の湿気のなさも嬉しかったが、ほたる温泉の源泉から引くお湯は、くせになるほど気持ち良かった。次回もまた長野を深掘したくなっている自分がいる。

東京駅

掲載情報は2020年10月15日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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