「密」とは無縁!十和田湖と奥入瀬渓流を漕いで歩く、自然満喫の旅
青森県各地の魅力を伝えるローカル雑誌『青森の暮らし』を制作している編集部の苫米地結子です。
豊かな自然に恵まれた十和田湖・奥入瀬渓流は、今の時期特におすすめしたい、密にならない自然スポット。年中涼しく、秋になると燃えるような鮮やかな紅葉の景色を間近で望むことができます。
今回はカヌーツアーと渓流散策をメインに、漕いで&歩いて、自然を心ゆくまで堪能するアクティビティ旅をご紹介します。
東京駅
いざ十和田湖・奥入瀬方面
出発はJR東京駅から。東北新幹線 「はやぶさ」に乗り、約2時間50分でJR八戸駅に到着します。
「ぐるっと遊 八戸駅店」でランチ用に駅弁を買って、ジェイアールバス東北の「おいらせ号」に乗車するため西口へ向かいます。
八戸駅
おいらせ号で宇樽部へ
こちらがおいらせ号。はやぶさを思わせるデザイン。爽やかなミントグリーンとピンクのラインが目を引きます。走行中は、車内で観光ガイドのアナウンスが流れるため、長い移動時間も飽きずに過ごすことができます。
宇樽部
湖畔でのんびりランチタイム
観光ガイドを楽しみながら、バスに揺られること約2時間5分。宇樽部(うたるべ)バス停に到着です。宇樽部には食堂や公園があるので休憩エリアとしておすすめです。
バス停から徒歩約3分、「レークパークうたるべ」は遊具が充実しており、十和田湖を眺められます。
カヌーツアーに備えて、まずは公園で腹ごしらえです。
八戸駅で購入した駅弁「八戸小唄寿司」。袋を開けると、さっぱりとした酢飯の香りが立ち上ります。ご飯がほとんど見えないくらい、しめ鯖やしめ紅鮭がびっちり敷き詰められています!
押し寿司にされた魚は八戸近海でとれたもの。脂がたっぷりのっているのに何度食べても飽きがこない、海のまち・八戸ならではの駅弁です。
宇樽部キャンプ場
カヌーで十和田湖の魅力再発見
お腹が満たされたところで、レークパークうたるべから約15分歩き、十和田湖カヌーツアーの受付がある「十和田市営宇樽部キャンプ場」へ。
今回は湖を眺めながら駅弁を食べるため宇樽部に立ち寄りましたが、八戸駅西口から宇樽部キャンプ場にまっすぐ向かいたい場合は、「下宇樽部バス停」で下車すると、徒歩10分ほどで到着します。
宇樽部キャンプ場は、地元のキャンパーにも人気のスポット。断崖や絶壁が多い、迫力ある御倉半島や、八甲田山を望むことができる、湖に面したキャンプ場です。
ここはカヌーツアーが体験できるレジャースポットでもあり、今回は、13:30からの「十和田湖カヌーツアー」に参加しました。
実は私、カヌーは初体験……!
泳げないので水上の乗り物はなんとなく避けていたのですが、果たして水が苦手な私でも楽しむことができるのでしょうか……。
今回ガイドを担当してくださった、カヌーガイドの太田泰博さんです。
「もしカヌーがひっくり返っても、空や自然を眺めながら、ぷかぷか浮いて待っていれば大丈夫ですよー」
穏やかに話す太田さん。とても親切にカヌーの乗り方や注意点を説明してくださいました。この人なら、もしもの時でもなんとかなりそう! 太田さんの説明をきいていたら、不思議と恐怖が薄れてきました。
ツアーで使われるカヌーは、カナディアン・カヌーといって、見た目はラグビーボールのような形をしています。競技用として使われることが多いカヤックに比べ、カヌーは荷物の移動などに適しているんだとか。急がずゆっくり移動ができるので、湖面から自然を散策するのにはちょうどいい乗り物です。
丁寧に漕ぎ方を教わったところで、いざ水上へ出発です!
パドルで漕ぐと、水の重さを感じるものの、滑らかな感触がとっても心地よい……。太田さんいわく、天候や時間帯によって水の感触が微妙に変化するんだそう。
十和田湖は火山活動によって陥没した地形の中に、水がたまってできたカルデラ湖。カルデラとは、スペイン語で「鍋」を意味します。
自然が作り出した大きなお鍋の中を漕ぎ進めていると、野生の木々や草花が。
水面に浮かんだ葉をよくみると、青色のトンボがとまっています。
「ルリイトトンボ」といって、地元では「神様トンボ」といわれている高標高地に生息するトンボです。
約2時間半のカヌーツアー。太田さんのわかりやすい解説をきいていたら、あっという間に時間が過ぎてしまいました!
ホテル十和田荘
今夜のお宿「ホテル十和田荘」へ
宇樽部キャンプ場を離れ、最寄りの下宇樽部バス停からバスで約10分。十和田湖(休屋)バス停に到着です。
本日の宿泊は、バス停から徒歩4分ほどのところにある、「ホテル十和田荘」。1958年創業の歴史あるホテルです。
新型コロナウイルス感染症対策として、エントランスはドアが開放されており、消毒用の除菌スプレーが置かれていました。
夕食は、ホテル内にあるお食事会場「奥入瀬」で。完全個室の空間なので、密を避けられ、プライバシーに配慮した落ち着く空間です。
今回は、八戸せんべい汁や十和田バラ焼きといったご当地B級グルメが楽しめるコースをいただきます。
※食事場所や食事内容はプランによって異なります。
こちらが十和田市民のソウルフード・十和田バラ焼き。
醤油ベースの甘辛いタレと玉ねぎのうまみが牛バラ肉とよく絡んで絶品! ご飯がすすみます。
お風呂は打たせ湯やジェット風呂、露天風呂などがあり、ちょうどいい湯加減。大浴場「カルデラ」は古代神殿をモチーフにした豪華な造りです。
明日は奥入瀬渓流散策。お風呂のあとは宿内の売店で購入したガイドブック『奥入瀬自然百景 ハンドブック』(NPO法人奥入瀬自然観光資源研究会)で明日の予習を。
散策するときは事前にガイドブックを読んで、コケや草花などの名前や見た目を覚えておくと、より深く渓流散策を楽しむことができますよ。
十和田湖
朝の散歩にぴったり
翌日はホテルの朝食を食べたあと、徒歩で十和田湖畔へ。
この日は小雨が降っていてどんよりしたお天気でしたが、霧がかかった神秘的な十和田湖の風景を楽しめるのは、朝の醍醐味かもしれません。
晴れの日にはこのような風景を堪能することができます。
湖畔を散歩するなら、人が少ない朝がおすすめ。
湖畔のほか、ホテルから片道徒歩10分圏内には、パワースポットとして知られている「十和田神社」や、高村光太郎作の「乙女の像」など、十和田湖ならではの人気スポットがあり、チェックアウト前に立ち寄れば手ぶらで散歩することができます。
湖畔を散歩していたら、手作りアップルパイで有名な「十和田湖マリンブルー」にたどり着きました。こちらも宿から徒歩10分圏内。
十和田湖マリンブルーの人気メニューは地元青森産のりんごを使用したアップルパイ。りんごのさくさくとした食感と、バターの風味が口いっぱいに広がります。コーヒーとの相性も抜群です。
子ノ口
奥入瀬渓流散策
朝の十和田湖散策を満喫したところで、いよいよ奥入瀬渓流へ。
十和田湖(休屋)バス停からバスで約13分。渓流散策のスタート地点、子ノ口バス停に到着しました。奥入瀬渓流の散策コースは約14キロ。ゴール地点の焼山バス停を目指して3時間ほど歩きます。
……ちょっとまって!?
3時間も歩くの!? と驚かれた方も多いのでは。
実は整備された遊歩道の上を歩くので、長時間歩いても疲れにくいんです! 地面は、水分を多く吸い込んだ落ち葉や土のおかげで、クッションのようにふかふか。平坦な道が多いので、気軽に散策することができます。
奥入瀬渓流には約300種類のコケが生息しています。歩いていると、よく岩に木が生えている光景を目にしますが、ありえないことだと思いませんか!?
ありえない光景が成り立っているのはコケのおかげ。岩にびっしりはりついたコケが木を生かしているのです。森はコケが作っているといっても過言ではないかもしれませんね。
石ヶ戸
休憩のお供は奥入瀬ソフトクリーム!
子ノ口から徒歩2時間ほどで「石ヶ戸休憩所」に到着です。石ヶ戸は、奥入瀬渓流コースのほぼ中間地点にある休憩スポット。着いたらここでひとやすみしておきましょう。
石ヶ戸休憩所は、どれにしようか迷うほどメニューが豊富。
人気の「奥入瀬ソフトクリーム」。
濃厚なミルクの味わいがありつつも、後味さっぱり。ひんやりスイーツで英気を養ったところで焼山を目指し、再び散策スタートです。
どこを撮っても絵になる風景。樹液や草花の甘い香りに癒やされます。森の香りや景色を堪能しながら、石ヶ戸休憩所から歩くこと約1時間。ようやく焼山に到着です。焼山には「渓流の駅 おいらせ」というお土産屋さんがあり、帰りのバスを待つ間もお土産を選びながら飽きずに過ごすことができます。
渓流の流れや生い茂る植物をじっくり目に焼き付けながら散策していると、時間が過ぎるのもあっという間です。長時間歩いても不思議とだるい疲れを感じず、すっきりした気持ちで歩ききることができました。
焼山バス停からバス(みずうみ号)に乗って、八戸駅まで約1時間34分。再び東北新幹線に乗って東京駅に戻ります。
カヌーを漕いでみたり、自分の足で歩いてみたりしないと味わうことができない、十和田湖・奥入瀬渓流の魅力。青森に住んでいても、何度でも足を運びたくなる自慢の場所です。夏は渓流のせせらぎに耳をすませながら涼むことができますし、秋は真っ赤に染まる紅葉の風景を目の当たりにすることができます。ぜひ皆さんも一度訪れてみてはいかがでしょうか?
東京
掲載情報は2020年10月13日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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