タイ・コスプレ市場の最先端で流行を追い続ける滋野真琴さん
今回はタイのオンラインマガジン『anngle』からご寄稿いただきました。
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タイ・コスプレ市場の最先端で流行を追い続ける滋野真琴さん
流行の変化をリアルタイムでチェック
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コスプレーヤー向け専門雑誌COSMODE THAILANDの編集人、滋野真琴さんの一日は、コスプレマニアのfacebookページを閲覧することから始まる。日々、更新が繰り返されるfacebookのタイムライン。「好きだからできるだけのことですよ…」と気さくに笑うが、普通ならそれだけでも途方に暮れてしまうほどの分量だ。
何千、何万と寄せられる写真や動画から、流行の移りゆく様をつぶさに見て取る。今、タイの若者の間で何がトレンドなのか、何に関心が向けられているのかを入念にチェック。それらを体系建ててまとめていく様は、もはや職人技と言ってよい。
偶数月発刊の隔月刊誌COSMODE THAILANDは2010年に創刊。今ではタイ全土で10000部を数える著名な1冊に成長した。10代から20代前半のコスプレ好きのタイ人をターゲットに、その信頼度はずば抜けて高い。「コスプレ文化に関心を持つ若者なら誰もが手にして読んでいる本ですよぉ」。バンコクのイベント会場いたキャラクター姿の女子大生たちも口々にそう話す。
ちょっとしたことがきっかけで渡ったタイ
福岡市の出身。子供のころから絵を描くのが好きだった。小学生のころは少女漫画にはまり、中学生になってからはもっぱらアニメ。趣味が高じて高校時代は専門のデザイン科に通い、本格的な勉強を積んだ。
一時は、漫画家や声優に憧れた時期もあったというが、「背景画を描くのが苦手」といった理由から、高校卒業後はグラフィックデザインの道へ。福岡市内のデザイン会社で5年間、下積みを経験した。
タイに渡ったのは「本当にちょっとしたことがきっかけ」だった。アジアからの渡航者が多いことで知られる福岡の街。アルバイト先などでタイやインドネシアからの留学生と知り合ううちに、次第に東南アジアに魅せられるようになった。
「一緒に行ってみない?」。タイに帰るという友達からの誘いにも違和感はなかった。自分に合った出版関連の仕事も紹介してくれるという。断る理由も、迷いもなかった。実家の母にも相談してみたが、逆に「いいなあ」と羨ましがられたほど。1999年が始まったころのことだった。
「伸び伸びとできるところがいい!」
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タイに渡った直後、「タイ語学校に通ったほうがいいかなあ?」とタイ人の友達に尋ねたことがあった。「Makotoが?どうせ行かなくなるから辞めておいたほうがいい(笑)。私たちが教えてあげる」
手製の単語帳を作ってもらい、繰り返し繰り返し単語を覚えた。どうにか不自由なくタイ語が話せるようになったのは、それから2年後。「サバイバルでした」と笑ってしまうほど、今では懐かしい思い出だ。
仕事ではタイ語と日本語を織り交ぜて使う。日本が発祥のコスプレ文化。日本語がそのまま通用するケースも少なくない。「このスペースに、この写真とこれを使って!」。滋野さんの真剣な声が飛び交う。
職場に日本人は自分一人。でも、気負いも屈託もない。「気を遣うこともなく、伸び伸びと仕事ができる点がいい。日本ではこうはできなかったかも」
「もう一つか二つ、新雑誌にもチャレンジしたい!」
COSMODE THAILANDが版を重ねるにつれ、編集人である滋野さんの「知名度」も次第に高まっていった。今では各地で開かれるコスプレショーに「審査員」としての“お声”がかかる。今年6月に開かれた「世界コスプレサミット・タイ代表予選選考会」では、初めて自身のコスプレ姿も披露。アニメ「銀魂」の「キャサリン」役を演じ、審査員席を沸かせた。
タイのコスプレ文化は、生活の富裕や所得の多寡に関わらず、誰もが楽しめるのが最大の特徴。街を歩けば、低価格の仕立て屋があちこちにあり、青空マーケットにはアニメのコスチュームが所狭しに並ぶ。「みんな、自分で生地を縫い合わせて楽しんでいるんです!」
雑誌の創刊間もないころ、日本のNHKから取材を受けたことがあった。タイでコスプレ文化が開花する様子を収めたドキュメンタリー番組だった。その日本発の文化を伝える日本人として紹介を受けた。
「とっても恥ずかしかったので、実はその番組、よく見ていないんですよ」と笑ってお茶を濁すが、満2年が経過し、まずまずの仕事の成果に自信もよぎる。「もう、あと一つか二つ、オタクカルチャー関連の雑誌を新たに作ってみたいですね」
タイで生活する日本人は最新の2012年統計で約5万人。企業などの駐在員や永住者、その家族などが多くを占め、滞在する男性の多くが仕事を持って暮らしている。女性についてはビザの関係から就労が難しいと一般的に理解されているが、実は、働く女性は決して少なくない。新企画「タイで働く女性たち」では、タイで仕事に就き、活躍する女性たちを追う。
執筆:この記事はタイのオンラインマガジン『anngle』からご寄稿いただきました。
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