“デモ”の次は“革命”か 就職活動を取り巻く現状に革命児現る?

“デモ”の次は“革命”か 就職活動を取り巻く現状に革命児現る?

ちょうど1年前の2011年11月23日(勤労感謝の日)に東京・新宿で『就活ぶっこわせデモ』が行われ、100人以上もの参加者が集まったことを覚えているだろうか。就職氷河期と称されるほどにまで就職内定率が低迷しきった昨今の就職活動のあり方はおかしい、間違っていると世間に訴えかける主旨のデモだ。

しかし、世間には受け入れられなかった。当時のデモの様子を取り上げたニコニコニュースの記事に、

「就職できなかった連中がわめいても仕方がない」(20代・男性)「何を訴えているのかよくわからなかった。就職できない人たちっぽいよねと妻と話していた」(40代・会社員)と厳しい声もあった。(http://news.nicovideo.jp/watch/nw150842より引用)

とあるように、デモに対する世間の目は冷ややかなものだった。それもそのはず、同デモに対しニワンゴ取締役の西村博之氏が

「学生がデモで大学生活の結果を企業に見てほしいと思っているのであれば、デモをするよりもスキルアップした結果を見せつけるのがベストだと思う」(http://news.nicovideo.jp/watch/nw162883より引用)

と発言したように、あるいは、オタキングこと岡田斗司夫氏と同デモ代表者との対談で、氏が

「たとえきみたちが頑張って10万人集めたところで、それが経団連のいらない学生だったら意味が無いわけでしょ?」(http://anond.hatelabo.jp/20120119002919より引用)

と述べたように、元より企業にとって必要のない学生が就活システムに反発したところで、企業側にとっては痛くもかゆくもないのだ。

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ここでようやく本題なのだが、今年『お祈りメールしかこない人の逆転就活術』と題される一冊の本が発売された。一見するとただのよくある就職活動ハウツー本のようだが、この書籍の著者はなんと、現役の大学生だという。

著書のなかにはこうかかれている。

「(省略)もう一つ疑問に思ったことがある。それは、学生の執筆した就活本がないことだ。最新の現場を体験した者の書いた本がないだなんて。いや、現場を体験していない者の書いた本“しか”ないだなんて、これはどこかおかしい。」

~中略~

「就職活動を始めると、様々な情報やアドバイスが自然と入ってくると思う。その中に、人によって言ってることが違うものがなかっただろうか。言ってることが違って当たり前なんだ。採用基準は会社ごとそれぞれ違うから。これに、仕事で無理矢理にでもアドバイスをしなければならない人と、学生をカモにしてお金を稼ごうとする人の情報が加わることで、様々な情報が交錯して今の就職活動は学生も“企業も”困惑している。」

~中略~

「僕がこうして就活本を執筆している背景には、こういったことも関係している。現在の、僕たちの世代の就職活動を体験した者の書いた就活本は、残念ながら他にはなかった。就活ぶっ壊せデモではないが、僕は僕のやり方で、本という形で呼びかけることで、今の歪んだ就活の定説をぶっ壊したいと思う。お役に立てて頂けたらば、本当に、本当にありがたいことです。」
(『お祈りメールしかこない人の逆転就活術』より引用。著者より引用許諾確認済み)

昨年のデモと違うのは、著者がいわゆる“就職できなかった連中”ではないということ。本を出版するだけの企画力と行動力を備え、それを形にできるだけのスキルを持ち合わせている、企業が喉から手が出るほど欲しい人材だ。

また、集団から個人となったことにより、主張が明確になった。『就活ぶっこわせデモ』参加者の主張と『お祈りメールしかこない人の逆転就活術』の著者の主張では相違があるだろうが、訴えが明確になったことにより、それまで内定のもらえない学生がただ不満を述べているだけといった印象の拭えなかったこの主張も、現実味を帯びてきた。個人的には、学生だけでなく企業も被害者なのであるという筆者の意見に着目したい。

力なき集団から力ある個人へとシフトした今年の就職活動を巡る騒動だが、これに対し社会はどう動くのだろうか。大きくは動かないかもしれない。しかし、少なからず徐々に変わってきていることだけははっきりとしている。こういった本が世に出るのも、変化の現れなのだから。

ともあれ、まだまだ就職氷河期は続きそうだ。もうすぐ卒業を控える2013卒就活生は最後の逆転に。今就職活動まっさかりの2014年卒は年明けからの本格的な活動の強力な武器に、一冊いかがだろうか。

※この記事はガジェ通ウェブライターの「竹見」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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