ガレージと趣味部屋が隣接した、人生を楽しむための家【EDGE HOUSE】
人生最後の車とともに、これからの人生を謳歌する邸宅
「これが人生最後の車」
納車されたばかりの2008年式ベントレー コンチネンタルGTを、施主のMさんはそう紹介してくれた。60歳を過ぎ、免許返納のタイミングを考えれば、あと30年間乗るのは難しい。だから最後の車なのだという。
これまで連れ添ってきたのは、1990年式メルセデス・ベンツ SEL( W126型)。新車で購入してぴったり30年間乗り続けたが「夫婦でロングドライブするには、そろそろ心もとなくなってきた」と買い替えた。
良い車を長く乗る。メルセデス・ベンツの前にもポルシェ、ジャガー、ミニ、ダッジ……。「短くて5年。だいたい10年以上は乗っていましたよ」
今回のベントレーは「人生の最後を飾るにふさわしい車って何があるかなと、40 年以上付き合いのある“車屋さん”に相談して決めた」という。
そんなベントレーを収めるのが、約2年前に竣工したガレージハウス。これもまた、Mさんのこだわりが至るところに散見される。
ガレージの奥にある趣味部屋の床は、アンモナイトなどの化石を含んだドイツ製の天然石。ガレージから2階LDKまでへと続く階段は、手すりの造形や踏み板の色や材料にこだわり、納品まで約7ヵ月かかった。
趣味部屋に置かれているオーディオ機器なども同様だ。
「 好きな音楽を聴きながら、愛車を愛でられるガレージハウスが欲しかった」とMさん。建築家の川久保さんと約2年間かけて細部を詰めていった。
シンプルでモダンな佇まいに、デコラティブなアクセント
「どちらかというとデコラティブなものが好みのMさんと違い、奥さまはモダン志向。そのバランスをどう取るかに腐心しました」と川久保さん。
洋服で例えると、シンプルでモダンなシャツに、アクセントとしてのボタンを、どれくらい大きくしたり、どんなカタチや色にするか、という感じだったという。
加えてここは都心の住宅密集地。隣家からの視線が届かないように、けれど太陽の光は入るように、窓の位置や形状を緻密な計算も必要。
こうしてシンプルでモダンな邸宅に、装飾性のある細部が見事に調和したガレージハウスが完成した。
このように緻密な計算がされた、繊細なデザインの邸宅は「実は災害に強く、省エネ性能も高い」と川久保さん。屋根には9.73kWの大容量太陽光発電パネルや蓄電池を備え、万が一の災害時でも自宅でしばらく過ごせる。
断熱性が高いので、夏は涼しく冬は暖かい。そんな、これからの快適な暮らしを約束する家。
終活とは、最後まで自分らしく人生を送るための準備。
車選びもガレージハウスの建築も、Mさんにとっての終活、これからの人生を楽しむためのものだ。
ベントレーが納車した当日には200㎞以上も走ったというMさん。「あまりにも気持ちいいから思いのほか遠くまで行っちゃった」
最後まで自分らしく、の第一歩だ。
■所在地:東京都
■主要用途:専用住宅
■構造:木造 一部RC造、S造
■敷地面積:132.32 ㎡
■建築面積:63.95 ㎡
■延床面積:222.07 ㎡
■設計・監理:川久保智康(川久保智康建築設計事務所)
※カーセンサーEDGE 2020年11月号(2020年9月26日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
文/籠島康弘、写真/茂呂幸正、淺川 敏(リビング)
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