おいしい話にのって儲けることはできるか?―多田文明さんインタビュー(2)

 不況が続く昨今、将来への金銭的な不安や日常的な金欠病から、つい儲け話に気を引かれたり、会社に内緒で副業に手を出したという人もいるのではないでしょうか。コラムニストの多田文明さんは、『おいしい話に、のってみた“問題商法”潜入ルポ』(扶桑社/刊)の中で、世の中に存在する様々な“おいしい話”を実際に突撃で体験し、その模様をレポートしています。
 今回、ポッドキャスト番組「新刊ラジオ第2部」では番組パーソナリティの矢島雅弘氏が世の中の“問題商法”についてインタビューしています。今回は昨日配信した前編に続き、後編をお送りします。(前編はこちらから

 ◇   ◇   ◇

矢島「一気に高額になりましたね。毎日電話をかけてきて、多田さんの個人的なキャッシュフローを聞き出していたのは、どのくらいの金額を掲示しようか見定めていたのかもしれませんね」

多田「要は、年に何度か“仕込みレース”があるというんですね。騎手も馬主も結託した八百長レースがあって、その情報を教えるというものだったんです。しかし、よく調べたらそんなレースがないことはすぐにわかりました。それに、もし本当にそんなレースがあったとしても、間違いなく悪いことですから、情報を知って賭けた自分もお縄になるかもしれません。彼らの騙しの手口として、大相撲の八百長などを引き合いに出して、“官庁が所管しているスポーツには八百長がつきものだから”と言うんですね」

矢島「大相撲の八百長が表ざたになったこともあって、競馬に不慣れな人は信じてしまうのかもしれませんね。逆に、競馬経験のある人が標的の場合は、“馬のオーナー(馬主)がお金を出して、デビュー戦に自分の馬を勝たせるレースがある”というような騙しの手口は信じてしまいそうですね」

◆お小遣い稼ぎしたい気持ちを利用した“副業の罠”

矢島「少しでも収入を上げようとして、副業に手を出す人も多いと思います。例えば、ネットオークションや、アフィリエイトなどが王道かもしれませんが、どちらもきちんとした収入になるまでには意外と大変です。そこで次に目に付くのが、ネットで募集されている割の良いアルバイトですね」

多田「内職のアルバイトですね。ネット上に“気軽にお小遣い稼ぎができる”といった情報が結構あるんですが、先日、購読しているメールマガジンで“地図を塗る内職”のバイトを見つけました」

矢島「地図を塗る内職とは珍しいですね。詳しい謳い文句や、具体的な募集内容としては、どういったものだったんですか?」

多田「“蛍光ペンで地図を塗るだけの簡単な作業で、月収15〜20万円稼げる”というものでしたね。作業内容としては、提携企業が指定した地図を蛍光ペンで塗る内職の仕事です。正直、そんなことで稼げるのか? とは思ったんですが、内職という仕事が実際にあるわけですから、やってみようと思ってメルマガに書かれたURLをクリックすると、情報商材サイトを宣伝するページに飛んだんですね」

矢島「情報商材サイトというのは、いわゆる、“儲かる”とか“モテる”といったノウハウ情報を売るサイトですね」

多田「そうですね。そういった情報を、PDFファイルとか、冊子で販売するサイトです。そこから“地図塗り内職マニュアル”の購入手続きをすると、後日、A4の白黒両面コピー10枚ばかりの、8千円もするとは思えない貧弱な冊子が届きました。多少、がっかりしながらも、肝心の中身が良ければと期待を込めて内容を読んでみたら、“インターネット上で無色の地図を探して、プリントアウトして着色する”と書いてあるんですね。続く文章は、“色塗りはあなたが自由に行ってください”と、具体的な指南は何もなかったんですよ。それに、色塗りのマニュアルなのに白黒なんておかしいですよね」

矢島「確かにそれはおかしいですね(笑)。謳い文句にもあった“15〜20万円の収入”の得方としてはどのようなことが書かれていましたか?」

多田「それが、“作った地図を持って営業活動をする”とありました。つまり、“自分で地図を売って来い”ということですね。そもそもの募集内容は、“提携企業が指定した地図を蛍光ペンで塗る内職”だったのですが・・・。実際に“内職の仕事”があるかのような謳い文句や、15〜20万円というお金を稼げると思うと、騙されてしまうのでしょうね」

(Podcast番組「新刊ラジオ第2部@プレミアム」今週のスゴい人のコーナーより)



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