発売前から海外で話題の“ワンピーススマホ” シンガポール『アニメフェスティバル アジア』出展をレポート
11月10日と11日にシンガポールで開催されたアジア最大級のアニメファンの集い『アニメフェスティバル アジア 2012』(以下『AFA)』。ガジェット通信はここに日本製のAndroidスマートフォン『N-02E ONE PIECE』が出展されるという情報をキャッチ、出展までの動きを取材してきました。会場の模様を含むレポートをお届けします。
発売前から海外で話題に
『N-02E ONE PIECE』は、ドコモが2012年冬モデルとして発表したスマートフォン。国民的人気の漫画『ONE PIECE』とコラボした“ワンピーススマホ”として注目を集めたこの端末が、なんと発売前から海外でも話題になっているというのです。
きっかけを作ったのは、漫画やアニメなど日本のオタク情報を海外へ発信するメディア『TOKYO OTAKU MODE』。700万人のユーザーを抱えるこちらの『Facebook』ページに“ワンピーススマホ”の写真を掲載したところ、1万人以上の「いいね!」を集めたのだとか。
『TOKYO OTAKU MODE』はこれを受けて、『AFA』に“ワンピーススマホ”を出展することを決定しました。出展直前に、仕掛け人であるTokyoOtakuMode社CEOの亀井智英さんに取材することができたので、まずインタビューをご覧ください。
TOKYO OTAKU MODEインタビュー「どうだ凄いだろ、というのを見せたい」
ガジェ通:今回、『AFA』に“ワンピーススマホ”を出展することになった経緯を教えてください。
亀井:『TOKYO OTAKU MODE』って今まで、ほぼインターネットだけで活動しているんですね。リアルな人たちとあまり接触する機会がない。『Facebook』が使えない中国の人や13歳以下の世代にアクセスすることを考えると、イベントに出てアクセスポイントを増やすのがいいだろうと『AFA』の出展を考えました。
でも、メディアって、見せるものがそんなにないんですよね。僕らが情報を出すときには『Facebook』とウェブサイトがある。ウェブサイトはこちらから声をかけたクリエーターの方たちが投稿できるようになっています。その人たちの作品を展示するというのと、日本で話題になっているサービスを実際に見られるようにする、それと自分たちのサービスを展示するという目的で出展することにしました。
“ワンピーススマホ”を取材させていただいたときに、あそこまでのジオラマというか、スマートフォンを置くスタンドとしてサニー号を作り込んでいるようなものは初めて見たんですね。『ワンピース』スマホを見たときに、「これは持って行った方が面白い」「多くの人に見てもらいたい」と思って「お借りできませんか」というお話をドコモさんにさせていただいて。
去年の『AFA』シンガポールは8万人の来場があったのですが、今年はもっと来るようなので、多くの人たちに見てもらう。あとは海外の人たちがその場所でどういう反応をしているのか見てみたいというのがありました。
あそこまでのディテールで、「あそこまでホントに必要か?」という声はあると思うんですよね。それを作っている、「どうだ凄いだろ」というのを見せたいですね。
ガジェ通:『TOKYO OTAKU MODE』の『Facebook』ページに『ワンピース』スマートフォンの写真を公開してかなりの反響があったそうですが、どれぐらいの反響があったのでしょうか。
亀井:アルバムに1万3700の「Like!」、写真ごとについた「Like!」を合わせると1万9000もの「Like!」がつき、シェア数も1000を超えて、海外の反応も非常に高かったです。コメントは、「すごい」「かっこいい!」に加えて、やはり「ほしい」「いつ発売するのか」「アメリカでも買えるのか?」といったものが多かったですね。
ガジェ通:コメントなどのリアクションで印象に残るものはありますか。
亀井:普通に「欲しい」「好き」というものはあるのですけど、「信じられない」「こんなの作っちゃって」「OH! My God!」というものがありますね。携帯電話と分かっていない人もいるのかもしれませんね。「Nice Ship」と書いてあったりとか。
今のユーザー数は700万人ちょっとなんですけど、99%が外国人なんですよ。「私の地域で買えるんですか?」とか「いつ出るの?」というコメントもあります。英語なら分かるのですが、スペイン語とかアラビア語のコメントもありますね。
ガジェ通:日本の携帯電話のコラボモデルは外装のデザインだけでなく、サニー号のような周辺機器からユーザーインタフェースなどのコンテンツまで世界観に沿って作り込んでいるのが大きな特徴だと思います。そういった部分が海外では驚かれていたりするのでしょうか。
亀井:写真だけだと伝わらない部分があると思います。会場で実際に動く物を見て「これ凄いな」「こんなところまでやってるんだ」というのが伝わるかなと。
ガジェ通:『AFA』会場ではどのような展示を予定されているのでしょうか。
亀井:ショーケースに入れて展示します。あとは端末を首からぶら下げて、動きが見られるようにもします。“ワンピーススマホ”のほかに、“ジョジョスマホ”も持っていくので、そちらの反応も楽しみですね。
ガジェ通:実機に人が殺到しそうですね。
亀井:ちょっと怖いですね……。
『AFA』での“ワンピーススマホ”出展に手ごたえを感じている様子の亀井氏。現地での実際の反応はどうだったのでしょうか。10日と11日に開催された『AFA』には、ガジェット通信のソル記者が取材に行ってきましたので、レポートしてもらいます。
『AFA』会場レポート 来場者の注目を集める“ワンピーススマホ”
シンガーポールのシンガポールエキスポにて11月10日、11日に『ANIME FESTIVAL ASIA 2012(以下、AFA2012)』が開催された。メイドカフェ『MOE WONDER LAND』や執事喫茶風な『CAFE ROYALE』があり日本の文化を満喫できる。そのほかに『ニコニコ動画』とグッドスマイルカンパニーがブースを構え生放送を行い、現地のアニメファンが『ニコ生』デビューしたりと、海外のアニメファンにとって貴重なイベントとなった。
そんな中、ファンの心をとりこにしたブースがあるので紹介したい。『TOYKO OTAKU MODE』ブースに展示されている、“ワンピーススマホ”の『N-02E ONE PIECE』だ。一見するとおもちゃにもジオラマにも見えるこの携帯。実はサウザンドサニー号がスマートフォンのドックスタンドになっており、スマートフォンに付属してくる。もちろんスタンドに挿した状態でデーターのやりとりや充電ができるようにUSB端子も側面についている。
サウザンドサニー号にはルフィなどおなじみのキャラクターが搭乗しており、部屋に置いていても楽しめる。
またワンピース携帯とは別にジョジョスマホ『L-06D』も展示されていた。こちらは大型液晶スマートフォンとなっている。
『TOYKO OTAKU MODE』ブースではこのようなスマートフォンの展示のほかに、イラストレーターさんの展示も行っている。『TOYKO OTAKU MODE』はシンガポールの来場者はもちろん、世界各国の来場者から注目されており、皆がショーケースの“ワンピーススマホ”を写真に納めていた。
会場では海外メディアもこの“ワンピーススマホ”に注目しており、ブースへ取材に訪れていた。海外メディアのコメントをいくつかもらえたので紹介したい。
シンガポールのメディア:
『ワンピース』はシンガポールでは大人気。随分前から人気があるが、それが一向に衰えないのが凄いと思うところ。自分の記事は中国でも配信されるが、中国でも人気は高く、反応が楽しみだ。
マレーシアのメディア:
TOKYO OTAKU MODEのブースで見た『ワンピース』コラボ携帯は非常に興味深い。シンガポールでは売らないのだろうか? コンテンツを含めてカスタママイズされているのはすごい。そういう端末は世界的になかなかないと思う。
今回展示された“ワンピーススマホ”はシンガポールでの販売予定はないが、ファンなら欲しくてたまらない一品だろう。携帯としてでなくフィギュアとして欲しくなるガジェットである。「シンガポールで発売されなくて悔しい」「是非発売してほしい」といったファンの声が多数挙がっていたので、要望次第ではシンガポールでも“ワンピーススマホ”は発売されるかもしれない。まずは日本での評判を見てからとなるだろう。『AFA』での反応を見る限り、現地の人にかなり大盛況だったので日本でもヒットは約束されているとみてよいだろう。
(レポート執筆:ソル)
国産アニメ・漫画コラボ端末が世界デビューする日は近い?
このように、シンガポールでも大好評だった“ワンピーススマホ”。ソル記者も指摘するように、おそらく限定5万台のこの端末は国内ですぐに完売となり、海外でもさらに評判が伝わることになるでしょう。
アニメ・漫画とコラボしたスマートフォンが、国産スマートフォンの海外への展開の足がかりになる可能性はあるのでしょうか。亀井さんへのインタビューで聞いてみたので、最後に引用します。
ガジェ通:日本のアニメ・漫画コラボのスマートフォンは、海外でも通用すると思いますか?
亀井:思いますね。毛色は違いますけど、キティちゃんとかは海外でセレブにも人気があって、日本とは違った層に人気がある。好きな人だったらお金を出して買う、というのは海外でもあるのではないかと思います。日本でも「携帯電話として使えればいい」という人と、「携帯電話も自分の好きなものが欲しい」とこだわりのある人に分かれると思うんですよね。それと変わらないんじゃないかと思います。
「日本もまだまだ世界で勝負できるかも!」という夢を見せてくれる“ワンピーススマホ”。日本が誇るアニメ・漫画文化を取り入れたスマートフォンが世界をアっと言わせることになったら痛快ですよね。その発売と反響が今から楽しみです。
宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
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