悪い噂を流されないための“接客の心構え”

 洋服屋で、店員さんに話しかけられるのが苦手…という人は意外に多いのではないだろうか。売上のためもあるだろうが、店員は似合う服を着てもらいたいという親切心から声を掛けているのに、私たちお客側からすると「一人でゆっくり考えて選びたい」「必要があるときだけ店員さんを呼ぶのに…」と思っている場合も多々あるもの。
 店員と客でズレが生じてしまうだけに接客の仕事というのは難しいものだ。

 『誰からも嫌われない 図解 店員のマナー』(サンクチュアリ出版/編集、サンクチュアリ出版/刊)では、接客・販売促進・社会常識など、専門家に取材し、店員として知っておくべき常識をマンガと図解を使って分かりやすく解説した一冊だ。

 店員のちょっとした気遣いや優しい一言で、その日1日気分良く過ごせた。逆に態度の悪い店員のせいで気分を害され、さらにはそのお店のイメージも悪くなった。こんな経験を誰しもしたことがあるはずだ。
 接客というのはそれだけ重要な仕事で、企業のイメージさえ左右しかねない。本書に掲載されている、「Fastask」調べによる「店や店員への不満」のアンケート結果によれば、「店や店員に対して不満を感じたことがある」という人は92%。「そのうち、再びその店に行きたくないと思う」という人は75%にもなる。
 また、ビジネス書作家の神田昌典氏は『口コミ伝染病』(フォレスト出版/刊)の中で、満足な場合は3人にしか話さないが、不満な場合は33人に話すという「三対三三」の法則を紹介している。例え、店側が良かれとやったサービスもマイナスの印象を与えていれば、たちまち悪い噂として広がってしまうのだ。

 では、店員はどのような心構えで接客をすればいいのだろうか。接客には個人の習熟度による段階を表す「守・破・離」という考え方があるという。「守」は基本の習得、基本の遵守、基本の徹底が重要なレベルだ。新人時代から数年までの期間。「破」は基礎がしっかり身につき、ある程度どこでも通用する接客ができる段階である。マニュアルにない自分なりの応用を模索しはじめるレベル。そして、「離」は自分の店を構えるなどの独立段階となる。
 まずは、自分がどの段階にいるのかを自覚するところからはじめよう。もし、「守」の段階にいるのなら、日々の仕事において自説をあれこれ唱えるようなことはせず、ひたすら基本の習得に徹することが何よりも必要とされるということだ。

 一生懸命接客をしているはずなのに、あまりお客さんの反応が良くない…。そんな風に感じている人には、本書は参考になるだろう。
(新刊JP編集部)



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