歓声がこだまする土間のある、カイエンが収まる海沿いのガレージ【EDGE HOUSE】

歓声がこだまする土間のある、カイエンが収まる海沿いのガレージ【EDGE HOUSE】 ポルシェカイエン、フィアット500

子どもたちと戯れながら、愛車を覗ける土間。

今にも子どもたちの歓声が聞こえてきそうな、約17畳の広い土間。

壁には子どもたちが何度も落書きした跡が残る黒板がある。

「休みの日はボール遊びや縄跳びなど、ここで子どもたちと過ごしています」と施主のOさん。

ソファの目の前にある白壁はプロジェクターのスクリーンにもなる。

「家族とスポーツ番組を見たり、映画を楽しんでいます」

一方、反対側を振り向けば、大きなガラスの向こうに、愛車を覗くことができる。

玄関ドアを開け、靴を脱がなくてもすぐに寛げる土間リビング。

「もともと薪ストーブやペレットストーブが置ける空間が欲しかったんです」

ストーブの火を眺めながらお酒を飲める、そんなスペース。

他にも、雨の日でも子どもたちと一緒に遊んだり、気が向いたときにDIYできる場所や、ちょっとした仕事ができる机も欲しかった。

それらをすべて解決したのが、この土間という第2のリビングというわけだ。

「今年1月の寒い時期に入居したんですが、エアコンだけで十分暖かかったので、ストーブを入れる機会を失いました」

備える場所や煙突の位置はすでに決まっているという。

ポルシェカイエン、フィアット500 ポルシェカイエン、フィアット500 ポルシェカイエン、フィアット500

真っ白なガレージと青く広がる海と空。

土間には、もう一つこだわったことがある。

それは土間からガレージの愛車が見えることだ。

「海沿いなので、塩害対策として車はインナーガレージに収めようと決めていました。だったら、土間からも愛車を眺められるようにしたいなと」

栃木県の那須でも宿泊業を経営しているOさん。

去年までは那須の宿泊施設の近くで暮らしていた。

「私も妻も地元はここ、いわき市なんです。両親が住んでいるので、いつかは戻って一緒に暮らしたいと考えていました」

那須の事業が軌道に乗った数年前から、その思いを叶えるため、那須と同様の宿泊施設と、両親との2世帯住宅を建てられる土地を探し始めた。

「海沿いを希望していたのですが、なかなか見つかりませんでした」

それでも根気強く、時にGoogle Mapの航空写真まで使って探し、ようやくこの場所を見つけたという。

それくらい、リビングから海が見える暮らしに憧れていたという。

建築家の雨宮さんも、当然その点を重視。

宿泊施設と自宅どちらも「リビングから海が見える」よう、海沿いの防波堤が邪魔にならない高さまで盛土している。

そのため宿泊者は目の前に広がる広大な太平洋と、太陽と雲の競演によって生まれる、刻々と変わる景色を何ものにも邪魔されることなく、部屋から眺めることができる。

もちろんそれは、Oさんの自宅2階リビングからも同様。

海側の窓はさながら、毎日絵柄が変わる大きな額縁のようだ。

本当は今頃、土間のプロジェクターを使い、家族みんなで東京オリンピックを楽しんでいる予定だった。

残念ながら楽しみは一年後にお預けになってしまったが、「コロナ禍で、やっぱり土間はいいなと再認識しました」

外出自粛の間、土間は子どもたちの格好の遊び場となった。

土間に響く子どもたちの声は、どんなときも家族を元気にしてくれる。

ポルシェカイエン、フィアット500 ポルシェカイエン、フィアット500 ポルシェカイエン、フィアット500

■所在地:福島県いわき市

■主要用途:専用住宅

■敷地面積:680.69 ㎡

■建築面積:174.72 ㎡

■延床面積:237.01 ㎡

■設計・監理:雨宮 靖(ユー・ジー・ユー・アーキテクツ)

■TEL:045-873-1655

※カーセンサーEDGE 2020年9月号(2020年7月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています

文/籠島康弘、写真/尾形和美

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