アメリカで広がる“新しい読書”

 読書といえば本を開いて目で文字を追うもの、と思い込んでいる人も多いだろう。しかし、耳で音を聴く読書の形もある。それが「オーディオブック」だ。
 アメリカでは市民権を得ており、市場も2009年度の売上で9億ドルに達する規模になっているが、日本ではそこまで広まっている感じはしない。それでも近年、スマートフォンや携帯型音楽プレーヤーの普及によって気軽にダウンロードできるようになったほか、オーディオブック専門の配信サービスが登場したり、オーディオブックの価格が書籍と同じくらいになったなど、風向きは変わってきており、利用者は4年前と比較して100倍に、オーディオブック配信サービスの「FeBe(フィービー)」では約7000コンテンツを揃えるようになったという。

 さて、そんな「オーディオブック」を活用することで、どんなメリットがあるのだろうか? オーディオブックの魅力をあますところなく伝える『「耳読」で、もっと読めるようになる!』(上田渉/著、ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊)からピックアップしてみよう。

□満員電車の中、ランニング中などスキマ時間を使って聴くことができる
□耳読をすれば、読書時間は約3倍になる
□朗読をはじめ、オーディオドラマ形式、講演会形式など、種類が豊富
□内容だけでなくしゃべり方や声の出し方なども学べる
□普段の読書に比べ脳に負担がかからない
□もちろん目も疲れない
□聴きながらイメージしやすい

 こうした形で様々なメリットが挙げられる。しかし、その反面、ちょっとした疑問も浮かんでくる。ということで、気になる疑問をオーディオブック配信サービスとして国内最大手を誇る「FeBe」の担当者にぶつけてみることにした。

Q、ランニング中や車の運転中にオーディオブックを聴いても、なかなか内容が頭に入ってこないのでは?(集中できないのでは?)

「耳を使った読書の利点として、“耳は繰り返して聴いても疲れづらい”というものがあります。「集中しなければ」と思う必要はなく、また周りが見えなくならないよう、ラジオ番組を聴くようなイメージで気軽に聴いていただくことを推奨しております。気になるフレーズは意外と頭に残るので、繰り返し聴くことで、内容をご自身のものにしていただくことができるかと思います」

Q、読書時間は約3倍になるというが、一冊を音声にするとそれなりに長い時間になってしまうはず。読書時間は約3倍になるが、一冊を読み切る時間も約3倍になるのでは?

「紙の書籍を読むことは、なかなか別の作業と同時並行で行うことができないかと思いますが、耳を使った読書でしたら、いろいろな作業と同時に行うことができます。そのため、今まで読書ができないと思われていた時間に読書をすることが可能となりますので、単純に読書時間が増えると考えていただいて問題ないかと思います」

Q、実際に一度聴き終わったあと、どれくらい本の内容を覚えていられるのか?

「こちらは人それぞれ、というところになりますので、まずは一度お試しいただければと思います。『耳読で、もっと読めるようになる!』では、お求めいただいた方全員にオーディオブックの無料プレゼント企画を実施しておりますので、ぜひご活用いただけますと幸いです」

Q、飛ばし読みができない、自分の好きなところからスタートをすることができないというデメリットはないか?

「本を章ごとに分けた「分割版」というものがございますので、そちらをダウンロードしていただきますと、簡単に頭出しや章の移動が可能です。何度も聴かれている作品で、「あの場所をもう一回聴きたい!」という場合は、iPhone用音声再生アプリ「Kiku Player」が便利です。5秒、30秒単位での早送り・巻き戻しや付箋機能があるので、気になる場所に付箋をつけたりコメントを残したりすることができます」

 オーディオブックが少しずつ広まるにつれ、使う側の環境も少しずつ改善されてきている。
 ちなみに、『「耳読」で、もっと読めるようになる!』にはあまり語られていなかったが、例えば声優がベストセラー小説を朗読するなんていうのもアリだろう。そういった「声」のビジネスとの連携も期待したいところだ。
 オーディオブックは目を使わずに、受身の態勢で情報を受け取ることができる。本を読むのは苦手だったり、普段あまり読書に時間を割けられないと悩んでいる人、ちょっと変わった読書の楽しみ方をしてみたい人はオーディオブックを試してみてはどうだろうか。
(新刊JP編集部)



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