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「成功法則」を実践する際の注意点とは?

 「こうすれば大金持ちになれる」
 「成功するために必要な考え方とは?」
 このようなことについて書かれた、いわゆる“成功法則”の本が巷に数多く出回っていますが、それを読んだからといって全員が成功できるわけではなく、本当に成功する人はやはり一握りです。
 作家・水野俊哉さんは、新刊『「成功」のトリセツ』のなかで、これらの「成功本」に欠けている点を指摘し、「高級ホテルのスイートルームでカップラーメンを食え!」「嵐がブレイクした理由」などのユニークな実例を交えて、本当の意味で“成功”するための鉄則を示しています。
 私たちが何らかの形で成功を収めたり、ブレイクするために必要なものとは一体何なのでしょうか。そして、そもそも「成功」とはどのように定義すべきなのでしょうか。
 今回は水野さんご本人にお話を伺い、ご自身の成功論を語っていただきました。注目のインタビュー後編です。

―本書の中で、第1章に書かれている「高級ホテルのスイートルームでカップラーメンを食え!」という項目が目を引きました。これはある種、象徴的な行為だといえますが、どのようなことを目的とされているのでしょうか。

水野「高級ホテルのスィートルームに宿泊すると1泊20万円くらいします。この料金には、豪華な内装や調度品や立地やデザインが醸し出す高級な雰囲気や一流のサービスなどが含まれています。
また、冷蔵庫の中を見れば一本100円のミネラルウォーターが1600円したり、5000円のワインが3万円したりする、いわば非日常的な空間なのです。
一方、カップラーメンは150円。ホテルの朝食だと4000円くらいしますが、20万円の部屋で150円のカップラーメンを食べると、体感的には2000円くらいの満足感を味わうことも不可能ではありません。
行動経済学でアンカリング(船の碇のこと)といいますが、月給20万円の人が月給100万円になったら80万円貯金できるかというと、なかなかそうはいかず、普通は支出も増えて金銭感覚が狂ってきます。
つまり、お金に対する基準値が狂いやすいのです。たまに贅沢するのは悪いことではありません。しかし、そこで金銭感覚まで狂うと大変なことになります。ですから、高級ホテルのスィートルームであえて、朝食にカップラーメンを食べることで、非日常的なセレブ空間からチェックアウトした後に金銭感覚が狂わないようにしています。
もしも大切な彼女とホテルに泊まる機会があったら、一緒にカップラーメンを食べてみてはいかがでしょうか?勝手に冷蔵庫の中のものをガンガン空けてしまうような女性は、彼女や奥さんにするのは考えものだと思います」

―水野さんは、ご自身のお子様にサラリーマンにはなるなと教えているとのことですが、この時代にサラリーマンになるメリット・デメリットをどのようにお考えですか?

水野「僕は子供には作家かリスクを自分でコントロールできる経営者になるよう薦めています。というか、サラリーマンになりたいと言い出さないように、さりげなく洗脳し続けてきました(その模様は本を読んでください)。
サラリーマンのメリットは毎月決まった収入が受け取れること、長期的に安定した雇用が保証されていたことだと思いますが、それは高度経済成長期からバブルが崩壊するまでの話で、今や日本の会社には全社員を定年まで雇用して、退職金や年金まで支給するような余裕はありません。
つまり、大企業に務めていても早期退職やリストラの対象になるかもしれないし、中小企業であれば10年後に自分の会社が生き残っている可能性も50%を切っていると思います。
ではなぜ親が子供にサラリーマンになるよう教育をするのかといえば、それ以外の働き方、お金の稼ぎ方を知らないからかもしれません。
確かに独立にはリスクがありますし、自由業だって大変な部分はあります。でも+の部分を見れば時間も比較的自由になるし、人間関係で苦しめられることも少ないはずです。
お金に関しては、なんともいえませんが、少なくともやっている仕事に打ち込めるのなら、成果は後でついてくる、という考え方でいいと思います。
そのためにも努力し続けること。チャレンジし続けること。大きなマイナスを避けることが成功への道だと思います」

―水野さんといえば、かつて事業の失敗により多額の借金を負っていたことが知られています。当時と今の「成功」や「幸福」の定義はどのように変わりましたか?

水野「“人は失うことでしか大事なことに気づけない”と、昨年出した『幸福の商社 不幸のデパート』(大和書房/刊)でも書きましたが、当然のように「ある」と思っていたものがなくなったとき、はじめて本当に大事なものに気づきました。
また、お金を出して得られる快楽は一瞬のものです。そういう意味でいえば、まず一番大事なのは自分の命であり、次に家族や恋人や友人など身近な人との時間。そして、趣味や運動など心と体の健康に使う時間や心の平穏。他人と比べるのではなく、自分の中の評価軸に従うことなど、色々なことに気づきました。
この中から人生の「リスク」と「リターン」を考える、「社会規範」と「経済規範」の違いを知る、金銭感覚を鍛えるなど、この本ではそういったことをテーマにして書きました」

―人生において、自分が「成功」したかどうか、というのは自分でも判断しがたい問題だと思われます。水野さんは、自分が成功したかどうかをどのように判断しようとお考えですか。

水野「一番いいのは自分の好きなこと、やりたいことが仕事になっていることです。次に家族や友人、恋人などお金の関係ではない仲の良い人たちに囲まれているかどうか。健康であるかどうか。趣味の時間がとれているかどうか。そうしたことがクリアされていれば幸せですし、充分に「成功している」と言って過言ではありません。
「成功」という定義に預貯金や収入や有名であるかどうかなど見栄、名誉、権勢のようなものは関係ありません。
自分自身についていえば、極力執筆に専念して作品を発表し続けること、家族との時間、趣味の時間、健康の時間を大事にすること。出版セミナーなどの受講生ときちんと向き合うことなどがあげられます」

―「成功本」の内容を実践しようとしている人が気をつけるべきポイントがありましたら教えていただければと思います。

水野「僕自身は会社経営者時代から成功本を読み始め、2007年冬からは毎日2、3冊読み続ける生活になりました。 大事なことは、自分の心の中がプラスかマイナスかということ。どれだけ素晴らしい教えでも、その人の考え方がマイナスであれば現実の結果はプラスにはなりません。
僕が観察している中でも、中卒の元カラオケボックスの店員さんが大金持ちになって幸せに暮らしている一方で、東大や京大を出ても30代、40代になっても何かを探し続けて、世の中のあらゆることを分析しては、実際の行動は中途半端なのに文句ばかり言っている人もいます。
つまり学歴などよりも、その人の性格や物の見方や行動力、人との付き合い方が大事なんだなーとつくづく思います。
あとは、成功者といっても、よくよく見れば大抵は1つか2つのことで成功しているわけです。野球もできて演技もできて会社も経営して、インターネットビジネスで成功してなんて人はほぼいません。
私にしても、本を一生懸命書き続けていることと、出版セミナーを運営し続けていることはまぁまぁ褒めてあげたいですが、他のことは何ひとつまともにできていません。
つまり、自分が集中できて強みを発見できる分野にコツコツと取り組んでいくのが一番だと思います」

―本書をどのような人に読んでほしいとお考えですか?

水野「女子、いや女性。あと、20代〜30代の若い人、学生の方にも読んでもらいたいですね。さらっと読んで、こんな人もいるんだー、こんな物の見方もあるんだーと思ってもらえれば充分です」

―最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いできればと思います。

水野「僕はTVや新聞などのマスコミや外部講演、インターネット上でも知らない人とは会わないようにしています。もしも本を読んで興味を持った人はセミナーなどで会いに来てください。もちろん本を読んでいただけるだけでも凄く嬉しいです。感想などもお待ちしています」
(新刊JP編集部)



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