尖閣・竹島・四島・・領土と国 中国の「国」

尖閣・竹島・四島・・領土と国(6) 中国の「国」

今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

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尖閣・竹島・四島・・領土と国 中国の「国」

尖閣諸島の問題で、日本と中国の考え方が調和していません。これは当然で、両国の人が「国」と考えるもの、それそもそもが違うからです。

日本人は、「もともと「日本国」という国があり、その外は外国」と考えますが、中国人は「もともと「中国」という国はなく、力で取ったところが中国」ということだからです。

その結果、日本は大東亜戦争の前に朝鮮やフィリピンを併合したり、占領したりしましたので、「外国の領土を占領してすまなかった」と反省しています。ところが中国は「もともと外国の領土というものはないのだから、占領したところは中国だ」と思うので、反省はしません。

尖閣・竹島・四島・・領土と国(6) 中国の「国」

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中国人のこのような国に対する考え方をもっともよく示すのが、この写真に示した「万里の長城」と「満州」です。中国の北京のすぐ北に万里の長城があることは多くの人が知っています。今から2000年ほど前にまず秦の始皇帝が最初の万里の長城を築き、それから近代になって日本ではちょうど江戸時代ころの中国の王朝「明」が大規模な長城を築いて「これから北は外国だ」と宣言しました。

ところが、その後、満州にできた「外国」の軍隊が万里の長城を超えて攻めてきて、中国が占領されました。つまり、中国が自ら外国と宣言した満州を占領したのではなく、外国の満州が中国を占領したのです。

中国というのは外国であれ、どこであれ、自分たちと一緒になったら中国という考え方ですから、奇妙なことに満州に占領されたら、満州を「中国」と呼ぶようになったのです。

自分たちでこれほど立派な長城を作って「外は外国だ」と宣言したのに、状況が変わればすぐ固有の領土にしてしまうというのが中国の考え方です。つまり同じ漢字で「国」としてきましたが、その内容が違うとも言えます。

たとえば、日本が中国を攻めて占領すると、中国は「日本は中国のものである」と言うと思います。今では、中国は満州を「中国」としていますが、自分で万里の長城より北は外国と宣言したのですから、普通の常識や道徳では考えられないことです。

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この地図は宮脇先生がお作りになったもので、時々、使うのですがもともと今の中国自体が、満州を取り込んだ形になっています。これは歴史的に中国とは言えないものであることがわかります。

これと同じのが、これも万里の長城より北の内モンゴル、西の新疆ウィグル、そしてチベットです。これらの国に独立運動があるのは、「もともとは、ここは中国ではない」という感覚があるからです。

尖閣諸島については、このブログでも証明したように、歴史的にも完全に日本の領土です。日本では「日本流(国際的にも一般的)に日本の領土だ」と言っていますが、中国は「もともとどの国の領土などということはない。武力で占領したり、強く言って取ってしまえば、中国だ」と言っています。

このような中国の考え方では、日本流の根拠がなくても「中国固有の領土」と言うことになります。この「固有」とは「もともと全世界が中国のものだ」という考え方から来ています。

この思想は日本の将来に取ってきわめて危険なので、絶対に妥協してはいけません。一つ譲れば、次は日本人が住んでいるところを「固有の国土」と言ってくるでしょう。

日本人が中国人の「国」という考え方を理解したり、それに基づいて中国との折衝を行うのはかなり難しいと思います。繰り返し中国の「国」を理解し、「中国も日本の領土だ」ぐらいに思わないと、中国の主張を理解する事ができないと思います。

特に現在ではマスコミの解説者が「日本流の国土論」で「中国の主張に反撃」をしているので、「少し妥協したらどうだ」という意見もでてきましたが、日本が妥協しても、もともと世界中の土地が中国のものですから、中国は妥協とは思わないでしょう。




平成24年10月1日 尖閣・竹島・四島・・領土と国(6)中国の「国」 武田邦彦氏音声ファイル『ニコニコ動画』
http://www.nicovideo.jp/watch/1349754870

執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

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