忙しい毎日が変わる 家事の4つのヒント
家事は日々の生活を支える大事な作業。とはいえ、面倒だし、忙しい中で時間をかけたくない……。できればムダは省きつつ、ラクして家事のクオリティを上げたい。
そんなシンプルな家事を実現するため、今までの家事に対する固定観念を捨てて忙しい毎日が変わるヒントを、分野の異なる4人の専門家に聞いた。
キーワードは “ムダはやめる!” “仕掛けをつくる!” “家族でシェア!” “家から変える!”
ヒント1 “ムダはやめる!”(画像提供/PIXTA)
「やらなくていいことはしない」と
きっぱり決めるとゆとりができる
「今までは『料理が好き』『片付けが好き』という人が理想の主婦として、注目される時代だったと思います。主婦たるもの『家事がキライ』と声を大にして言ってはいけない雰囲気さえありました。でも、私は家事が苦手だから、やらなくていいことはしません。ムダなことに時間をかけるくらいなら昼寝をしたい(笑)」
シンプルライフ研究家のマキさんは「家事をしなければいけない」という思い込みをなくし、家事嫌いでも快適に暮らすため家事の工程を省いてシンプル化。「例えば、洋服はハンガーに干して畳まずにしまうなど、やらなくていいことは“しない”と決めるとゆとりができ、家族と楽しく過ごす時間が生まれますよ」●教えてくれたのはこの人●
シンプルライフ研究家
マキさん
不要な物は持たない、不要な家事はしないシンプルで豊かな暮らしをつづったブログ「エコナセイカツ」が好評。著書に『しない家事』や『虫のいい家仕事』
ヒント2 “仕掛けをつくる!”
(画像提供/PIXTA)
家事が自然とできるような
仕掛けをつくる
誰でも家事を無駄なくできるヒントが、大阪大学の松村真宏教授が提唱する『仕掛学』に潜んでいる。
「日常生活で面倒や不便を感じることに、違う目的や選択肢を与えて、強制ではなく、ついやりたくなるように変える。それが仕掛学です。例えば、自転車の駐輪場に斜めの線が引いてあれば、自然と斜めに自転車を停めたくなるでしょう」
仕掛学は家事にも取り入れられそう。
「家事をゲームや運動として捉え、『食器洗いで○カロリーを消費』などとグラフで可視化するとか。数字が増えると達成感があり、無理なく家事ができます」
遊びの要素を取り入れれば、パパや子どもも自然と家事に参加したくなるかも。●教えてくれたのはこの人●
大阪大学教授
松村真宏さん
大阪大学大学院経済学研究科教授。「大阪大学シカケラボ」を主催。著書に『仕掛学:人を動かすアイデアのつくり方』『人を動かす「仕掛け」』など
ヒント3 “家族でシェア!”
(画像提供/PIXTA)
家事をみんなでシェアしながら
“チーム”として運営する
妻目線で語られがちな家事だが、夫こそが自発的に行うべき、と語るのは家事シェア研究家の三木智有さんだ。
「これまでは家庭の中で妻が家事を担う前提で、それを夫がどう手伝うかという考えが主流でした。でも、共働き世帯が半数を超えた今、妻だけが家事を負担するのは無理があります。家事シェアでは家事をみんなの家族ゴトとして捉えて、“チーム”として運営していきます」
家事をシェアするにはどうすれば?
「例えば、妻が掃除機をかけている際に夫は風呂掃除をするなど、夫婦が同時進行で家事をする『パラレル家事』でチーム感を高める。2人の受け持ちをパターン化するとシェアしやすくなります」●教えてくれたのはこの人●
家事シェア研究家
三木智有さん
家事シェアコンサルタントで、内閣府「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」委員。家事シェアを広めるためにNPO法人tadaima!を設立した
ヒント4 “家から変える!”
(画像提供/PIXTA)
自分の暮らしに合わせて
家を合理的に編集する
家事をラクに行うためには家から変えるべきと、ブルースタジオの石井 健さん。「今までの日本では決められた家に人が合わせて住むのが当たり前でした。これらの家の多くはみんなが満足する最大公約数的な観点でつくられており、個人にマッチするとは限りません。今の間取りを疑ってもいいし、空間の役割にとらわれる必要はありません。自分の暮らしを見つめ直してそれに家を合わせるんです」
では家事をシンプルに行うためには?
「共働き世帯やテレワークの方など、マルチタスクでさまざまな家事や作業を行うことが増えています。複数の家事を同時にできるよう動線を変えるなど、家を合理的に編集するのがオススメです」●教えてくれたのはこの人●
ブルースタジオ
石井 健さん
日本のリノベーション業界をけん引するブルースタジオ執行役員。『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)
4つのヒントを見てきてわかるのは、家事の在り方が時代とともに大きく変わりつつあるということだ。現代の暮らしに合わせて、きっぱりやらないと決めたり、進んで家事をしたくなる仕掛けをつくったり、あるいは家族を巻き込み作業の手を増やしたり、または家事動線から変えてしまったり。家事も合理的に判断してやっていくのが良さそうだ。
構成・取材・文/藤井たかの
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