保育園「登園自粛」で疲弊するワーママ 子どもと在宅勤務、イライラせずに乗り切るコツは

保育園「登園自粛」で疲弊するワーママ 子どもと在宅勤務、イライラせずに乗り切るコツは
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言後、自治体が独自で休園を判断したり、「登園自粛」を要請したりする動きが広がっています。新型コロナウイルスをきっかけに、在宅勤務への切り替えが進む中、戸惑いながらも自宅で働き続けるママにとって、子どもを保育園に預けられないことは、さらなるストレスに。

「今日が締め切りなのに、子どもが話しかけてきて邪魔をする」「テレビ会議中に子どもが画面に入ってきてしまった」など、仕事に集中できないことにイライラ。一方で、「せっかく一緒にいるのに、テレビばかり見せてしまった」「つい子どもに当たってしまった」など、仕事と子育ての両立に葛藤するという声も。イライラをためずに、子どもと一緒に上手に在宅勤務を乗り切るコツは。特定社会保険労務士・産業カウンセラーの茅根真由美さんに聞きました。

1日のタイムスケジュールを子どもや夫と共有してメリハリを。また「こんな状況では思い通りにいかないのは想定内」と流れに身を任せることで気持ちを軽く

Q:在宅勤務をするママは、仕事中に子どもがいることで、どんなことに困っていると考えられますか?
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子どもがいる中で仕事を進めることは、想像以上に大変なことです。休園となっている保育園の現場からも「働くお母さんの状況を考えると、預かってあげたいのは山々だが」と心配する声が上がっており、実際に、子どもを預けられない中で在宅ワークを経験しているママからは、今の状態を「無理ゲー(実現不可能の意)」と、評する声が出ているほどです。

特に、乳幼児の子どもは、一人で遊んでおける時間がほんのわずかしかありません。ママは自分のためのまとまった時間がとれず、日中はほとんど仕事にならないでしょう。そのため、テレワークといいながら、子どもが寝静まった夜に仕事を片付けるという人が多いようです。

さらに困るのが、テレビ電話を使った会議や打ち合わせです。社内の会議では、事情を伝えられる上司や同僚とのやりとりとなるため、たとえ「子どもが画面に映る」「子どもが後ろで騒いでいる」などがあっても、ある程度大目にみてもらえます。

一方、取引先など対外的な打ち合わせなどでは、時間の融通も利かず、「ビジネスの場では、子どもの存在を隠しておくことがマナー」と、自身が思い込むあまり、プレッシャーを感じてしまうようです。

Q:子どもがいても仕事に集中できるよう、工夫できることはありますか?
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平時では、打ち合わせや大切な会議がある2~3時間だけ、一時的に「ベビーシッターを利用する」「両親に頼む」など、子どもを預けることができますが、今回のように、感染のリスクにより、人との接触が避けられている中では、叶いません。

ただ、在宅ではオン・オフの切り替えが難しいため、アラームや音楽などをセットし、休憩時間の合図を決めておくといいでしょう。「この音が鳴ったら遊べる時間」というように、子どもにも見通しが伝わりやすく、自分自身の集中力も高まります。

Q:仕事に集中したいと思う一方で、子どもをかまってあげられず「罪悪感を抱く」という声も。仕事中、子どもとどう接すると、スムーズにいきますか?
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言葉が理解できる年齢なら、「今日は家にいるけど、ママはお仕事があるからね」などと、親の仕事について丁寧に説明するようにするといいですね。

また、毎日、1日のタイムスケジュールを家族が見える壁に貼り、「仕事をする時間」「遊ぶ時間」などを決めましょう。仕事のキリが多少悪くても、親自身がきちんとスケジュールを守っていると、子どもにも納得感が生まれやすいでしょう。

今回、夫婦とも在宅ワークという家庭も多いですが、家事や育児の負担は妻の方が大きい傾向にあります。

「夫の仕事を優先し、自分は有休をとって子どもの面倒をみている」「同じように家で仕事をしていても、なぜか夫には子どもが寄っていかず、自分が相手をしてしまう」などの声が聞かれました。

家庭によって、父親と母親で役割の差があるとは思いますが、夫の「子どもを寄りつかせない仕事中の姿勢」は一つのヒントになるかもしれません。仕事中は毅然とした態度で、休憩中にはしっかり子どもに向き合うなどメリハリをつけ、子どもに接することも大切です。

Q:平時では、子どもがそばにいながら在宅勤務を認めるケースはあるのでしょうか?
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子どもがいる、いないに関わらず、テレワークを希望する人に認める企業はあります。平時では、テレワークを行う場所も、自宅に限らず、サテライトオフィスやコワーキングスペースなど、仕事に集中できる場所を選ぶことができます。

子育て中の女性にとって、通勤時間の短縮などメリットは大きいですが、実際に自宅でテレワークをするとしても、子どもを保育園などに預けることを前提にしている人が多いようです。今回のように、「どこにも子どもを預けられない」状況は想定されていません。

新型コロナウイルスをきっかけに、都内でも多くの企業がテレワークに切り替えていますが、このまま定着させるかどうかは、収束後に判断する企業が多いでしょう。「子どもと一緒に仕事ができる働き方」と安易に考えられるものではないと言えます。

Q:子どもと一緒の在宅勤務でストレスをためないコツは?
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子どもと一緒に自宅で仕事をすることは、物理的にも心理的にも難しいことで、イライラが募るのは当然です。特に、これまでキャリアを積んできた女性は「在宅になったからといって、生産性を下げるわけにはいかない」と考えがちです。

ただ、今は非常事態です。何事も「お互いさまだから」と考え、まずは自分の状況を周囲に理解を求めることも大切です。上司や同僚など社内の人はもちろんですが、夫や子どもなど家族も「チーム」となって、情報を共有してください。

夫も在宅勤務の場合、お互いに仕事を抱えて余裕がなく、衝突するケースも多いようです。テレビ会議の時間など、どちらかが抜けられない時間に、交代で子どもと遊ぶなど、協力し合える方法を一緒に考えてみましょう。

親がストレスを感じていると、子どもにとってもストレスとなります。仕事も育児も「思い通りにいかない」ことを想定内として、あまり自分を責めないようにしましょう。

これからも仕事人生は続きます。「こんな状況だから仕方ない」と、流れに身を任せてみると、気持ちがふっと軽くなります。

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