「ヤバい世界のヤバい奴らは何食ってんだ?」世界の現実を「食」を通して問いかける人気番組が書籍化!
テレビ東京で不定期に放送されている異色の人気グルメ番組『ハイパーハードボイルドグルメリポート』が待望の書籍化。同番組は「ヤバい世界のヤバい奴らは何食ってんだ?」をコンセプトに、なかなか踏み込めないような世界に番組プロデューサーが単身で乗り込み、そこで生きる人々の食事を撮影するというものです。
たとえば、シベリアの山奥にあるカルト教団で出される朝食、ロサンゼルスの一角で対立し合うメキシコ系ギャングと黒人ギャングそれぞれの食事など。どの回を観ても刺激的ですが、「番組で放送したのは僕が見たものの千分の一」と番組プロデューサーで本書の著者である上出遼平さんは記します。
本書は、番組の企画から現地での取材、演出までほぼ一人で手掛けている上出さんによる初の著書。番組の内容をそのままなぞって書籍にしただけかと思いきや、彼の言葉のとおり、番組に収まり切らなかった1000分の999が臨場感たっぷりに書かれています。
大きく分けると「リベリア 人食い少年兵の廃墟飯」「台湾 マフィアの贅沢中華」「ロシア シベリアン・イエスのカルト飯」「ケニア ゴミ山スカベンジャー飯」という章立てになっており、小見出しにも「留置場のショータイム」「台湾黒社会」「シンナーチルドレン」「汚染豚」といった文字が躍ります。
そもそも、なぜこれほどまでに「ハイパーハードボイルド」な企画が誕生したのでしょうか。本書では、番組では明かされないような、そうした点についても触れられており、上出さんの熱い思いを感じ取ることができます。
「食卓には、文化、宗教、経済、地理、気候、生い立ち、性格、その他人間を取り巻く有象無象が現れる。食は多種多様な『生活』の写し鏡だ」「彼らの食卓に、我々は何を見るのか。世の中に黙殺されているヤバいものの蓋を剥ぎ取って、その中身を日本の食卓に投げつける」と上出さんは書いています。
さらに、これが初著書とは思えぬほどの上出さんの筆力も注目すべき点。特に食の描写がすばらしく、読むほどにこちらの食欲を刺激します。
「老舗鰻屋の継ぎ足しのタレのような芳醇な香ばしさに、干し魚の旨味、そして芋の葉の粘りと青い香りにパームオイルの酸味。美味い。米が進む。あの暗闇の寸胴の中でこんな地獄の味とも天国の味ともつかない妙味が生まれているなんて」(本書より)
「ブラックスミスがスープを白米にかけて食べている。そうそうそれだと思って真似してみると、これがまた美味い。乾燥気味に炊かれた米はこれで完成するのだ。ほどよくスープを吸って、豚の脂でテラテラと光る白米に文句を言う奴はこの世にいない」(本書より)
番組ファンも初めて知る方も、「ヤバい世界のヤバい奴らの飯」を本書でのぞいてみませんか? まだまだ自分の知らない世界があることを突き付けられるとともに、自身の食や生活、幸福などについて考えさせられるものがきっとあると思います。
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