新型コロナウイルスにより従来型の結婚式が困難に。これからのウエディングはどうなる?中止や延期に備える結婚式保険とは?
新型コロナウイルスにより外出自粛が呼びかけられているなか、結婚式シーズンを控え、結婚式を開く当事者や参列者が、強行かキャンセルかで戸惑う様子が報じられています。ある調査によると、5月~7月までの結婚式予定者のうち、8割強が中止や延期を決めたか、あるいは検討中ということです。
感染のリスクを冒してまで、非難におびえながら強行するのもつらいけれど、すでに多額のキャンセル料が発生するタイミングであればなおさら、中止や延期の判断が簡単には出せないという事情もあるようです。
そうしたなか、全国で結婚式場を運営する11社が共同で、式の延期やキャンセルの当事者負担を実質ゼロにするなど、柔軟な対応をとると発表しました。
また、キャンセル料や当日のアクシデントに対応する「結婚式保険」にも関心が集まっています。
先が見えない行動制限の影響下で挙式を控えている、または式場探し中のカップルは、現状をどう捉えて行動すればいいのでしょうか。プロポーズプロデューサーの山中淳一さんに聞きました。
式場探し中のカップルはオンライン打ち合わせ、結婚式保険加入などできることから始めて。自然の中でのフォトウエディングも選択肢のひとつに
bQ:今回の新型コロナウイルスの影響による結婚式のキャンセルや延期が増えたことで大きく取り上げられましたが、これまで、挙式前のキャンセル料についてはどのような扱いだったのですか?
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結婚式場にもよりますが、基本的には挙式日の何日前かで、キャンセル料が変わります。
【結婚式のキャンセル料の目安】
挙式日の179日~150日前まで/申込金の全額+実費
149日~90日前(約3カ月前)まで/見積金額の20%+実費
89日~60日前(約2カ月前)まで/見積金額の30%+実費
59日~30日前(約1カ月前)まで/見積金額の40%+実費
29日~10日前まで/見積金額の45%+外注解約料(司会など)+実費
9日~前日まで/見積金額の45%+外注解約料+納品済み物品代金
挙式・披露宴当日/見積金額の100%
衣装のレンタルなど、キャンセルはできても、キャンセル料が発生するものや、自身で購入したもの・名前入りのオリジナル仕様のものなど、キャンセル自体ができないものがあります。中には、カタログギフトなど、キャンセル料金が発生しないものもあります。
Q:これまで、当事者以外の事情によるキャンセルや延期であっても、キャンセル料などの扱いは変わらなかったのですか?
2011年の東日本大震災のときには、本人や親族が亡くなったり、交通機関がマヒしたりと結婚式どころの事態ではありませんでしたが、キャンセル料を支払わなければならなかったり、キャンセル料が払えないため、やむなく式を挙げたカップルもいたそうです。
実際には、多くの会場が柔軟な対応をとったようですが、中にはキャンセル料の支払いのために新たにローンを組まざるを得なかったなど、悲惨な例もあったようです。
東日本大震災などで起きたトラブルをきっかけに、結婚式保険というものが登場しました。
新型コロナウイルス以前でも、不測の事態のため結婚式をキャンセル・延期しなければならなくなったカップルは多数ありましたが、結婚式保険については認知度が低く、今回、初めて知ったという人が多いようです。
Q:結婚式保険とはどのようなものですか?また、今回、加入していたカップルにも適用されるのですか?
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結婚式保険とは、新郎新婦が入ることができる保険で、結婚式場のキャンセル料だけでなく、当日の式場の物品やドレスなどを破損した、盗難にあったなどのアクシデントに対して保障するものです。当日の招待客が救急搬送された場合のお見舞金などもあります。
保障内容によりますが、1万円、3万円、5万円プランがあり、それぞれ最大150万円、500万円、850万円まで補償してくれます。
ただ、これは、挙式の30日前までに契約を終えていなくてはなりません。式場を決めた当日に手続きすることをおすすめします。
<延期料、キャンセル料が保証される4つのケース>
①新郎新婦、新郎新婦の両親、子供、兄弟姉妹が亡くなるケース
②新郎新婦、新郎新婦の両親、子供が結婚式を挟んで7日の入院となるケース
③新郎新婦が医師による自宅等での待機指示が出るケース
④新郎新婦の平時居住する家屋・家財が火災、地震等で損害を受けるケース
今回の新型ウイルスによる緊急事態の影響では、②か③のケースが考えられます。
注意したいのは、たとえば、感染を警戒してキャンセルや延期をしたとしても、実際に当事者が感染していなければ、該当しないということになります。
Q:今回、新型コロナでのキャンセルや延期に対し、全国各地で結婚式場を運営している11社が共同で柔軟に対応する方針を発表しましたが、どのような内容ですか?
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結婚式相談カウンターのリクシィが、全国の11社55式場と協力し、4月から5月にかけて式場を決めるカップルを対象に、
①日程の変更によるキャンセル料は、挙式の2週間前までの通知なら、招待状の印刷費などの実費負担だけにする。
②後日、同じ式場で結婚式を挙げるなら、変更後の挙式時の費用に充当し、実質の負担をゼロにする。
と発表。
すでに結婚式を予約しているカップルが延期する場合も同じような対応をするとしていて、さらにほかの式場にも同様の対応を呼びかけています。
Q:いつまで延期したら理想的なウエディングができるのか見当がつかない、または、延期をしたくないというカップルに、緊急事態下でもできることはありますか?
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結婚式がままならないことから、二人の気持ちが冷めるようなことになって、結婚そのものが危うくなるのでは本末転倒ですし、悲しいことです。
こんな時にこそ、お互いの本来の姿が見えてくるもの。
一度立ち止まって心の内を見せ合い、結婚式についての素直な気持ちを確かめ合う機会と捉えて、本当にしたいことは何かを考えてみることです。
そのうえで、どうしても今、何かの形でしておきたいなら、シンプルに二人だけの記念と割り切ってはどうでしょう。
私がこれまでも実際にサポートしてきたのが、屋外撮影スポットでのフォトウエディングです。ドレスやメイクだけの必要最小限のスタッフの同行により撮影ができます。
許される状況なら、キャンピングカーで旅行をしながら、行く先々で撮影をしたり、現地集合で即席パーティーをしたり、現地で牧師さんを呼んで二人だけの結婚式…などもすてきです。
できればおイモほりや魚釣り、乗馬など、普段はできないことをしながらローカルフォトを作っていけば、特別な思い出にもなりますし、地方創生・地元活性化の一助にもなります。
それができないなら、せめて二人だけで、地元の自然の中や屋外スポットにとどめておけば、できないことはないはずです。
家族や親しい人と幸せな時間を分かち合うのは、事情が許すようになってから、改めてパーティーなどを催せばよいのです。
Q:これから式場探しを考えているカップルにも、今回の状況を見て前向きになれないと戸惑う様子が見られます。式場選びについてのアドバイスは?
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年齢や妊活など、さまざまな事情から先延ばしをしたくないという人もいるはず。本来なら、会場などに二人で足を運んでじっくりと検討することが望ましいのですが、それが難しい今の状況でも、オンラインでの打ち合わせが可能なプランナーや会場もたくさんあります。
その際には、なるべく速やかに二人の希望が伝わるように、希望のイメージを整理しておきましょう。
災害や、今回の新型コロナウイルスなど、人間の力ではどうしようもない事態が起きたとき、人は隣にいる人の大切さを実感すると言われます。
その人の本性が見えて幻滅することもあるでしょうが、少なくともこれから式場選びを考えるカップルなら、お互いへの愛情を再確認する機会にしてほしいものです。
危機的状況を笑って乗り切ることができれば、その後の結婚生活がきっと幸せなものになるはずです。
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