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2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する

2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する

今回は城繁幸さんのブログ『Joe’s Labo』からご寄稿いただきました。

2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する

1962年、英エコノミスト誌は「日本が世界的な経済大国に成長する」と予測し、そしてそれは現実となった。
ただ残念なことに、今回の同誌の予測において描かれているのは、かつてたどった成長の道を真っ逆さまに転げ落ちていく日本の姿だ。

2050年、日本は平均年齢52.3歳という前代未聞の老人国家となっている。

2010年に全世界GDPの5.8%を占めた日本のGDPは、たったの1.9%になっている。
「一人当たりGDPならまだまだ若い国には負けとらんじゃろう」と思う人もいるだろうが、残念なことに一人当たりGDP(購買力平価)で中国とそれほどの大差は既になく、アメリカや韓国の半分程度と、もはや先進国とは言えないレベルに落ち着いている。

まあ被扶養者と労働人口が同じ割合なんだから、仕方ない。
通勤ラッシュという言葉は死語になっているかもしれない。だって、オフィスで働く人とほとんど同じ数のリタイヤ世代が存在しているのだから。
もっとも、彼らの社会保障費を賄うために、サラリーマンは今以上の重負担に喘いでいるのは間違いない。

これが「子作りや子供の教育を二の次にして、老人にばかり仕送りをし続けた一族」の末裔の姿だ。

ちなみにここには脱原発のコストは含まれていないから、仮に原発ゼロに舵を切った場合、ここからさらに年0.9%ほどGDPには引き下げ圧力が加わることになる。
そう考えると、今回の予測はまだバラ色の未来なのかもしれない。

筆者自身は読後の感想として、やや個別の試算が甘いのではないかと感じる部分もある(特に、同じく少子高齢化に苦しむ韓国とロシアに対する評価が甘すぎる)。
ただ、中国や韓国のような社会保障制度が手薄な国は、これから国が高齢化しても、医療や年金と言った高齢化関連の支出が限定的なものにとどまる。

一方、日本やドイツ、フランスといった先進国はじりじりボディブローのように体力を奪われていくことになる。どういう試算に基づいているのかはわからないが、社会保障制度の差が決定的な要素なのかもしれない。これは小さな政府を維持するアメリカだけが、現在のG7で唯一、2050年にも上位七か国の経済大国に生き残っているとしている点からもうかがえる。

とかくアメリカというと、超格差社会とか貧困大国だとか思っている人が多いが、30年後に貧乏になっているのは元・福祉国家に暮らす人間の方だろう。

とはいえ、一応フォローしておくと、そんなに悲観的になる必要はないと思う。
仮にこの予測がほぼ的中したとして、日本は今のイタリアよりちょっと貧乏な国になるくらいだから、ゴミが町中にあふれて巨大ゴキブリがそこら中這い回るよう*1なことはあっても、命まで取られるわけではない。イタリア人だって元気に生きているし、その頃にはドイツ人やフランス人も、そんなに差がない生活を送っているに違いない。

*1: 「財政破綻で巨大ゴキブリがナポリを占拠」 2012年08月23日 『NewsWeek』
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2012/08/post-2656.php

グローバル化にうまく対応できた人間と、飲み込まれてしまった人間との間で、国内での格差は今よりはるかに拡大するだろう。上手く対応できた人は、これまで通りか、それ以上の生活水準を送れるだろう。ただちょっと、付き合う面々が多国籍化するだけだ。

一方で、凋落した元中産階級の人達も心配はいらない。可処分所得や年金は減っているだろうが、それでもやはりグローバル化の恩恵により、空調のきいた快適な部屋に座って安くて便利なサービスを享受出来るはずだから。

世界全体として人類は進歩し続けている。国の地位が低下したといっても、戦後の混乱期や江戸時代に戻るわけではないのだ。

それから、最後に一つ残った疑問について述べておこう。
本書の結論は、中国は個人の生活水準が上がる前に高齢化し、日本の後を追うとされている。
その後の成長の余地があるのはインドで、やがてアフリカの時代が来るというものだ。

なるほど、確かに(移民大国アメリカを除く)先進国は軒並み高齢化で活力を失い、アジアもやがて人口ボーナスのステージを脱するのは間違いない。
だが筆者にはどうしても、ナイジェリアやタンザニアと言った国が、そういった国々に完全にとって代わるとは思えない。

グローバル化と高齢化の波を泳ぎ切る秘策が、元先進国の中から出てくるのではないか。
できればそれを日本から生み出したいというのが率直な感想だ。

執筆: この記事は城繁幸さんのブログ『Joe’s Labo』からご寄稿いただきました。

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