『FINAL FANTASY VII REMAKE』レビュー:リメイクというよりも、生まれ変わった新生『FF7』

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日本のみならず、世界中のゲームファンが注目していた『FINAL FANTASY VII REMAKE(以下、FF7リメイク)』。その内容は、「リメイク」というより、新生『FF7』と呼ぶにふさわしいものだった。

当時のゲーム業界の変化・進化を象徴するタイトル『FINAL FANTASY VII』

『FF7リメイク』は文字通り『FINAL FANTASY VII(以下FF7)』をリメイクした作品。リメイク元となる『FF7』は、『FF』シリーズの中でトップレベルの人気を誇っている。筆者も『FF7』発売当時のことが忘れられない。『FF7』という作品は、ゲームの内容が面白いのはもちろんだが、それ以上に発売当時のゲームを巡る社会事情が非常にインパクト大! だったのだ。

(iOS版『FF7』より)

『FF7』の対応ハードは『初代プレイステーション(以下プレステ1)』。それまで『ファミコン』『スーパーファミコン』といったハード向けに発売されてきた『ファイナルファンタジー』シリーズにとって、これは異例の出来事だった。また、『プレステ1』当時のゲームは、2D表現から3D表現への移行期にあった。『FF7』もまた、シリーズ初の3D表現作品。そして、スクウェア(当時、現在はスクウェア・エニックス)がゲームをコンビニで流通、発売する企業「デジキューブ」を立ち上げたことにより、『FF7』はシリーズ初となるコンビニで発売されるゲームソフトになった。つまり、当時のゲーム業界は、大きな変化の真っただ中。そんな中で発売された『FF7』は、ゲーム業界の変化と進化を代表するタイトルであったように思う。

(iOS版『FF7』より)

新生『FF7』とこれまでの『FF』シリーズリメイク作との違い

シリーズを通してみると、リメイクされた『FF』シリーズは過去にも存在している。ニンテンドーDSでリメイクされた『ファイナルファンタジーIII』や『ファイナルファンタジーIV』がそれだ。これらの作品は、リメイク時にビジュアルが2D表現から3D表現へと変わったものの、基本的には原作に忠実な移植が行われていた。機能の改善は行うもののゲームシステムはぼぼそのまま引き継がれているし、ストーリーは若干のアレンジを含みながらも、原作通りだった。

(iOS版『ファイナルファンタジーIII』より)

しかし、『FF7リメイク』はリメイクをするあたって大幅なアレンジ……もはやそれは新生『FF7』と言ってしまいたいレベルのアレンジが加えられている。ビジュアルはもちろんのこと、ゲームシステムにおいても、ストーリーにおいてもだ。

圧倒的ビジュアルで描かれたクラウドはまるで自分の分身のよう

リメイクによる変化が最もよくわかるのはビジュアル面だろう。『FF7』のビジュアルは、戦闘、ムービー、マップで大きくクオリティが異なる。マップシーンではクオリティという前にキャラクターの頭身そのものが変化。デフォルメしたキャラクターを動かすという表現が採用されていた。もちろん、これは当時としては間違いなく最高クオリティでの描写であり、そこに違和感を感じたユーザーはそう多くなかったはず。

(iOS版『FF7』より)

しかし『FF7リメイク』では、シーンによってキャラクターの頭身が異なるということがない。あらゆるシーンがリアル頭身のキャラクターに合わせて設計されており、さらにその作り込みが深い! 筆者が本作をプレイしてクラウドを動かせるようになったとき、まるでミッドガルに自分自身が降臨したかのような感覚を覚えた。例えるなら、絵画でしか観たことのない観光名所へ初めて実際に訪れたような感覚とでも言えばよいのだろうか。「『FF7』のミッドガルって、『FF7リメイク』のミッドガルを元に描いたんですよ」……そう言われたとしても、頷いてしまうくらいビジュアルは説得力を持っている。

『FF7』の良さを残しつつ現代向けにアレンジ! 仲間とともに戦うバトルシステム

『FF7リメイク』のゲームシステム面においての大きな変化は、なんといってもバトルだろう。バトルはコマンド選択式のアクティブタイムバトルから、アクション性の高いリアルタイムバトルとなった。□ボタンで通常攻撃。連打してもいいが、押しっぱなしでも連続攻撃ができる。×ボタンで回避、R1ボタンでガード。〇ボタンでコマンド系の行動が可能だ。

この内容だけ見ると、『ファイナルファンタジーXV』のバトルに近いと思われるかもしれない。しかし、プレイ感は随分と違っている。本作において通常攻撃は威力がそれほど高くなく、メインというよりもATBゲージを貯めるための手段に近い。メインはむしろ、コマンド系の行動で、プレイ感はアクションゲームよりRPGに近い。このアレンジは、コマンド選択式のゲームだった『FF7』を現代にリメイクする上で、絶妙なバランスだと感じた。

また、プレイヤーが操作担当するキャラクターはもちろん主人公のクラウドがベースだが、戦闘中任意に切り替えることもできる。ただ、切り替えずともパーティーのメンバー全員分のコマンド入力が可能だ。このため、戦闘中はパーティーのメンバーを意識的に連携させられて、仲間全員で戦っているという感覚がしっかり存在していることにより、またまた素晴らしいアレンジだと感じることができた。

仲間と戦っている感覚という意味では、戦闘中、キャラクター同士の掛け合いが発生するのもイイ。筆者のお気に入りは、クラウドとバレットの掛け合い。後述するが、この凸凹感はバディものの刑事映画を観ているようで思わず引き込まれた。

なお、バトルがリアルタイムバトルになったことで、エンカウントも廃止されている。『FF7リメイク』はマップ移動中、敵とエンカウントするとバトルシーンに切り替わる形ではなく、アクションゲームのようにマップ内の部屋に対して敵が配置された形式でシームレスに展開していくため、臨場感が非常に高い。

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