大統領夫人も“事実婚”のフランスだから描けた新しく愛おしい家族の形『わたしたちの宣戦布告』
先頃、フランスの新しい大統領に就任したオランド氏の「夫人」が、事実婚のパートナーであるというニュースが話題になりました。フランスではパクス(PACS)という法的に一定の社会的保護が付与される制度があり、結婚していないカップルの間に生まれた子どもの割合が50%を超えています。
そんなフランスにおける今どきの30代の事実婚カップルを描いた『わたしたちの宣戦布告』。昨年、本国フランスで大ヒットし、アカデミー賞外国語部門のフランス代表作品にも選ばれ、いよいよ9月15日より、Bunkamura ル・シネマ、シネ・リーブル梅田ほか全国順次上映となります。
『わたしたちの宣戦布告』は、出会ってすぐに恋に落ちたロメオとジュリエットは愛する息子を出産。しかし、脳腫瘍を患っていることが発覚し、お互いを励まし合いながら、息子の病気と闘っていく姿を描いたヒューマン・ドラマ。
1歳半の子供に悪性の脳腫瘍が見つかり、のんきなカップルは試練に立ち向かうカップルになり、責任感ある大人になっていく。驚きなのは、監督と主演女優を同一人物のバレリー・ドンゼッリが務めていること。劇中と同様に、かつて恋人関係であったバレリー・ドンゼッリと、ジェレミー・エルカイムが実体験を基にした物語を演じています。
劇中、ロメオとジュリエットは一緒に試練を乗り越えるが、恋愛関係には終止符が打たれる。しかし、それは別れではなく、社会一般で言うところのカップルには戻れないが、二人の間にはより一層深い絆ができたのだった。
実際のドンゼッリとエルカイムも、現在はカップルとしての関係は解消していますが、今もこうして仕事上の良きパートナーであり、こうしたシンプルで大人な関係性もフランスならではと思わせられます。
ちなみに、本作にはロメオのお母さんは、シングルマザーで一人息子のロメオを育て、今は女性のパートナーと暮らしているという設定も。籍にも性別にも階級にも拘らない家族のあり方は、複雑なテーマを含んでいながら実に爽やかで、スタイリッシュ。
重い内容だから、と敬遠するには非常に惜しい、女性に心からオススメしたい傑作です。映画『わたしたちの宣戦布告』は、9月15日より、Bunkamura ル・シネマ、シネ・リーブル梅田ほか全国順次上映。
『わたしたちの宣戦布告』
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