オランダの怪談「フライング・ダッチマン」がモデルとなった名作オペラ


(c) Ken Howard/Metropolitan Opera

 
オランダに伝わる怪談の一つに「フライング・ダッチマン」がある。

 
18世紀中頃、アフリカ最南端の町・ケープタウンを目指してオランダ・アムステルダムから出航した「フライング・ダッチマン号」が希望峰近海で激しい嵐に遭遇した際、船長が神を冒涜する言葉を吐いたことで、その怒りに触れ、今もなお永遠にその海域をさまよい続けている、というストーリーだ。また、その目撃例として1881年7月11日、英国王子ジョージ5世が乗り込んでいた練習船バッカント号がフライング・ダッチマン号に遭遇し、最初に発見した水兵が数時間後にマストから甲板に落ちて死んだ、という逸話が合わせて語られることも多い。

 
この有名な怪談を記したドイツの詩人・ハインリッヒ・ハイネの『フォン・シュナーベレヴォプスキー氏の回想記』に着想を得て、音楽家リヒャルト・ワーグナーが作曲したオペラが「さまよえるオランダ人」だ。

 
海を彷徨い続ける船長と彼に魅入られる娘の物語としてフライング・ダッチマンを再構成した同オペラは、1843年1月2日、ドレスデンでワーグナー自身の指揮により初めて披露されて以降、定番オペラの一つとなっている。

 
そんな《さまよえるオランダ人》が2020年5月8日(金)から5月14日(木)まで(東劇のみ5月21日(木)までの2週間上映)「METライブビューイング」として全国の映画館で上映される。

 
METライブビューイングとは、三大歌劇場の1つ、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(通称:MET<メト>)で上演される世界最高峰のオペラを日本各地の映画館で上映するコンテンツで、最新のオペラを現地上演の数週間後には日本語字幕付きで鑑賞することができる。また、映画館ならではの5.1chサラウンドの音響と、10台以上のカメラを駆使したダイナミックなライブ映像も魅力の一つだ。また、今回上映される「さまよえるオランダ人」は世界的メゾソプラノ歌手、藤村実穂子が日本人として初めてMETライブビューイングに出演することでも話題となっている。

 
この機会に、歌劇場とはまた違う視点からオペラを楽しんでみてはいかがだろうか?

 
※上映劇場、上映時間などはMETライブビューイング公式webサイトをご参照ください。
https://www.shochiku.co.jp/met/program/2090/

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