「日本三大霊場」といわれる場所をご紹介!三霊山や三大霊山とは何が違うの?
みなさんは『日本三大霊場』をご存知でしょうか?
霊場は「れいじょう」と読み、神仏の存在を感じる場所とされています。そのため、神社仏閣のある場所やゆかりの地、もしくは神聖視されている場所が「霊場」と呼ばれます。
また、日本には霊山と呼ばれる山点在しており、こちらも宗教的な場所として崇められています。心霊スポットとは別物であり、霊山や霊場は不思議な力が宿る場所として知られ、現代では多くの観光客で賑わっています。
そこでここでは、日本三大霊場がどこにあり、どのような場所なのかご紹介します。
非常に紛らわしい三霊山や三大霊山との違い
「霊場」とは神仏の霊験あらたかな場所の意味を持ち、日本古来の宗教にゆかりを持つ場所のことです。
また、神聖視される場所のことを総じて霊場と呼ぶこともあります。これらの場所は古くから信仰の対象であり、修行や遍路で往来する人々が多いようです。
日本三大霊場の他には日本三霊山や日本三大霊山と呼ばれる場所もありますが、これはまた別物なので注意が必要ですね。
まずは、日本三霊山や日本三大霊山と日本三大霊場の違いを見てみましょう!
日本三霊山とは
日本三霊山とは古より山岳信仰の場所として崇められてきた場所で、以下の3つの山を指します。
・富士山
・白山
・立山
富士山、白山、立山の3つの山は神体山とされており、不思議な力があると昔から信じられています。それぞれ山岳信仰の中心地でもあったことから日本三霊山と呼ばれています。
日本三大霊山とは
「日本三大霊山」とは、日本三霊山と同様に山岳信仰にゆかりのある場所です。
富士山と白山は固定のようですが、3つ目は立山や御嶽山もしくは岩船山のいずれかが入るとされます。また、恐山と比叡山と高野山を日本三大霊山とする説もあります。
・富士山
・白山
・立山or御嶽山or岩船山
もしくは
・恐山
・比叡山
・高野山
日本三大霊場とは
「日本三大霊場」とは、山岳信仰に根差した文化が残る場所を意味しますが、霊場の場合は山にあるとは限りません。
・恐山
・白山
・立山
日本三大霊場は上記3ヶ所なので山ばかりですが、全国には観音霊場と呼ばれる観音様を祀る仏閣が多くあります。
この観音霊場を巡礼するというのは古くからおこなわれてきた信仰の証のひとつみたいです。
恐山
恐山は青森県にある日本三大霊場の1つです。
比叡山延暦寺で知られる最澄の弟子が開いた恐山
開山は862年で、開祖は天台宗を開いた最澄の弟子である「円仁(慈覚大師)」だとされています。
円仁は唐へ留学中に夢告を受け、帰国後に霊山を探し求めるために旅に出たとされる人物です。
苦労の末にたどり着いた恐山で開山に至りました。恐山には地獄を表すものが108つあり、すべて円仁が見た夢と合致していたため、彼は6尺3寸の地蔵大士(地蔵菩薩)を彫って本尊としたそうです。
実は死者の声を聞くチャンスは少ない?「イタコの口寄せ」
祭りの際にはイタコがテントを張って軒を連ねるイタコマチに多くの人が集まり、イタコの口寄せが行われます。ちなみにイタコとはもともと生まれながらに盲目であったり、視力を失ってしまったりした女性が、修行で才能を開眼させた霊媒師のことです。
ただ、イタコは恐山に常駐しているわけではないため、死者の声を聞くチャンスは祭り期間に限られます。そもそもイタコは恐山のあるむつ市ではなく八戸市や青森市で生活していることが多く、恐山の開山期間中にのみ出張してくるので、本来はあまり見かけることもありません。
以下、2つの時期がイタコの口寄せが見られる期間です。年によって変更となることもあるので直近の情報を参考にしてください。
・大祭典:毎年7月20日〜24日
・秋祭典:毎年10月第2週の三連休
恐山菩提寺から地獄と天国の広がる恐山
恐山は地蔵信仰を背景にした死者への供養の場として知られ、古くから崇敬を集めてきた場所です。
山中の奇妙な景色を仏僧が死後の世界に擬したことで参拝者が増え、信仰の場として広く知られるようになりました。
恐山は108の地獄と極楽浜と呼ばれる天国のような絶景を持つことで知られ、観光でも人気があります。心霊スポットのように語られることがあるのですが、実際には霊場であり、自然が織りなす不思議な風景を見ることができるスポットです。
白山
白山は石川県と福井県、岐阜県、富山県の4県にまたがる山であり、日本三大霊場の1つです。
白山を神体山として祀る「白山比咩神社」
「白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)」は全国に2,000以上ある白山神社の総本社。
豊かな自然に囲まれていることもあり、白山周辺の地域一帯はユネスコ生物件保存地域にも指定されている場所なのだとか。ここは白山信仰によって守られてきた場所で、白山麓には日本の原風景ともいえる光景がいまなお残っています。
山麓一帯が修行登山路である「禅定道」を基軸に互いに結ばれています。石川県・福井県・岐阜県の三馬場とその禅定道にはそれぞれ社寺や集落が形成されました。
また、山村特有の生活文化が残っていることからも神聖な場所として扱われているのです。
1300年以上信仰を集める「白山信仰」
白山は古くから「越のしらやま」として詩歌で詠われ、富士山と立山と並んで日本三名山の1つに数えられる山です。白山から流れる水は四方の川を満たし、人々の生活を支えることに貢献したそうです。
そのため、古代より白山は「命をつなぐ親神様」として、山そのものを神体とする原始的な山岳信仰の対象となりました。これが白山信仰を支える基盤となっています。
山麓には白山信仰を全国に広めた御師(おんし・社寺へ参詣者を案内・世話することを生業とする人たち)の集落で、かつての美濃禅定道の面影や御師の伝統を残す街「石徹白(いとしろ)」があります。
また、山麓の村々を統轄した集落で巨大な大壁造りの建築物が見られる白峰の街もありますし、訪れるには十分価値のある場所です。
白山は永平寺の守護神
曹洞宗の大本山・永平寺は白山を守護神としており、毎年夏には永平寺の僧侶が白山に参詣して奥宮の前で般若心経を読誦する風習があります。こちらも現代に残る重要な文化として、毎年多くの方が訪れています。
立山
立山は富山県にある日本三大霊場の1つです。
裏参道にある「穴の谷霊場」
立山は古くから立山修験と呼ばれる山岳信仰の山として知られ、霊山や霊場の1つとして信仰されてきました。
古代では立山権現として、平安時代には地獄極楽のある山として、それぞれ阿弥陀信仰と結びついてきたという歴史を持ちます。中でも裏参道にある穴の谷霊場(あなんたんれいじょう)は有名ですね。
江戸時代末期に美濃国の白心法師がこの地で修行したことで霊場として広まり、修行僧が次々と訪れ「行者穴」と呼ばれるようになったそうです。
現在もこの霊場に人が集まるのは昭和30年代にある尼僧が亡くなる前に残した言葉が理由でしょう。
その尼僧は、「穴の谷の御霊水は阿弥陀如来の水なので、この水を飲めば万病が治る」と言ったそうです。この話が広まって以来、穴の谷霊場の湧き水が脚光を浴び、全国から参詣者が訪れるようになりました。
まとめ
日本には古くからの神社仏閣も多く残されていて、今でも信仰の対象となっています。日本三大霊場といわれる場所は特に霊験あらたかな場所として現在も篤い信仰を集めています。
近年は観光地としても人気なので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?ちなみに、日本三大霊場は日本三大霊山と混合されることもあり、恐山と比叡山と高野山が日本三大霊場と選ばれることもあります。
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