【日本三大薬湯】いい湯に浸かって心だけではなく体も癒したい!日本を代表する名湯をご紹介!
「薬湯」とは、疾病や傷の治療を目的に生薬や薬剤を入れたお風呂、または療養効果が高いとされる天然温泉のことをいいます。
日本の天然温泉の薬湯の中でも特に名湯といわれる「草津温泉」「有馬温泉」「松之山温泉」は、『日本三大薬湯』と呼ばれ古くから親しまれてきました。
今回はそんな「日本三大薬湯」の特徴や歴史をご紹介いたします。
日本三名泉にも数えられる関東きっての名湯「草津温泉」
群馬県吾妻郡(あがつまぐん)草津町草津に所在する「草津温泉」は、日本三大名湯だけではなく、「日本三名泉」にも選ばれており、日本一の自然湧出量を誇る温泉としても有名です。
日本三名泉
「日本三名泉」に選ばれている温泉は、群馬県の「草津温泉」、兵庫県にある「有馬温泉」、岐阜県の「下呂温泉」です。草津温泉と有馬温泉は、三大名湯と三名泉の両方にノミネートされています。
この三つの温泉が三名泉と呼ばれるきっかけは、室町時代の歌人でもあった僧侶「万里集九(ばんりしゅうく)」が、詩文集「梅花無尽蔵(ばいかむじんぞう)」の中で「最も効き目がある霊湯」としてこの三温泉を記したことにあります。
さらに、それを受けた江戸時代の儒学者「林羅山(はやしらざん)」は、自らの詩文集で「日本の温泉の中で、草津温泉、有馬温泉、下呂温泉は名湯」と記したことから「三名泉」と呼ばれるようになりました。
徳川吉宗がその湯を取り寄せさせた草津温泉
草津温泉街のシンボルにもなっている湯畑の中には、温泉が湧き出ている四角い木枠が沈んでいます。この木枠から湧き出るお湯は「御汲上の湯」と呼ばれており、江戸幕府8代将軍「徳川吉宗」が取り寄せて入浴していたお湯なのです。
温泉好きの吉宗は、なんと草津から汲み上げた温泉を樽詰めにし、江戸城内まで運ばせて入浴していたという話があります。車が無かった時代ですから、お湯を入れた桶や樽を担いで運んでいたと思うと衝撃的なエピソードですね。
当時から、それほど草津の温泉は効能が高いことで有名だったということです。
草津名物「湯もみ」
草津温泉の「湯もみ」は江戸時代から続く文化で、温泉の効能を落とさずにお湯の温度を下げる役割をしています。
草津の源泉温度は50℃と高温のため、入浴する前に温度を下げなくてはなりません。
しかし、水を足すと温泉の効能まで下げてしまうことになります。そこで考え出されたのが、お湯をかき混ぜて温度を下げる「湯もみ」という方法。
約180㎝の板を手に持ち、お湯をかき混ぜ温度を下げる草津温泉の伝統的な湯冷まし方法として受け継がれています。また、湯もみはお湯の温度を下げる他にも、お湯を柔らかくする効果と入浴前の準備運動にもなります。
「草津よいとこ一度はおいで」という「草津節」を聞いたことはありませんか?
草津節は湯もみに合わせて歌う「湯もみ唄」のひとつなのです。この湯もみ唄に合わせた「湯もみショー」や「湯もみ体験」は、草津温泉の伝統的な名物です。
<泉質>
酸性泉(源泉では硫黄泉も見られる)
<効能>
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節の強張り、打ち身、挫き、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復、疲労回復、健康増進、慢性皮膚病、動脈硬化症、切り傷、火傷、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病・高血圧症など。
「恋の病意外は治せる」といわれるほどさまざまな効能があるとされるのが草津温泉です。
多くの歴史上の人物も通った神戸の名湯「有馬温泉」
兵庫県神戸市北区有馬町に所在する「有馬温泉」は、多くの歴史上の人物が通ったといわれています。
有名なところでは、源平合戦の時に源義経を検非違使に任命した「後白河法皇」、湯治のために滞在した室町幕府第10代将軍「足利義稙」、人生の節目ごと訪れていた「豊臣秀吉」などがいます。
また、明治から昭和にかけて活躍した小説家の「谷崎潤一郎」は。執筆のため長期滞在していたそうですよ。
日本三古湯のひとつ
「日本三大名湯」「日本三名泉」の他に「日本三古湯」にも選ばれている有馬温泉は、温泉界のレジェンドといえるでしょう。
「日本三古湯」とは、日本中の数ある温泉の中でも特に歴史が深い温泉のことをいいます。
日本三古湯には「日本書紀、風土記に登場する三古湯」と「延喜式神名帳に基づく三古湯」の2パターンありますが、どちらにも有馬温泉は選ばれています。
日本書紀、風土記などに登場する三古湯
一般的に紹介される三古湯です。
有馬温泉、道後温泉(愛媛県)、白浜温泉(和歌山県)
延喜式神名帳に基づく三古湯
「延喜式神名帳」とは、延長5年(927年)にまとめられた全国の神社一覧です。この中には温泉に関する延喜式内社として合計10カ所の温泉が記載されていますが、その中でも三古湯と呼ばれるのはこちらの温泉です。
有馬温泉、道後温泉、いわき湯本温泉(福島県)
日本三古湯を詳しくご紹介した記事があるので、こちらも併せてご覧ください。
歴史の重みが違う!日本三古湯をご存知ですか?いつかコンプリートしてみたい! – FUNDO
温泉番付の西大関
江戸時代、温泉地の効能の高さを元にして、相撲の番付に見立て順位付けした「温泉番付」が流行しました。
その温泉番付で、有馬温泉は当時の最高位である「西大関」に選ばれています。
横綱は無く大関が最高位で、西日本は西の番付、東日本は東の番付と区別されていたので、西日本最高の温泉ということになります。ちなみに「東大関」は草津温泉が選ばれています。
<泉質>
単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、放射能泉
環境省の指針により療養泉として指定している9つの主成分のうち7つを有する珍しい温泉です。
<効能>
泉質により、赤茶色の「金泉」と無色透明の「銀泉」に分かれており、効能も違います。
金泉:冷え性、腰痛、関節痛、末端の血行不良、感染性皮膚疾患、慢性的な湿疹、美肌効果
銀泉:血流を促進、むくみ解消、高血圧、末梢動脈閉塞性疾患、機能性動脈循環障害、機能性心疾患、食欲増進、自然治癒力を高めるといった効果があるとされます。
戦国武将「上杉謙信」も湯治に訪れた?「松之山温泉」
出典:wikipedia.org
松之山温泉は、新潟県十日町市松之山に所在しています。
南北朝時代に、羽を怪我した鷹が休んでいたところを見た木こりが湧き出る温泉を発見した、という伝説があります。室町時代には、越後国(現在の新潟県)を統治していた上杉家の隠し湯であったという説もあります。
戦後には、松之山温泉から塩を採っていたといわれるほど塩分濃度が高く、保温効果が高い温泉です。他にも「切り傷がすぐに治る」「美肌効果が高い」と定評があり薬湯に選ばれています。
<泉質>
ナトリウム・カルシウム塩化物泉(弱アルカリ性)
<効能>
慢性皮膚病、リュウマチ、神経炎、創傷、痛風、皮膚病、婦人病、関節痛などに効果があるとされています。
まとめ
温泉の効能を見ていると、温泉に入ればどんな病気やケガでも治ってしまいそうですね。
しかし、温泉には効能だけではなく禁忌症もありますので注意してください。一般的には、急性疾患や進行性の疾患には良くないとされており、温泉に入らない方がいい場合もあります。少しでも体調に不安がある場合は、医療機関に相談してから入浴することをお勧めいたします。
お休みの日には、天然温泉に向かってみるのも良いですね。日々の忙しさからエスケープして、ゆったりとしたひと時を過ごせそうです。
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出典:wikipedia(松之山温泉)
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