福岡人の脳内地図 [福岡と博多のフクザツな関係]

福岡人の脳内地図 [福岡と博多のフクザツな関係]

この記事は樋口理さんのブログ『higuchi.com』からご寄稿いただきました。

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福岡人の脳内地図 [福岡と博多のフクザツな関係]

数日前になりますけど、ロケットニュース24に載っていたこの記事。

「【本場福岡人も失神レベル】博多ラーメン超上級者以外腹を壊す!? ほぼ生麺の激ヤバ『湯気通し』を食べてみた」2012年8月6日『ロケットニュース 24』
http://rocketnews24.com/2012/08/06/238222/

これ、本場福岡人は最初の一行で失笑するレベルですわ。申し訳ないけど。

長浜ラーメンや久留米ラーメンなど、たくさんのラーメンを生み出した『博多ラーメン』。

って、ねぇ……。 この知ったかぶりな文がなければそれなりに読める。余計なこと書かなきゃいいのに。

「『博多ラーメン』が長浜ラーメンや久留米ラーメンを生んだ」、つまり「ラーメンがラーメンを生んだ」という、日本語の文としてのおかしさは目をつぶっておくとしましょう。

20120808-ramen

https://px1img.getnews.jp/img/archives/20120808-ramen.jpg

おかしいのは、長浜ラーメンと久留米ラーメンを博多ラーメンの一部、あるいは派生物だと思っているところ。近年『博多ラーメン』というのは福岡・博多地区のラーメンの総称で、もともとあった博多地区のラーメン(狭義の「博多ラーメン」)とか福岡地区の長浜ラーメンをまとめて、後付けで便宜的に『博多ラーメン』と呼んでいるものなので、総称である博多ラーメンが個別種の長浜ラーメンになったわけでは断じてない。久留米ラーメンに至っては、博多ラーメンの一部ですらないし(久留米は福岡・博多とはぜんぜん別の遙か彼方にある地区。関東にたとえると、福岡・博多が東京だとすると久留米は厚木あたりのイメージ)、むしろ久留米人に言わせれば博多の豚骨ラーメンは久留米ラーメンの派生物という説もあるぐらいなので、これも主従の関係が逆ですね。

この気持ち悪さがわかりやすいように、他の単語に置き換えると、こうなる。

すかいらーくやロイヤルホストなど、たくさんのファミレスを生み出したガスト。

支離滅裂でしょ?

まあね、福岡とか博多とかって、もともとの定義がめんどくさいので、よその人が混乱するのはしょうがないとは思います。
「現在の福岡市は、もと商人の町だった博多と、もと武士の町だった福岡に分けられます」なんてリカーシブな説明されても、ねえ。

参考までに、福岡市民の脳内にあると思われる福岡・博多の地図を描いてみました。

20120808-fukuoka_map

福岡人の脳内マップ。黄色いところが博多で、オレンジのところが福岡。
https://px1img.getnews.jp/img/archives/20120808-fukuoka_map.jpg

そうそう。そういえば、東京にたくさんある博多ラーメンの店「博多天神」ってのも、変な名前ですなあ。

福岡・博多地区で「天神」と言えば、福岡のほうにある水鏡天満宮のこと。菅原道真が九州に左遷されて最初に上陸した土地を記念して後に作られた神社。現在神社がある場所の近辺の町が天神町(てんじんのちょう)と名付けられて、後に行政区画上「天神○丁目」と改名、今はその一帯が「天神」と呼ばれる繁華街になっているのはご承知の通り。ちなみに、その後、赴任した場所を記念して作られたのが、本家太宰府天満宮な。

前述の通り、天神は博多ではなく福岡の中心なので、博多天神ってのは何か変。たとえて言えば「渋谷六本木」みたいな感じ。変な店名でしょ?

とはいえ、「博多」と「福岡」は、地元の人間でもそんなに厳密に使い分けていない場合もあるので、目くじら立てるようなことではないんですけどね。単純に変だというだけでして。

ま、どうでもいいことです。

執筆: この記事は樋口理さんのブログ『higuchi.com』からご寄稿いただきました。

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