おっぱいのアプリ作ってアップルと闘った話

おっぱいのアプリ作ってアップルと闘った話

この記事は井上大紀さんのブログ『Gloomy blog』からご寄稿いただきました。
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おっぱいのアプリ作ってアップルと闘った話

僕が在籍しているアイデアマンズ株式会社はBtoBのプロダクト販売や受託開発を事業としているのですが、先日当社としては初となるBtoCのスマホアプリの開発に挑戦しました。今回はその時の話をしたいと思います。

-挑戦-

皆さんご存知の通りコンシューマー向けのスマホアプリは大手からスタートアップまで非常に過熱した市場なので「せっかく仕掛けるなら他のアプリから頭一つ抜きん出るものを出そう!」と、様々なアイディアを出し合いました。ソーシャル系、ゲーミフィケーション、写真共有、OtoOなど、いくつかのアプリアイディアが出ましたが、最終的に決まったのはおっぱいのアプリでした。OtoO、つまり「おっととっと、おっぱいだぜ!」です。

今回作ることに決まったおっぱいのアプリはぽっとでのアイディアではなく、実は僕が1年近く前から温めていた企画でした。そのアプリのメインコンセプトは「乳のサイズを見極める、『乳師』を目指す」というもので、人は乳のサイズを見極める能力をどこまで高められるかに挑む、非常に挑戦的なアプリです。

-開発-

普段僕たちは受託開発に勤しんでいるため、その合間を縫っての作業となりました。アプリ自体は非常にシンプルな仕組みのため、まずは4人で構成された「チーム乳師」のディレクターの手によって簡単なモックが作成されました。

おっぱいのアプリ作ってアップルと闘った話

次にデザインです。「乳師」の設定は、「ユーザーが伝説の乳師の元で乳修行を積む」というものでしたので、アプリのデザインに加え、その伝説の乳師のイラストを書き起す必要がありました。数々の乳修行をこなしてきた上にあらゆる乳を見極める究極の眼力を持っている、これが伝説の乳師のイメージです。デザイナーの手によっていくつかのイラスト案が上がってきました。

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デザインが確定すると、あとは細かい仕様の確定ととにかく開発、開発です。僕が決める仕様に基づいてプログラマーがどんどん開発を進めます。開発作業が進む中、忘れてならない肝心の作業がありました。大量の乳画像集めです。ただ単に乳の画像を集めるわけではありません。ネット上で集める乳画像は画質もマチマチなのでなるべく奇麗な画像だけを集め、さらにそれをカップごとに整理していきます。結局3人日を費やし、大量の乳画像を収集しました。それがその一部です。

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細かいバグを直し、大量の乳画像もアップ、ついにアイデアマンズにとって初のBtoCアプリである、「乳師」は完成しました。

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-審査-

いよいよアップルへの審査を打診するとこまで来ましたが、もちろん僕たちは不安でした。アップルのエロ系アプリへの審査が厳しいのは有名な話だからです。しかし僕はある作戦を持っていました。それは後述しますが、とにかく僕たちは渾身の祈りを込めて、アップルに審査依頼を出したのです。

期待と不安にかられながら返事を待っていましたが、1週間待っても返事は来ませんでした。そもそも審査にもかけてもらえなかったのでは?と心配になってきた頃、返事は来ました。結果は「コンセプトが不快なので無理」とのこと。「ここを直せ」という具体的な修正指示はなく、コンセプト自体の全否定でした。正直少し落胆したものの、ここまでは想定内でした。

ここで先ほど話した「ある作戦」の投入です。その作戦とは既にAppstoreで公開されているグラビア系の微エロアプリを大量に送り、「他がいいならウチもいいだろ!不公平だ!」と小学生のようにごねることでした。この方法でアップルの審査を通したというアプリ開発者の記事を読んだことがあったのです。僕たちは10個程の微エロアプリを集め、それらをアップルに叩き付けました。彼らの揚げ足を取るようで少し心が痛みましたが、全ては乳師を公開するため、仕方のないことです。「天下のアップルさんもぐうの根もでねえだろうなぁw」とほくそ笑んでいた数日後、アップルからの返事が来ました。自信満々にメールを開くとこう書いてありました。

アップルの人:「僕らの審査も100%じゃないからね。これからはチェック体制を強化するよ。忠告ありがとう。 あ、もちろん君たちのアプリはダメね。

そういうことじゃねえよ!と。これでは僕たちは単なるチクリ魔です。こうなったら作戦もクソもありません。「このアプリはエロアプリではなく、クイズアプリなんだ!エンターテイメントではなくエデュケイションなんだ!!悪いとこがあれば言ってくれ!スクール水着画像がまずいならそれは削除する!頼むよ!」と熱い思いをぶつけましたが、返事はダメの一点ばりでした。

度重なるアップルとのメール、一向に進捗が見えない状況に、チーム乳師には諦めムードがただよっていました。そんな先の見えない状況の中、一つの言葉が僕たちの脳裏に浮かんだのです。

「Stay hungry, stay foolish」

-希望-

僕たちは諦めませんでした。とにかく貪欲に、バカみたいに最後の交渉を行ったのです。アップルの審査フォームには通常のフォームとは別に「上告フォーム」ようなものがあり、まずはそこに挑戦しました。さらにアップルの審査チームのメーリングリストにフォームからではなく直接メールを送り、最後の猛アピールをしました。すると数日後、ついに希望のメールがアップルから届いたのです。

アップルの人:「確かに君たちの言う事も一理ある、もう一回チームで検討してみるよ。近々電話するから少し時間をくれ。」

遂に来ました!希望の光です。粘った甲斐がありました!バカ万歳!

数日後のある日、朝早い時間にアップル本社から電話がかかってきました。名前はデイビット。少し片言ながらも丁寧に挨拶をしてくれました。僕は急いで英語が話せるディレクターに代わりました。朝の光に包まれ流暢な英語で笑いながらデイビットと話すディレクターを見ながら、僕は乳師の公開を確信しました。同時に「高須クリニックのCMみたいな光景だなあ」とも思っていました。

和やかな英語での会話は3〜4分で終わり、受話器を置いたディレクターがこう言いました。

「全っ然ダメだったわ」

-終焉-

デイビット曰く「そもそもアプリとかの以前に女性の胸のサイズをクイズにするって人としてどうなの?バカなの?死ぬの?」とのことです。

思いっきり正論でした。あれ程「バカであれ」と言ってきたのにこの場面でのまさかの超正論。ここで僕達は気付いたのです。僕たちはジョブズのいう「バカ」だったのではない。「ただのバカ」だったんだと。審査中に気合い入れて作ったランディングページも、もはや変態要素を増しただけの産物でした。

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※実際のページはこちら*1

*1:「乳師」
http://www.ideamans.com/products/chichishi/

開発期間を含めておよそ2.5ヶ月間。ただ乳のため、それだけのために走ってきた僕らの夢はPCに大量の乳画像を残したまま終わりました。

執筆: この記事は井上大紀さんのブログ『Gloomy blog』からご寄稿いただきました。

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