「月3万円ビジネス」

月3万円ビジネス

この記事は猿矢 晃さんのブログ『優しい唄歌い』からご寄稿いただきました。

「月3万円ビジネス」

ホームレスの方の自立を支援する雑誌「THE BIG ISSUE」。
駅前や街の交差点で、ホームレスの方から1冊300円で購入すると、販売者であるホームレスの方の手元に160円が残ります。
 
私は、チャンスがあれば必ず買うようにしています。
買う時のホームレスの方との会話も楽しいし、何より、掲載されている内容も社会の大きな流れに染まっていない記事が多く、興味深いんですよね。
 
購入した「THE BIG ISSUE」の195号で、私はとても面白い記事に出会いました。
 
それは、「月3万円ビジネス」という新たなライフスタイルの提案。
一つの仕事で、膨大な「時間」を拘束されて生活費を稼ぐのではなく、いくつかの月収3万円単位の副業的な仕事を自営して生活しようというお話です。
月収3万円の仕事だからノーリスクで起業ができます。
また、いくつの仕事をこなすか自分で決定できるので、自分の「時間」をコントロールできるのです。
 
このライフスタイルを提唱しているのは、藤村靖之さん。
大阪大学の工学博士であり、(株)コマツ熱力学研究室長を経て、現在は(株)カンキョーを設立されています。
 
「月3万円ビジネスと言ったって、どんなことをやればよいのか?」と
多くの人は疑問を持つと思います。
藤村さんは、
「人や社会が幸せになれることをテーマにして、一つの仕事で3万円だけ稼ぐ」
と提唱されています。
例えば、藤村さんとそのお弟子さん10人でアイデア出しをしたところ、こんなアイデアが出てきたそうです。
 「玉子を1日20個売るビジネス」
 「バッテリーをリフレッシュするビジネス」
 「オーガニック・マルシェ」
 「シェアするマタニティウェア」
 
また、藤村さんはこの新たな自営ビジネスの特徴を、「競争」から外れたところにあるビジネスとし、「奪い合わないで分かち合うビジネス」と表現しています。
例えば、ある仕事で月6万円稼いでしまったら、次回からは、その仕事の3万円分の仕事を友達に分ける。
大切なのは、ビジネスで稼ぐ売上ではなく、ビジネスで稼ぐ生活費でどれだけ自分の時間を持てるかということなのです。
 
「月3万円ビジネス」を10個組み合わせれば、実働20日で30万円の収入になりますが、藤村さんは、もっとお勧めのスタイルがあると言います。
「週休6日で9万円を稼ぐ。残りの時間は自給を愉しむ。」
 
そう。
この新たなライフスタイルの提案内容として、もう一つの大きな特徴は、従来の消費型ライフスタイルからの脱却です。
「時間」さえあれば、お金を使わずに愉しめることはたくさんあります。
 
さてさて、現在の生活を維持するために自分の時間をほとんど持てない生活と、月3万円の自営をいくつかこなしながら自分の時間を豊かにする生活と、どちらが魅力的ですかね?
この選択肢は、「お金」と「時間」のどちらをより愛するかという価値観にもつながります。
 
まあ、仕事の「時間」を愛する人も多くいらっしゃると思いますので、「月3万円ビジネス」が何よりも優れているというつもりはありません。
ただし、会社組織に利用されるだけの満足のいかない「時間」を過ごしている人も多くいらっしゃると思いますので、この「月3万円ビジネス」は、社会にとって非常に魅力的な「選択肢」だと考える次第です。
なにしろ今までは、大きなリスクを冒して起業する以外には、まともな「選択肢」がありませんでした。
鬱病が蔓延する今の社会において、新たな「生き方」は歓迎されるべきものでしょう。
 
あと気になることは、「本当に実現可能かどうか?」。
 
ここから先は、興味があればあなた自身の目で確かめてみて下さい。
 
以下は、より詳しい情報が取れるであろう情報源です。
・「月3万円ビジネス」のホームページ
http://30000yen.biz/
・書籍「月3万円ビジネス-非電化・ローカル化・分かち合いで愉しく稼ぐ方法」
  藤村靖之著(晶文社)
・「THE BIG ISSUE」195号
 
今の社会、世界の「富」は人類の1%の人達が独占してしまっているようです。
その限られた1%以外の普通の人達が、いくら「富」を蓄積しようとしても、そこから満足な「幸せ」を、はたして得られるのかどうか?
一体全体、今の行きすぎた資本主義社会の仕組みは、私たちが提供している「時間」に対して、対等な「富」を約束してくれるかどうか。
 
時給3,000万円のビル・ゲイツ。
時給48円でi-phoneをつくる中国の13歳の少女。
 
もはや「富」の世界は勝負がつきすぎて、一般人が、この「富」のルールで頑張ることは馬鹿らしいような気もします。
もっと公平な土俵で頑張るのも一つの手かもしれないと思うのです。
そう。「時間」は億万長者も私たちも、等しく1日24時間。
 
この「時間」をどう「幸せ」に使うかということに、もっと頭をひねった方が、「幸せ」のコストパフォーマンスは大きいかもしれませんよ。

執筆: この記事は猿矢 晃さんのブログ『優しい唄歌い』からご寄稿いただきました。

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