虫に“食べられる”映画『巨蟲列島』を虫を“食べる”芸人・佐々木孫悟空さんが観たら? 「生態に詳しくて感動」「人間の醜さが面白い」
謎の旅客機事故により、とある島に流れ着いた「私立鳳翔高等学園」の生徒たち。 他の生存者と合流して救助を待つことにするも、その島は巨大な昆虫に支配された島だった…。 「マンガクロス」にて月間110万PVを超える話題作『巨蟲列島』が満を持して劇場アニメ化! 劇場版『巨蟲列島』が2020年1月10日より公開となります。
「その島では…人間は単なる蟲のエサでしかない」というキャッチコピーどおり、巨蟲に人間が食べられていく様は衝撃的。しかもただ食べるだけでは無く、それぞれの虫の特徴に合わせた怖〜い食べ方のオンパレードなのです!
今回は、”虫食い芸人”の佐々木孫悟空さんに劇場版『巨蟲列島』を観ていただき、インタビューを敢行。虫を食う立場から「虫に食べられる映画」の見所を語っていただきました!
【佐々木孫悟空さんプロフィール】
世界唯一の虫喰い芸人。虫を自ら捕らえて食す為、その生態にも詳しい。
https://twitter.com/songokusasaki [リンク]
https://www.youtube.com/watch?v=byQ15c5fux4 [リンク]
――虫食い芸人の佐々木さんに”虫に食われ映画”である『巨蟲列島』をご覧いただいたわけですが、率直な感想はいかがですか?
佐々木:勉強不足で元々のコミックは知らなかったのですが、今回映画を観てその面白さにビックリしました! タイトルだけ見ると、でっかい虫が襲ってきて、最後は人間が勝つ『インディ・ジョーンズ』的な作品かと思っていたんですが、全然違って。「とても生態に詳しい方々が作っている!」と感激しました。
戦い方も、銃などの武器を使うのではなく、ハロゲンヒーターや体温で虫を集めて……いう、それぞれの蟲の生態に基づいたもので。ジガバチとか普段あまりフィーチャーされない虫が出てくるのが楽しかったです。
――なるほど、虫に詳しい方から観ると、練りに練られた巨蟲たちの設定だと分かるわけですね。
佐々木: そうです! 3DCGで作られた巨蟲たちが、すごくリアルで、ヘビトンボの複眼が特に感動しました。宮崎駿の『風の谷のナウシカ』も虫の生態に忠実で、王蟲はヘビトンボのアゴとムカデの足が組み合わさった様な動きをしているんです。『巨蟲列島』のヘビトンボもアゴも忠実に描かれています。
――私なんかは「巨蟲怖い!」とただ怖がってしまうのですが、とても細部までこだわっているということですね。
佐々木:後は、人間の醜さも面白かったです。自分の体を使って助かろうとする姑息な地下アイドル!(笑)とか思いながら。後、主要なキャラクターが……という驚きもありハラハラしました。
僕はメカや機械にうといので、GPSがあんな森の中でも使えるんだと驚くのですが、実際に以前青木ヶ原樹海に虫を採りにいった時にも使えたので、文明ってすごいですよね。でもそれも今後電気が使えなくなったら? 壊れたら? と。睦美さんの様な知識がやはり生きてくると思うんです。
――知識は電気が止まっても、どんな状況でも活躍してくれますものね。そういった意味では佐々木さんが『巨蟲列島』の島へたどりついても、サバイバル出来そうですね。
佐々木:生態が分かっていると「怖い」と思う最初の壁が無いんですよね。まずどう行動すれば良いかを考えることが出来る。睦美さんもそうですよね。ただ、睦美さんが可哀想なのが、虫の事を可愛いと思っていて大好きなので、辛いと思います。その人間描写も僕はすごく好きです。
――登場する巨蟲たちの中で、佐々木さん個人的に「美味しそうだな」「食べやすそうだな」と思った虫はどれですか?
佐々木:食べやすいのはジガバチの幼虫ですね! 小さくて捕獲もしやすいですし。虫の味は捕食した物の味によるので、虫は草食の虫の方が美味しいんです。バッタよりも肉食のカマキリの方が獣臭い。なので、その虫が何を食べて生きてきたかという状況に左右されるので、味を想像するのはちょっと難しいかもしれません。
劇場版『巨蟲列島』では、まだ水や食料がある状態です。でも、これからどんどん枯渇していった時に「虫を食べるのか」という選択にぶちあたりますよね。人間を食べた虫を食べることが出来るのか? 仲間を食べた虫を自分は食べられるのか? と葛藤すると思うんです。『生きてこそ』(1993)という映画では、『巨蟲列島』と同じく飛行機墜落事故があって、仲間が死んでいった時に人肉を食べる……という選択に迫られる。それに近い状況になると思うんです。僕は虫を食べる人間ですが、仲間を食べて大きくなった虫を食べらえるか?ってそれは考えてしまうんですよね。
――なるほど……。それは本当に深い、難しい選択だと思います。巨蟲達に遭遇してしまったら、それぞれどんな戦い方をしますか?
佐々木:武井壮さんがよく「獣の倒し方」を話されていますが、あれも動物の生態を知っているから弱点も分かっているんですね。なので僕からしたら、アゲハなんてちょちょいのちょいですよ!(笑) 鱗粉におしっこかけて飛べなくしちゃえばいいし、体液吸ってこようとしたら、吸い返してやります! それか空気を送り込んで風船の様に破裂させる。
▲ミヤマカラスアゲハ
ジガバチだとしたら、体の方に入り込んでお腹を攻撃します。
▲ジガバチ
ただ、これが『巨蟲列島』の面白い所でもあるのですが、集団で襲ってくるんですよね。集団でこられると結構大変です。レウコクロリディウムの様な寄生虫は自分の体に入った事を気付くか気付かないかが大事なんです。入ったことに気づいて、今ここらへんにいるなと気付けば自分の体の一部と一緒にナイフで取ってしまえばいいので。
▲レウコクロリディウム
ヘビトンボは映画の中の戦い方が理想的でした! 僕は最初、ミツバチが集団でスズメバチを覆って蒸し殺してしまう様な、そんな戦い方をするかなと思ったんですが、違ったので新しい戦い方を見れて嬉しかったです。
▲ヘビトンボ
――原作の藤見先生がとても虫に詳しい方なので、戦い方もとても凝っているのだと思います。
佐々木:虫達の表現も、戦い方も、人間の醜い争いも、本当に面白くてずっとワクワクしながら観させていただきました。何度も観るうちに違った発見もありそうでしたし、なぜ巨蟲が生まれてしまったのか?という謎もすごく気になります。なのではやく続きが観たい! 僕は「オバケン」というお化け屋敷でキャストをやっているのですが、この『巨蟲列島』はお化け屋敷などアトラクション的な要素が多いと感じました。なので続編はもちろん、巨蟲が出てくるお化け屋敷とか楽しそうだなって夢が膨らみます。まずはこの劇場版一昨目を何度も楽しみたいと思います!
――今日は大変楽しいお話をどうもありがとうございました!
『巨蟲列島』特集
https://getnews.jp/kyochuretto
(C)藤見泰高・REDICE (秋田書店)/巨蟲列島製作委員会
撮影:オサダコウジ
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