「おこしやす」彼女は芸者?それとも芸子?あるいは芸妓?それぞれの違い

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「オー!ゲイシャ!ニンジャ!ハラキリ!」

今どきこんなステレオタイプなセリフではしゃぐ外人さんがいるのかは存じませんが、外人さんが「日本と聞いて連想するもの」のトップクラスにランクインするであろう「芸者(げいしゃ)」

かつてはどこの花街にもいて宴席に歌舞音曲の華を添えていたそうですが、今では京都以外の場所ではなかなかお目にかかれなくなっているようです(筆者もじかに拝んだことはありません)。

ところで、この「芸者」と似た言葉に「芸子(げいこ)」や「芸妓(げいぎ)」なんていうのも耳にしますが、これらにはどんな違いがあるのでしょうか。

芸者(げいしゃ)

歌川国貞「風柳月三夕」明治二1869年

これは文字通り「芸能を生業とする者」を意味しており、武芸者などとも呼ばれたように特定の芸能にとらわれずに用いられていました。現代でいうところの「職人」みたいなイメージでしょうか。

そして意外なことに、芸能方面の職業は女性よりもむしろ男性の役目とされ、もともと芸者と言えば、男性を指すことが多かったようです。

芸子(げいこ)

女性が宴席にはべって芸能を披露するようになったのは江戸中期(18世紀)ごろからで、上方(京都を中心とする近畿地方)ではそうした女性たちを従来(男性)の芸者と区別するために「芸子」と呼ぶようになりました。「女の子」という意味ですね。

一方、江戸では「女芸者」とストレートに呼んでおり、やがて男性の芸者が廃れて「女芸者」ばかりになると、頭文字が不要となって省略され、「芸者=女性」が定着するのでした。

芸妓(げいぎ)

松本華羊「舞妓」大正時代

つまり「芸者」と「芸子」の違いは「どっちも同じもので、上方(芸子)と江戸(芸者)で呼び方が違うだけ」なのですが、これらを総称する概念として「芸妓」という漢語も存在します。

ちなみに、芸妓を「げいこ」と読むのはいわば変則で、明治以来、東京を通じて国際社会との交流が進んだ結果、上方の芸子たちもひとくくりに「芸者」と呼ばれるようになったことを快く思わない(たぶん、上方の)方が関東・関西を問わず通用する芸妓にそうルビを振るようになったそうです。

ただし「妓」という字は部首の通り女性を意味するため、中世以前の男芸者についてはその対象外となっています。念のため。

まとめ

芸者(げいしゃ)
江戸での呼び方。元は男性を指したが、江戸中期以降は女性が主流となった。

芸子(げいこ)
上方での呼び方。男性の芸者に対する女性の同職を意味するが、国際的には「Geisha」に押され、あまり定着していない様子。

芸妓(げいぎ)
芸者&芸子を包括するが、男性(芸者)は含まれない。上方では「げいこ」とルビを振る傾向が強い。

※補足として「舞子(まいこ。舞妓)」という言葉は芸子から派生しているようです。

「Oh,Geisha-Girl!(わぁい、芸者ガールだ!)」

「No,She’s”Geiko”(いいえ、彼女は芸子です)」

……わざわざそんなツッコミを入れる野暮な上方者もいないでしょうが、もし彼女たちを目にする機会に恵まれましたら、ちょっと意識してあげるといいかも知れませんね。

※参考文献:井上章一『京都ぎらい』朝日新書、2015年10月10日 第2刷

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