熱海の名宿「ホテルニューアカオ」。風情ある温泉街を旅する。
こんにちは。ライターの井口エリです。横浜育ちの私にとって、距離的にさほど遠くない熱海は、気軽に行ける観光地! とはいえ、その気軽さが仇となり、今まで日帰りでサクっと行ってしまう機会が多かったのです。
もしかして、自分は熱海の表面の部分しか知らないのでは……。それはもったいない!
最近の熱海は、「昭和の風情を残す温泉街」としても人気があり、また、昔ながらのレトロなスナックも人気らしいのです。そんな自分の知らない熱海を探しに、友人を誘って東京から熱海を目指しました。
東京駅
東京駅から特急踊り子号に乗車
特急踊り子号(熱海駅にて撮影)
東京駅から特急踊り子号下田行に乗車、熱海駅までは約80分、直通で行けるので荷物が多くても心配なし! レトロでかわいい車体の特急踊り子号は、川端康成の小説「伊豆の踊子」から名前を取っているのだそうです。文豪が愛した地へ……いざ!
熱海駅へ到着したらまずはお昼にしましょう! ランチは熱海で有名な老舗洋食店へ向かいます。
レストラン スコット 本店
熱海の老舗洋食店でお昼ごはん
熱海「レストラン スコット 本店」
熱海駅から徒歩20分くらいで「レストラン スコット 本店」に着きました。初代・蓮見健吉氏が終戦後の1946年に創業したスコットは、地元で愛される老舗の洋食店であり、今のご主人で三代目。熱海で暮らしていた小説家の志賀直哉や谷崎潤一郎が愛した味が今も食べられるのです。
手前はタンシチュー、奥がハンバーグ
ランチメニューのコースから私はタンシチュー、友人はハンバーグをいただきました。どちらも仕込みに1週間かかる手間暇かけたデミグラスソースを使用した、お店の人気メニューです。そしてお皿がかわいい……!
タンの柔らかさが伝わるでしょうか
タンシチューは分厚いタンが2枚入っているのですが、こんなにとろけるタンははじめてでした。フォークで切れてしまいそうな柔らかさのほろっほろのタンに絡む絶品のデミグラスソース……!
ランチコースは、メインのほかに前菜盛り合わせやスープ、デザートなどがつきます。コースで3600円(税別)から。私が注文したタンシチューのランチコースは5300円(税別)と、決して安くはないですが、熱海の老舗洋食店の味と伝統をたっぷり堪能できるコースです。はぁ……美味しかった!
熱海駅
憧れのホテル「ニューアカオ」に宿泊
老舗洋食店のランチを堪能後、一度熱海駅まで戻りました。本日宿泊する「ホテル ニューアカオ」は若干駅から離れています。ですが駅から無料送迎バスが出ているので安心。
ホテル ニューアカオ(写真提供:ホテル ニューアカオ)
ニューアカオは、「錦ヶ浦」の海にせりだすような形で建築された全室オーシャンビューが自慢のホテルで、エントランスやフロントが最上階の17階にあるというちょっと珍しい造りをしています。
エントランスを抜けてフロントへ向かう通路。豪華にしつらえた内装に煌びやかなシャンデリアが輝いて、まるで昭和のダンスホールにタイムスリップしてしまったような感覚です。
※編集部注:(ハロウィンなどの)装飾は季節ごとに異なります
サロン・ド・錦鱗(きんりん)
このロイヤルブルーの昭和の華美な空間は「サロン・ド・錦鱗」。社交ダンスの会場として月に数回、また会議や宴会の会場としても使われているそうですが、使われていないときはこちらでウェルカムドリンクの提供があります!
この窓から花火が……!?
今回宿泊した客室です。窓からは熱海の街や相模湾が一望できます! ちなみに、一部の部屋からは、熱海海上花火大会の花火も見ることができるのだそうです。また、花火は、専用観覧席(ニューアカオ15階)からも見ることができるとのこと。
※編集部注:熱海海上花火大会は年間を通して開催。花火が見える部屋は専用プランでの申し込みが必要
大ホール「メインダイニング錦」。エントランスからこのクラシカルさ……映画のセットのようです。
メインダイニング錦
扉をくぐるとそこには別世界が広がっていました。ローマ宮殿を模したメインダイニング錦では、毎日夜にディナーショーが開催され、食事とともにショーを楽しむことができます。
メインダイニング錦で舌鼓
お楽しみの夕食! 友人は白ワインで私は静岡の地酒「花の舞」で乾杯。メインダイニング錦では鮮魚や肉、野菜など旬の食材を使用した和洋折衷のコース料理がいただけます。
はい。美味しい。熱海に来たらお魚は食べたくなりますよね……。この日のお料理は先付の南瓜のムースではじまり、旬菜盛り合わせ、鮮魚盛り合わせ、海鮮鍋、牛ヒレ肉と旬野菜の陶板焼きなどから、最後のデザートまで、かなりおなかいっぱいになりました。大満足です。
普段だったらここでお風呂入って寝ちゃうんだけど、今日はこれで終わりません。夜の街へ出かけます。
スナック亜
熱海はスナックも熱い!
熱海はスナックも熱い! 古くから保養地として栄えた熱海では、お酒を飲んだり芸妓さんと遊んだりと、夜遊び文化が花開きました。
年間約300万人もの宿泊者が押し寄せる熱海には、レストラン、バー、居酒屋、スナックなどあらゆるジャンルの飲食店が立ち並びます。
スナック亜
普段はスナックに行く機会が滅多にない私たち。たくさんあるお店のなかからネットなどを見てめちゃくちゃ吟味し、「スナック亜」というお店に目星をつけました。熱海市観光協会のホームページには「スナック特集ページ」があるので、ここから探せば観光客でも迷わず便利! さっそくホテルからタクシーで出発!
とはいえ、お店の前でやっぱり緊張。スナックって外からは中の様子が確認できないことがほとんどで勇気がいるんですよね。呼吸を整えて、いざ入店。
スナック亜のママ、公己枝(きみえ)さん
入ってみてビックリ。すごく落ち着くのです。物語で探偵が仕事終わりに来そうな、そんな雰囲気のあるスナックでした。まるで「大人の秘密基地」みたい!
落ち着く店内
1時間ひとり3000円からで、お酒と、ママが手作りした惣菜などのお通しがつきます。
美人のママさんにお酒を注がれて語らう旅先のひととき……。「熱海に住んでいるお姉さん」みたいな距離感で話してくれるので、初めてなのに居心地がいい。都会の喧騒を離れた熱海で大人の社交場体験、すごく楽しかった。今回が「スナックデビュー」の友人にも、よいデビューを飾れたと喜んでもらえました。
昼間のスナック亜
ちなみにスナック亜、外観の佇まいもレトロでハチャメチャに良いです。ママの公己枝さんのお母様の代から地元の方に愛されて、2019年で創業40年とのこと! この扉の向こうに広がる居心地のよさを想像しながら、少し緊張して扉を開く、その瞬間も「愛されスナック」の醍醐味かもしれませんね。
スナックを満喫した後はタクシーでニューアカオに戻り、明日に備えて就寝……。
ニューアカオ
朝食会場から見える「馬の背」
メインダイニング錦で朝食
熱海滞在2日目。朝食は夕食と同じ会場、メインダイニング錦。窓からは錦ヶ浦の「馬の背」と呼ばれる地形が見えます。
錦ヶ浦の馬の背
錦ヶ浦は、2018年に世界遺産などと同様にユネスコが推し進めているプログラムの「世界ジオパーク」に認定されています。錦ヶ浦という美しい名前は、朝の太陽の光が浦の青い海や洞窟などにそそぐと眩しい5色の光となって輝くことから、美しい京都の織物「錦織」の名を借りてそう呼ばれるようになったそうです。
アタミロープウェイ
アタミロープウェイで八幡山山頂へ
アタミロープウェイ
ホテルから「アタミロープウェイ」の山麓駅へ。山麓駅までは徒歩20分くらいの距離を歩きました。乗車時間約3分30秒のアタミロープウェイは、観光用ロープウェイとしては日本で一番短いといわれています。
ロープウェイからの眺め
ゴンドラからは熱海の温泉街が見下ろせます。日本一短いとはいえゴンドラからの眺めは迫力満点。
あいじょう岬展望台
山頂駅すぐの所にあるのが、2019年3月16日にリニューアルしたばかりの「あいじょう岬展望台うみそらテラス」。恋愛成就のメモリースポットとして記念撮影ポイントになっています。こちらの見晴らしもよいのですが、今回は、あいじょう岬よりもさらに高い場所にある熱海城を目指します。
熱海城
熱海城から絶景を楽しむ
熱海城
あいじょう岬展望台うみそらテラスから徒歩3分ほど、「熱海城」にやってきました。取材時は台風15号で被害を受けた箇所を工事している最中でした。
天守閣からの眺め
天守閣から熱海の温泉街を遠くに見下ろします。6階の天守閣は地上43m、海抜160m。熱海随一の眺望!
江戸体験の間
天守閣以外にも熱海城は見るべきポイントがたくさんあります。無料の衣装を借りて写真撮影ができる「江戸体験記」や、1階にあるジェット付きの足湯、全問正解で熱海城オリジナルグッズがもらえる「江戸のなぞ絵・遊び絵展」、鎧や日本刀の展示など貴重な資料で武家文化を今に伝える「武家文化資料館」など。18歳未満は入場不可な「浮世絵・春画展」もあります。もりだくさんですね。
熱海駅
熱海駅前を散策後、駅弁を買って帰京
熱海駅前平和通り商店街
熱海城からホテルへ戻り、再び無料送迎バスで熱海駅へ。熱海駅前には昭和の風情を残すレトロなお店がたくさん立ち並ぶ商店街があります。そんな駅前の「熱海駅前平和通り商店街」をぶらぶら観光しました。
手湯「福福の湯」
商店街には手だけ浸かれる温泉、手湯(てゆ)「福福の湯」もありました。地中300mから湧出しているこの温泉の源泉名は「福福温泉」。熱海は歩いているだけで楽しい!
駅弁「鯛めし」
旅の最後には熱海駅で駅弁「鯛めし」を買うことに。「鯛めし」といえばしっとりした甘めの鯛おぼろが特徴です。ちくわや蒲鉾(かまぼこ)といった地元の名物も入っているのが嬉しいポイント。地元の味たくさんの駅弁で、東京に帰る寸前まで充分に熱海を満喫することができました!
熱海といえば温泉! のイメージが強く、今までは温泉以外の側面をあまり知りませんでした。今回の旅では温泉はもちろん、「温泉だけじゃない」、レトロでかわいい熱海の魅力を知ることができました。 みなさんも、そんな熱海を探しに旅立ってみてはいかがでしょう。
東京駅
掲載情報は2019年12月17日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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