お互いの仕事に無関心な夫婦ほど、家事育児で揉めている――共働き夫婦 家事育児の実態~夫のホンネ、妻のホンネ~vol.04

お互いの仕事に無関心な夫婦ほど、家事育児で揉めている――共働き夫婦 家事育児の実態~夫のホンネ、妻のホンネ~vol.04 家事育児で揉めている夫婦のイラスト

※本記事はiction!特集企画「共働き夫婦 家事育児の実態~夫のホンネ、妻のホンネ~」vol.04(2019年7月25日掲載)より転載した記事を一部改編して掲載しております。

夫婦が円満に仕事と家庭を両立するためには、本当に家事育児を平等に負担することが必要なのでしょうか?

「5:5にしろとは言わないけれど、あまりに不平等(妻・33歳)」

「平日は妻に任せきりになってしまい、申し訳ない(夫・37歳)」

私たちが今回行った調査でも、家事育児の実施割合に言及した意見が沢山寄せられました。たしかに夫も妻も外で働く家庭の場合、家事育児を平等に担うのがフェアなように思えます。けれど、家族それぞれにライフスタイルが異なるなかで、一律に5:5を目指すことは家族の幸せに繋がるのでしょうか。

連載企画第4弾は、多くの夫婦が気にしている「家事育児の実施割合」と満足度の関係を敢えて疑い、夫婦円満の秘訣を探っていきます。

※本連載記事は、夫婦ともフルタイム勤務もしくはそれに近い働き方をしている共働き家庭に注目し、「夫婦ともに週5日以上勤務かつ、1日平均6時間以上勤務の世帯」を対象とした調査結果をもとに構成しています。詳しい調査対象については、こちらをご覧ください。

円満家庭も不満のある家庭も、家事育児の分担比率はあまり変わらない

まず注目したのは、「夫婦のどちらも配偶者の家事育児に不満はないと回答した家庭」と、「夫婦のどちらか、もしくは夫婦共に不満がある家庭」では家事育児の分担に差があるのか。しかし、円満家庭の家事・育児の分担比率が妻:夫=65.6%:34.4%の比率だったのに対して、不満のある家庭は妻:夫=70.2%:29.8%と、明らかに差があるとまでは言えない結果でした。

また、今回調査した家庭のうち、お互いに不満がないと答えた夫婦は全体の4割。実施割合の平均は妻:夫=7:3という分担実態を踏まえると、家事育児を平等に担うことが絶対に必要だとは言い切れないようです。

夫婦の収入差や夫婦の年代も、家事育児の満足度には影響していない

では、家事育児の負担が不平等でも不満のない夫婦は、どうして現状に納得できているのでしょうか。そこで注目したのは夫婦の年収差。100万円以上の差がある世帯と、差がない世帯で満足度を比較してみました。ところが、この場合も満足度に大きな差は認められず、各家庭における理想の家事育児のあり方は、収入の違いだけで一概に語れるものでもないようです。

夫婦の年収差×配偶者への不満度調査

また、「時代とともに家族内の役割意識が変化していることも関係しているのではないか(女性の社会進出&男性の家事育児参加への納得度)」という仮説のもと、世代別の満足度も比較しました。しかし、こちらもはっきりとした違いがあるとは言えず、家事育児の満足度との相関性はない結果でした。

男性年代別配偶者への不満度合女性年代別配偶者への不満度合

円満家庭の共通点は、夫婦の会話が多いこと!?

円満とは、どちらかが一方的に自分の都合を押し付けるのではなく、お互いが納得している状態です。そこで私たちは、夫婦が日常的に会話している内容にも注目。すると、不満のある夫婦とない夫婦では、やや異なる傾向が見えてきました。

夫婦でよく会話している内容に大きな違いはなく、どちらの家庭も「家計の話」が第1位で割合もほぼ同じ。子育てをしながら家族で暮らしていくうえで、お金の話題は避けて通れないようです。ただ、それ以外の項目では、いずれも円満家庭の方が日常的に話している割合が高い結果。不満のある家庭の方が、お互いの状況や考えをあまり話していない可能性がありそうです。

また、一番差が大きかったのは「子どもの教育方針」ですが、「妻の仕事の内容」「妻の職場環境・人間関係」「妻の仕事で得た喜び」など、”仕事の話”が日常会話になっているのかも、違いとして浮かび上がっていました。

「配偶者と定期的に話し合っていること」についてのアンケート結果

不満のある家庭ほど、結婚後にパートナーの仕事への関心が薄れている

そこで今度は「配偶者の仕事への理解度」に注目。結婚前と現在で、相手の仕事についてどの程度理解しているかを調査してみると、そこには明らかな違いがありました。円満家庭は、「結婚前」の時点で相手の仕事への理解度が10ポイント以上高いのに加え、「現在」は不満のある家庭に比べて約20ポイントも高い結果。円満家庭は一緒に暮らすうちにお互いの仕事への理解を深めているのに対し、不満のある家庭は結婚前→現在で理解度が下がっており、真逆の動きを示しています。

お互い不満がない夫婦が定期的に話し合っていることどちらかが不満がある夫婦が定期的に話し合っていること

また、不満のある家庭と比較すると、「仕事で得た喜び」と「今後のキャリア」の理解度で特に差が大きいのも特徴。夫婦で仕事の話をよくする家庭は、単に相手の仕事内容や日常的な愚痴を聞くだけでなく、パートナーの働く価値観やキャリア観まで理解している。だからこそ、お互いの仕事を応援しあえる協力のあり方を模索できるのではないでしょうか。

では、相手が自分の仕事を理解していないことが原因で家事育児に不満を持つ人たちは、具体的に何を不満に感じているのでしょうか。ここでは自分の仕事の実態やキャリア観をもっと知ってほしいと考えている妻たちの意見をご紹介しましょう。

「私も夫と同じくらい仕事を対等にしているつもりだし、私は持ち帰りの仕事が大量にあって主人にはないのに、夫は自分だけが疲れていると思って家事育児を押し付けてくる(妻・34歳)」

「子どもがまだ小さいので急な熱発時の対応や育児時間の確保のために、自分(妻)が仕事を抑えているが、本当は私もキャリアアップや給料アップを目指したい。妻もしっかり働きたいと思っている気持ちをきちんと理解してほしい(妻・36歳)」

もちろん、夫婦がともに働きながら子育てをしている家庭だからこそ、慌ただしい日常を送っているのが一般的。二人でゆっくり話す時間をなかなか取れないのが現実かもしれません。でも、今回の調査対象のように夫婦ともに一定以上の時間を仕事に費やす家庭は今後ますます増えていくでしょう。だからこそ、あなた自身がそうであるように、パートナーの人生も「働くこと」が大きな割合を占めていることにもう少し関心を持ってもいいかもしれません。 一部改編:リクナビNEXTジャーナル編集部

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