写真めちゃ綺麗「Canon PowerShot G7 X Mark III」のレビュー

今年 8 月に発売されたキヤノンのハイスペックコンパクトデジタルカメラ「PowerShot G7 X Mark III」のレビューをお送りします。
PowerShot G7 X Mk3 は扱いやすく持ち運びやすいサイズのボディに、1.0 インチの積層型 CMOS イメージセンサー(有効画素数 2,010 万画素)、最新の DIGIC8、F1.8-F2.8 と明るく 35mm 判換算で 24mm の広角から 100mm の中望遠域までをカバーするレンズ、ハイアングル・ローアングルの撮影や自撮りで画面が見やすいチルト液晶を搭載しているなど、抜群の描画・光学性能と現代の写真・動画撮影において重宝される機能を多く備えたとても使えるコンデジです。
今の価格は最安 8 万円前後とコンデジにしては決して安くはありませんが、特に写真画質が素晴らしく、それは中級クラスのデジタル一眼レフやミラーレス一眼にも匹敵するレベルです。
また、カメラの操作性も多くの部分で一眼レフと似ており、「本格的なカメラ機材を揃えたいけどお金がかかるから無理」という方、「画質や性能はあまり妥協したくないけど持ち歩くカメラ機材は小さい方がいい」という欲張りさんにとって良いメイン機となるでしょうし、プロの方にとっても良いサブ機になると評価しています。
私はどちらかというとムービーをメインに撮影をしており、ビデオカメラはいつも XA40 を使っていますので、PowerShot G7 X Mk3 を手に入れてからはもう外出時に EOS R を持ち出すことがなくなりました。
私から見ればそれほど使えるコンデジです。
私がもはや PowerShot G7 X Mk3 を手放せなくなっている最大の理由は扱いやすいカメラなのに、めちゃくちゃ写真画質が良いからです。
いくつかのサンプルショットをお見せします。
これらの写真は Tv モードまたは P モードで撮影しています(ホワイトバランスはオート、ピクチャースタイルはスタンダード)。
Google フォトに他のサンプル写真を掲載しているのでご覧ください。
PowerShot G7 X Mk3 の新機能の中で注目されているのは 4K 動画撮影への対応です。
4K 動画は 29.97fps のフレームレートなので実用的。
また、ビットレートは最大 120Mbps なので、スペック的には安価な 4K ビデオカメラや GoPro よりも高画質と言えます。
ただ 4K サイズの設定に限り一度に最大で 9 分 59 秒までしか撮影出来ず、夏場やコールドスタートではない撮影だと、途中で高温による故障の防止機能が作動して録画が強制的に停止することもあり、ビデオカメラのように長時間の 4K 撮影はできません。
4 は使えるシーンが限定されているので大丈夫の時にしか利用しません。
フル HD や HD サイズにこうした制限はありません。
一度に 29 分 59 秒まで撮影でき、発熱で録画が止まることも殆どありません。
嬉しいのが ND フィルターを内蔵していることです。
PowerShot G7 X Mk3 の ND フィルターは ON / OFF を切り替えるだけとなっており、ND4 しか適用されていませんが、外付けフィルターを装着できる作りではないので無いよりかはあった方が便利です。
3 段分減光されるので、その分、シャッタースピードを落として映像の滑らかさを改善したり、絞りを小さくしてより浅い被写界深度で撮影することができます。
動画のサンプルも Google フォトに掲載しています。
PowerShot G7 X Mk3 が手放せない理由は他にもあります。
それは次に長々と説明しているように、様々な場面で使えるカメラだからです。
まさに頼りなるオールラウンダーとも言えます。
今の話を具体的に説明していきますと、まず、レンズは 24-100mm(35mm 判換算)と広角〜中望遠をカバーしており、1.6 倍または 2.0 倍のデジタルテレコンを活用すれば画質は若干落ちるものの望遠レンズを使わないと十分に寄れない被写体でもそこそこ寄った写真に仕上がります。
とはいえ、航空機や野鳥といった望遠をガッツリ利かせたい場面では満足に寄れません。
手ブレ補正機能は通常の「手ブレ補正」の他に、手持ちで歩きながら撮影する時のカメラブレを軽減する「ダイナミック IS」にも対応。
ダイナミック IS は無効・標準・強の 3 つから選べ、標準までであれば画像はクロップされません。
写真も動画も広角 24mm で撮影できます。
手ブレ補正がめちゃくちゃ利く最近のビデオカメラや GoPro と比較すると手ブレ補正の性能は目に見えるくらい劣ります。
カメラ形状の違いもあってかビデオカメラほど手ブレは補正されませんが、広角撮影であれば手ブレが撮影に影響することは殆どありません。
最大付近まで望遠させる場合はカメラグリップ、三脚または一脚を利用すべきです。
連写は最大で秒間 30 コマとかなり高速なので、スポーツやダンス、ペット、子供といった素早く動くことの多い被写体でもバッチリ捉えられます。
ピント合わせではもちろんマニュアルフォーカスに対応しており、マクロモードにも対応しているので様々な被写体を接写できます。
ポップアップ式のストロボは調光やシンクロモードを設定可能。
スプリングで上下に稼働する仕組みなので指で抑えれば簡易的にバウンス撮影もできます。
結婚式や宴会、講演会といった室内で行われるイベント時に役立ちますね。
チルト液晶は上側に約 90 度、下に約 45 度回転し、上に回転させれば自撮りモードに切り替わり、タッチスクリーン上にシャッターや録画ボタンが表示されます。
カメラの物理ボタンを操作することなくスマホ感覚でシャッターや録画を操作できます。
記事の冒頭で「操作性が一眼レフに似てる」と説明しました。
それは例えばシャッタースピードと絞りを別々のダイヤルやリングで変更できることや、マニュアルフォーカスが使えること、露出補正(EV)用のダイヤルが付いており、EV の変更が楽なので、いつも M / Tv / Av / Fv モードで撮影している人にとっては一眼レフの経験で慣れた手付きで撮影できることを意味しています。
また、レンズの根元にあるコントロールリングでは、24mm・28mm・35mm・50mm・85mm・100mm と、レンズの焦点距離を撮影の現場でよく用いられている値へと段階的に変更することができ、被写体に応じて画角の選択が容易なことも一眼レフの操作性に近いと言えます。
PowerShot G7 X Mk3 は何もプロ向けのカメラではありません。
自動撮影機能が充実しているのでカメラの初心者や初級者であっても簡単に美しい、凝った演出の写真を撮影できます。
自動撮影機能の代表的なものは、SCN モードとクリエイティブフィルターです。
これらのモードは他のキヤノン機にも搭載されていますが、PowerShot G7 X Mk3 には他の機種より多くの選択肢があるという点において違いがあります。
それを全て書き出すと、SCN モードには、星空タイムラプス動画、星空軌跡、星空ポートレート、星空夜景、自分撮り、ポートレート、美肌、流し撮り、料理、手持ち夜景、HDR逆光補正、打ち上げ花火、パノラマショットがあり、クリエイティブフィルターには、HDR 絵画調標準、HDR グラフィック調、HDR 油彩調、HDR ビンテージ調、魚眼風、ジオラマ風、トイカメラ風、ソフトフォーカス、水彩風、ラフモノクロ、背景ぼかし、油彩風があります。
RAW 撮影は PowerShot G7 X Mk3 でも可能ですが、さらに新機能として「RAW バースト」という機能もあり、これを利用すると最大秒間 30 コマのレートで RAW の連写ができるのです。
RAW バーストでは、シャッターボタン半押しの状態から撮影を開始し、シャッターを切る 0.5 秒前からの画像データを残すので、スポーツの場面だと決定的なシーンを RAW でバッチリ捉えることができます。
ただ、一回の連写で画像データが一つの .CR3 ファイルにまとめられ、それは 700MB を超えることから多用するとすぐにメモリ不足に陥ります。
他の細かい特徴としては、USB Type-C 端子を搭載しており USB 充電が可能。
内蔵マイクはカメラ上部の中央に位置しているので、録音した音声のバランスがとれて良い。
マイク端子と HDMI 端子(Micro HDMI)を搭載しており、外付けマイクや画面の外部出力が可能。
Wi-Fi と Bluetooth に対応しているので Canon Camera Connect アプリが使える。
小さめですがカメラグリップが付いておりそこそこ掴みやすい。
まとめPowerShot G7 X Mk3 はよく Sony の RX100 シリーズと比較されがちです。
私も過去に RX100M6 を使っていたので簡単に違いを述べたいと思います。
手ブレ補正や全般的な動画機能は RX100 の方が優れており、私自身も動画メインなら間違いなく RM100 を採りますが、写真は PowerShot G7 X Mk3 の方が綺麗だと思いますし、絵作りについても PowerShot G7 X Mk3 の仕上がりの方が好みに合っているので、どちらか一方を選ばざるを得ない状況だと私は PowerShot G7 X Mk3 を選びます。

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