[PR] 開催中なのに中身見せます! “たけし”絵描き小僧展
われらが天才コメディアン・ビートたけし、そして世界的映画監督・北野武がアート展を開催中。その名も『BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧展』(以下『絵描き小僧展』)。この展示会、そもそもはフランス・パリのカルティエ現代美術財団にて2010年に開催され、総来場者数13万人を超える大ヒットであったという。
今回の『絵描き小僧展』はすなわち“凱旋”展示。また、「BEAT TAKESHI KITANO」名義としては日本初の展示となる。今回は開催中にもかかわらず「展示物の取材OK」との許可が得られたため、早速、東京オペラシティ アートギャラリーへ向かった。
多彩な展示
入場するやいなや、そこには己のノーミソを観る「たけし」がにこやかに出迎えてくれる。
「オレを見ているオマエは誰だ?!」
それは脳と肉体による自問自答のようであり、こちらへの問いかけのようでもある。
こうしたインスタレーション(空間も含めた立体造形物展示)に限らず、絵画や実際に触れて楽しめるワークショップ展示もなされている。
絵画は、ポップな色調のものが多い。また、映画『HANA-BI』の作中でも描かれたあのモチーフも「動物花器」として展示されている。
「げらげら笑ったっていいじゃない?」
今回の展覧会は、「ビートたけし」でも「北野武」でもなく、現代アーティストの「BEAT TAKESHI KITANO」名義。
そこであえて「北野武」ではないところに、彼の照れや肩ひじ張らない“ペンキ屋のせがれ”としての姿勢も垣間見える。
実際に展示物を見ても、大上段に「アートである!」と構えない、彼自身の恥じらいすら感じる。「こんなの面白いでしょ?」と表現する一方で、別の自分が自分の作品を茶化しているような感覚だ。
それは、いつも私たちがテレビで見ている「ビートたけし」が作り出すものと変わりない楽しさなのだ、と見ている途中で気が付いた。
特別なものでなく、気軽なもの、としての楽しさ
しかし、作品は至って大真面目に作られている。人によっては「こんなバカバカしいものを」と言うようなものが、きわめて真面目に作られているのだ。今回の展示に限らず、コントやバラエティ、映画など彼からアウトプットされるもの全てにおいて、「観ている人を楽しませよう」というサービス精神が源泉だからなのかもしれない。
余談ではあるが、記者は個人的にも「ビートたけし」がとても馴染み深い世代の一人。ことコメディアンが文化に傾倒すると、その人が遠くに行ってしまったような錯覚を覚える事が多いのだが、今回の『絵描き小僧展』は、違っていた。今回の『絵描き小僧展』すべてに共通するのは、送り手である「BEAT TAKESHI KITANO」と観客の目線が水平であると感じさせるものばかりだという事。
彼が今回、カルティエ財団からパリでの展覧会の話をもらった時、次のように感じたという。
「自分は芸術家ではないし、下手したら映画監督でもないしって。なんか面白いことをしてるテレビのタレントではあるけれど、人と比べて特に誇れるものがあるわけじゃないし、個展のようなことをするには向いていないかもしれない……」
(中略)
でもたまに大人が子供の発想から生まれた絵なんか見た時に、質とか技術とかは幼稚なんだけれども、あ、おもしろい、とかいいなって、強く惹かれるものが有ったりするでしょ。そういうものを、ひとつでもお客さんに、自分の個展で感じてもらえればいいなと。
(『BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧展』公式カタログより)
ややもすると、“芸術作品”が高みから見下ろしていたり、我々が作品の前にへりくだったりしている場合があるかもしれない。しかし、今回の作品はいずれも同じ高さに位置している。そして、非常に面白く、刺激的だ。まるで彼のバラエティ企画のようだし、実際、会場ではバラエティ番組でのテレビ映像の一部も「作品」として流れている。
家族や友人と楽しみやすい
全体を通して思ったのは、(良い意味で)テレビ感覚の楽しみ方ができる展示である、ということ。
こと『絵描き小僧展』においては「ゲージュツ作品を観て、作品の意図を読もう」とか難しく考える必要は無いだろう。“彼の部屋”に入って日記をのぞき見たり、ビックリ箱に驚かされたり、という楽しみ方が、きっと出来ると思う。
そういった意味でも、家族や親しい友人と楽しむのに、強くお勧めできる。
『BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧展』は、2012年4月13日(金)から9月2日(日)まで開催予定だ。
BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧展 Fondation Cartier pour l’art contemporain
2012年4月13日(金)から9月2日(日)まで
東京オペラシティ アートギャラリー
※本企画は特別に撮影の許可をいただいております。通常は撮影不可ですので、くれぐれもご注意ください。
(c) Office Kitano Inc.
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