生活保護のリアル~抜け出したい人へ~(羽馬千恵の「虐待サバイバー学」入門)
今回は羽馬 千恵さんのブログ『羽馬千恵の「虐待サバイバー学」入門』からご寄稿いただきました。
生活保護のリアル~抜け出したい人へ~(羽馬千恵の「虐待サバイバー学」入門)
生活保護のリアル ~抜け出したい方へ~(技能修得費)
役所が積極的に教えない制度が沢山あります。
私は、虐待の後遺症で20代から何度も精神科に入退院を繰り返してきました。
その度に安定した職を失い、貧困に陥ってきました。
→詳細は、こちら
「わたし、虐待サバイバー」2019年8月8日『amazon.co.jp』
https://www.amazon.co.jp/dp/4893089196/ref=cm_sw_r_fm_apa_i_UDVmDbMCP35B1?fbclid=IwAR2aFakvteKvyFcA0ObF2BjeZbdAw9llAZQRsusdGk3QibwGVxA0uyJmkDQ
今の日本で一度、貧困に陥ると「貧困ループ」から抜け出すことは至難の業です。
私は25歳で半年、生活保護になり、その後、非正規雇用の仕事に就労し生活保護から抜け出しました。
しかし、以下に記載するような制度を役所が教えてくれなかったため、就職活動に係る費用も生活保護費の中から全額賄い、ようやく仕事が見つかっても、生活保護を切って就労したため、給与が出るまでの約一ヶ月間は食べるものもろくにない状態で、ガリガリになりながら、働いた経験があります。
本来、以下に記載の制度を活用すれば、もっと楽に生活保護から抜け出すことができ、就労しても生活費に困ることなく、最初の給与日を迎えられえるのに、役所はその制度をこちらから訊かなければ、教えない実態があります。
生活保護者の技能修得費というものがあることをご存知でしょうか?
私も、担当ワーカーにそのような制度の有無を訊くまで、知らなかった知識だし
事前に教えてもらうことはありませんでした。
その他、小さな事業の資金を提供する生業費など、生活保護から抜け出したい人が、よりスムーズに抜け出せる制度がすでにあるのに、役所がきちんと制度を教えていなかったり、社会にその知識がきちんと周知されていない実態があります。
私は、フルタイムで介護などの仕事で収益を得ながら、昨年から書籍の執筆を続けてきましたが、今年の春頃から元々の病気(虐待の後遺症である複雑性PTSDなど)によって、働くことが難しくなり、今年7月と9月は精神科へ入院にもなりました。
結果的に、再び、生活保護となってしまったのですが、抜け出したい!という働く意欲があり、そのために適した資格(精神保健福祉士)取得をしたいと役所に申し出たのですが1度目の審査は却下されたのです。
精神保健福祉士の資格取得をしたい理由は、自分のやっている活動や今後の仕事などが自分の適正に合っていることに加え、今の日本社会で貧困ループに陥ってしまうと、再就職しても、ブラック企業や休日もほとんどない低賃金な仕事にしか就けないため、再び、生活保護に逆戻りしてしまったり、生活保護から抜け出して、働いても、働いても、貧困からは抜け出せない実態があるからです。
無理してブラック企業で働き、まともな食費もないような貧困生活が続くために、余計に病気が悪化するケースも珍しくありません。
どうやって、2度目の審査を通したかという参考事例を以下に述べます。
多くの生活保護から抜け出したい人のための参考になりますことを祈って書かせてもらいます。
なお、以下のサイトは、一読の価値ありです。知らない人が多すぎる制度がすでにこの国には存在します。
「貧困と生活保護(25) 高校就学、技能習得など、広く活用したい「生業扶助」」2016年2月19日『yomiDr.』
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160219-OYTET50013/
ポイント(1)
口頭で申請するのではなく、文書をしっかり作成し役所に提出しましょう!
1度目に審査が却下された理由は、①文書でなく口頭での申請だったこと、口頭のために具体的に伝わりにくく、会議にかけてもらえなかったのです。②役所の偏見により、『抜け出した前例がない、過去に自動車運転の資格取得をさせても抜け出せなかった人がいた』などの理由をあげていました。
以下は、私が二度目の審査にチャレンジしたときに、役所に提出し審査が通った実際の文書です。参考までに以下の文書を活用ください。
→より鮮明な画像は元記事よりご覧いただけます。
「生活保護のリアル~抜け出したい方へ~(技能修得費) 」『羽馬千恵の「虐待サバイバー学」入門』
https://haba55survivor.exblog.jp/28699471/
ポイント(2)
ポイント(1)の文書に記載してますが、ポイントは就労の意欲と、資格取得によって、いつ頃(時期)、どのような仕事(具体的な職種や求人の有無など)に就くのか等、具体的な計画性をきちんと文章化することです。
ポイント(3)
主治医およびその資格保持者の意見を文書に盛り込む。
私の場合は主治医からも役所に電話で資格取得について、取らせてあげてほしいと言ってもらえました。
また、当該資格保持者の意見(この方は、この資格を活用した仕事に向いている、求人がちゃんとある等)も盛り込み、就労の実現可能性のある現実的な資格取得だと役所に解るように文書化することです。私の場合は、今、通院している病院の精神保健福祉士から聞き取った内容を文書に盛り込みました。
現実的に、資格を取っても就労に結びつかない非現実的な資格取得であれば、審査は通らないでしょう。
ポイント(4)
資格取得に係る経費が解る専門学校等の募集要項を取り寄せ、文書に添付して提出すること。
これも、上記の文書とともに、添付資料として役所に提出し、具体的に資格取得に係る経費を役所に解るように提示しました。
ポイント(5)
現在の収入状況の記載。もし生活保護を受けながら、わずかでも働き収益があるなら、それをきちんと記載しましょう。
要するに、働く意欲があることを見せることが有利に働きます。
そして、就労先と取りたい資格の整合性がきちんとあれば、審査は通りやすくなります。
上記の5つのポイントを抑えながら、文書を作成して技能修得費の審査が通るよう、交渉しましょう。
本来、こんなことをしなくても制度をみんなに活用させるべきだと思いますが、現在の日本の役所の現実を打破するためには、それなりの智恵がいります。
Profile
羽馬 千恵 – Haba Chieノンフィクション(記録)作家。虐待サバイバー。
昭和58年、兵庫県生まれ。
帯広畜産大学・畜産学部卒業。
帯広畜産大学・大学院修了(農学修士)。
北海道大学大学院・文学院(博士中退)。
専門は野生動物学。
精神保健福祉士(取得予定)。
元・博物館の学芸員・動物園の飼育員。
現在は、虐待サバイバーとして社会啓発活動を作家として
行っている。
大人の未来(全国虐待被害当事者の会)代表。
2019年『わたし、虐待サバイバー』で作家デビュー。
現在、『虐待の後遺症』のルポルタージュ執筆中。
主な業績は以下のURL参照。
https://haba55survivor.exblog.jp/28385459/
執筆: この記事は羽馬 千恵さんのブログ『羽馬千恵の「虐待サバイバー学」入門』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2019年11月22日時点のものです。
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