押し負けない“反論する”技術

会社や家庭にやってきては、自信満々に自社の商品を売り込んでくる営業マン。もちろん、そういう人だけではありませんし、相手は仕事でしているとはいえ、アプローチされる側としては、少し迷惑だと思ってしまうところもあるのではないでしょうか。
そんなとき、相手の言うことから矛盾を探し当てて指摘をしたりできればいいのですが、相手の勢いがあればあるほど押し切られてしまうことも。
現役弁護士が執筆した『弁護士だけが知っている 反論する技術』(木山泰嗣/著、ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊)は議論や問い合わせ、しつこい勧誘などの場面で使える反論の技術を教えてくれる一冊。
今回は本書の中から押し負けないための技術をご紹介します。
■成功事例を聞く
「これほど素晴らしい商品はありません」「画期的なプランですよ」といった具合に、自信満々に話してくる営業マン。そうなると、専門外ゆえの知識のなさも相まって、「あ、そうなのかな」とついつい信じてしまいがちになります。こういうときに騙されないようにするためには、「成功事例」を聞くのが効果的。特に件数は重要です。「100%」といっても100件中100件か、3件中3件かで大きく変わります。また、「3件くらいです」というのも不明瞭といえます。
専門的なことをまくしたてられ、上手くいきそうだけど本当にそうなのか分からない。そういうときは、「成功事例はどのくらいあるのですか?」という質問してみましょう。
■客観的事実にあわないことを指摘する
相手の言っていることがどう考えてもおかしい。でも、弁が立つ相手のため、なかなか反論しにくい。そんな場合はどうすればいいのでしょうか。
例えば、数字を使って実績やデータなどを話している場合、その数字に不正確さや誤りがあれば、それを指摘しましょう。データは自分の意見に都合よく引用されるもの。もし、「7割近くの人が支持をしている」といわれても、実際の統計では「3人に2人」のデータかも知れません。
営業マンに限らず、こうした「不正確な誇張」はよくしてしまいがちです。ひっかかるデータが相手から出てきたら、客観的な事実をしっかりと見つめましょう。
■必要性はあっても、許容性がないことを指摘する
相手の意見や提案はよく分かる。けれど、現実的にはむずかしいということもあるはずです。こういったケースについては、「必要性」と「許容性」というふたつの視点で分析しましょう。
例えば「会社のパソコン機器などをすべて最新のものに変えるべき」といった場合、必要性はありますが、「予算がない」のであれば許容性はありません。相手が「御社(あなたは)は○○すべきだ」と強く要請してきたときは、その許容性を考えるのです。それは、相手が提案している内容そのものは正当性や妥当性があれば、なおさらです。理想論を掲げても、予算や時間的な裏づけがなければ現実的な実行はできません。
著者の木山さんは反論をする、言い返すということは、最初は勇気の問題ではないかといいます。いくら反論の方法や技術を身につけても、実際にしかるべきタイミングでそのことを言えなければ、意味はありません。だから、もし、困ったときはまず勇気を出して言い返してみてください。
ただし、相手にケンカを売るような口調はいけませんよ。余計に話がこじれてしまうかも知れませんから。
(新刊JP編集部)
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