レトロ建築好きライターが案内する、この秋行きたい富山の建築8選

レトロ建築好きライターが案内する、この秋行きたい富山の建築8選

編集・ライターの仕事をしている江角悠子です。レトロ建築が好きすぎて、ライター業と平行して、古い洋館で食事を楽しむ「京都洋館めぐりの会」を開催したり、洋館を案内する街歩きのガイドをしたりしています。

さて、今回の旅の舞台は富山県。名建築がコンパクトにぎゅっと詰まっており、建物好きにはたまらない街でした。歴史ある建物から近代建築まで、富山の魅力ある建物をたっぷり紹介します。

東京駅

北陸新幹線「かがやき」で富山へ!

東京駅からだと、北陸新幹線に乗れば、JR富山駅まで2時間ちょっと。

旅のお供には、駅で購入したドリップコーヒーと甘いもの。列車に乗り込んだら、あとはのんびり車窓を眺めているだけで、目的地に連れていってもらえるなんて、これぞ列車旅の醍醐味!

限られた時間、日常と切り離されるこの移動時間がたまらなく好きなので、本を読んだり、景色をぼーっと眺めたり……。そうしているうちに、あっという間に富山へ到着です。

富山駅

さて、駅に着いたらまずは、富山駅北口から歩いて9分ほどのところにある「富岩(ふがん)運河環水公園」ヘ向かいます。

スターバックスコーヒー 富山環水公園店

「世界一美しい」といわれるスタバ

富岩運河環水公園

富岩運河環水公園(通称・環水公園)は、富岩運河を囲むように広がる自然豊かな都市公園。そして、この公園内にあるのが、「世界一美しいスタバ」といわれる「スターバックスコーヒー富山環水公園店」です。

2008年に、スターバックスのストアデザイン賞で最優秀賞を受賞したことから、そういわれるようになったそう。

スターバックスコーヒー富山環水公園店

店舗はすっきりとシャープで、何とも絵になる美しさ! そして想像以上にすばらしかったのが立地。建物は運河を向いて建てられており、さらにガラス張りなので、店内からも美しい水辺を望むことができます。

特等席は、やはり外にあるテラス席。水面を吹く心地いい風に吹かれながら、おいしいコーヒーを飲む。うーん、これ以上の幸せはないのかもしれない。
スターバックスコーヒー富山環水公園店

次に紹介する天門橋の上から眺めたスタバ

天門橋

展望塔から環水公園を一望!

続いて向かったのは、スタバから徒歩1分ほどの「天門橋」です。同じく環水公園の中にあり、公園のシンボル的存在です。

天門橋

橋は運河をまたぐように建てられており、両サイドの展望塔は、エレベーターで上まで登れるようになっています。

展望塔から見る環水公園

展望塔から見る環水公園もまた絶景なのでした。

富山県美術館

見てさわって、アートを体感!

天門橋から徒歩4分ほど。環水公園のちょうどつき当たりに位置しているのが、2017年夏に移転オープンした「富山県美術館」です。

富山県美術館

東向きの壁が一面ガラス張りになっているのは、素晴らしい景色を取り込むためだそう。そのため、施設内からは環水公園が見渡せ、開放感いっぱい!

館内ではアートやデザインに関する企画展のほか、「世界的コレクションを新しい切り口やテーマ、見せ方で紹介する」をコンセプトにコレクション作品を展示。屋上は、オノマトペ(擬音語、擬態語)から考えられた、いろんな形の遊具があり、子どもたちにも人気のスポットとなっています。これがなんと! 無料で開放されていて、この屋上から見える立山連峰の景色がすごくいい!

※編集部注:屋上は、12月1日〜3月15日は閉鎖

樂翠亭美術館

和とモダンが融合した空間

次に富山県美術館から環水公園内を通り抜け、徒歩12分。1950年代に建てられた日本建築の邸宅をリノベーションした「樂翠亭(らくすいてい)美術館」に到着です。

樂翠亭美術館

今回は中には入らず外観だけ見学しましたが、表は近代的でモダンな印象ながら、中は回廊式の日本庭園が広がる、ザ・和の空間となっているそう。

インテック本社前駅

富山ライトレールに乗って海の見えるエリアへ

富山ライトレール

見どころたくさんの環水公園エリアを満喫したら、次は樂翠亭美術館から徒歩4分ほどのインテック本社前駅から富山ライトレールに乗って、海の見えるエリアへ。「ライトレール」とは、次世代型路面電車だそうで、レトロな見た目の路面電車とは一線を画すモダンなデザイン。

路面電車のいいところは、外の景色をのんびり眺められるところ。とくに旅先の場合、知らない景色にたくさん出会えるお楽しみがあります!

富山ライトレールに乗って約20分、競輪場前駅へ移動します。

北前船廻船問屋 森家

富山に残る明治期の町家

北前船廻船問屋 森家

1878年に建築されたもの

富山ライトレールの競輪場前駅から徒歩10分ほど。
北前船(きたまえぶね)とは、北海道の松前から船が出ていたことからそう呼ばれ、廻船(かいせん)とは、港から港へ旅客や貨物を運んで回る船のことを指します。当時、この岩瀬エリアは北前船による交易が盛んで、海商の街として栄えたそう。そんな旧家のひとつ、「北前船廻船問屋 森家」の中は、屋久杉の板戸や能登産黒松の梁(はり)、土間には小豆島産の巨大な1枚岩が使われるなど、贅沢なつくりとなっています。

 北前船廻船問屋 森家

森家がある岩瀬大町通り一帯は今もなお古い建物が多く立ち並んでおり、まるで建物が建った明治期を思わせるような雰囲気。街の歴史的背景を知ったあとに散策すると、また感慨深いものがありました。

富山港展望台

常夜灯を模した形の展望台

森家から海へ向かって3分ほど歩くと、富山港を一望できる展望台「富山港展望台」に着きます。

このちょっと変わった形は、当時灯台の役割を果たしていたともいわれる地元の金比羅社の「常夜灯」がモデル。

富山港展望台

中の見学は自由。約100段のらせん階段を登りきった先には、富山の美しい海が広がっていました!

富山港展望台からの景色

一気に6ヶ所ものスポットを巡り巡ったあとは、富山旅のお楽しみ、海鮮を食べてから富山駅近くのホテルに宿泊します。

電鉄富山駅・エスタ前駅

キラキラが目を引く「富山市ガラス美術館」

富山2日目も名建築をめぐります!

朝イチで向かったのは、「富山市ガラス美術館」。富山地方鉄道の路面電車に乗り、電鉄富山駅・エスタ前駅から西町駅まで約7分。
富山市ガラス美術館

富山市ガラス美術館は、西町駅のすぐ目の前

設計を手がけたのは、世界的な建築家として知られる隈研吾氏。立山連峰を彷彿とさせる、キラキラと光る外観で、素材には富山の名物であるガラス・アルミ・御影石を使用。それぞれの方向を向いた素材が光を反射しているので、見る角度や訪れる時間帯によっても、いろんな表情を見せてくれそうです。

富山市ガラス美術館

館内も圧巻のこの眺め! シュッとした外観とは対照的に、中は富山県産の杉を使ったルーバー(羽板)がちりばめられており、ぬくもりを感じられる空間。
富山市ガラス美術館

建物の中には、図書館もありました

電気ビルレストラン

レトロ建築で昔ながらの洋食を食べる

富山電気ビルデイング

1936年竣工。「富山の迎賓館」ともいわれる

ふたたび市電に乗って移動。西町駅から電気ビル前駅まで約4分。これまた駅のすぐ前に建つのが、昭和初期に建てられた「富山電気ビルデイング」です。

電気ビルレストラン

電気ビルの中には飲食店が3店舗あり、この日行ったのは4階にあるレストラン
オムライス

中身の具はチキンかハムか選べます

頼んだのは、1番人気だというオムライス(税込900円)。シェフが2週間かけて煮込むデミグラスソースに、具はグリーンピース、タマネギ、チキンとシンプルなのに、しみじみおいしい……!

クリームソーダー

食後には、これまた懐かしいクリームソーダー(税込600円)を。このたたずまい、この空間と相まって、最高に絵になる!!!  その後、ビル内を見学して回ったのですが、当時のしつらいがそのままで、レトロ建築好きにはまるでテーマパークのような夢のビルデイングでした!

富山電気ビルデイング

富山駅

駅構内で富山ならではのお土産を購入!

旅の締めは、富山駅に戻って「きときと市場とやマルシェ」でお土産購入。富山初心者の私にも嬉しい「これぞ富山の名産」が一堂に会しています。

富山美味しいものありすぎ問題で大いに悩みましたが、ここでは昨晩海鮮と一緒に飲んでおいしかった秋の味覚「富山のひやおろし 純米吟醸 若鶴」(税込1461円)、しろえびやほたるいかを干したものを詰め合わせた「越中富山 幸のこわけ」(税込1404円)を購入。

越中富山 幸のこわけ

富山の名建築スポットをダダダっと回った1泊2日。

路面電車や徒歩で充分に回れるくらいコンパクトにぎゅっと名所が集まっていたので、とっても観光しやすく、満足度が相当に高かった!!  というのが今回一番の感想。

各所をいろいろ見て回りたいなら、雪が降る前のこの時期がまさに絶好のタイミング! 富山の街と名建築、ぜひ楽しんでみてください。

東京駅

掲載情報は2019年11月7日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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びゅうたび

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