お坊さんHacks!写経のススメ
仏教は体験の世界です。お経を読んだり、座禅をしたり、写経をしたりという比較的簡単に仏教に触れることができる行事が全国各地のお寺で開催されています。
さて、写経といえばみなさん何をイメージされるでしょうか?
般若心経?奈良の薬師寺?頭すっきり?お習字はちょっとなぁ…などなど。
今年は新しいことにどんどんチャレンジしよう!ということで自坊でも写経会を開催しています。まだまだ手探りですが、それでも毎月の寺報で写経会開催をご案内させていただくと多くのお檀家さんが興味を示して下さいます。日時や会場の関係もあり、少人数での開催ですが、お写経の前に読経をしたり、写し終わったあとは拙僧による解説があったりとなかなか充実した一日を送ることができます。
既に二回の開催を終えましたが、その時にお写経の題材とさせて頂いた経典は浄土宗の開祖法然上人の「一枚起請文」という文章です。
法然上人が、臨終の間際に弟子の源智上人からの依頼にお答えする形でお書きになられた浄土宗の教えのエッセンスが凝縮された御文です。毎日お称えする御遺訓ですが、こうして写経することでより一層南無阿弥陀佛と称えることのありがたさが身にしみます。
そして今月末に第三回目の写経会を開催する運びとなりました。
同じ文章をお書きいただくつもりでいたのですが、毎回参加されるおばあちゃんから「違うお経も書いてみたいなぁ、若さんの説明聞いてみたいなぁ、わしもあんまり先長くないからなぁ」と言われ、「じゃあ何か別のものを考えてみますね!お元気でいてくださいね!」とお答えしました。
さあ、それからお写経のテーマ探しの日々が始まりました。
浄土宗の日常のお勤めで読経するお経に「四誓偈」というものがあります。これならおばあちゃんも毎日読んでらっしゃるし、意味を解説してあげたら喜んで頂けるかもしれないなぁ。
いや、でもあのおばあちゃんはもう少し難易度を上げても大丈夫かも。それなら思い切って「阿弥陀経」はどうだろう?
千八百文字もあるけど大丈夫かしら…逆にこれは僕自身がやりたいな。一番好きなお経だし。でも書き終えるのに半日かかりそうだな。
あれやこれや考えているうちに、思考が良からぬ方向へ。もしかして、写経ってお経でなくていいんじゃないか?例えばビジネスマン必携の「電通鬼十則」はどうだろう。
新入社員にこそ触れて欲しい題材だからお寺を新人研修に使ってもらうなんて発想もありかもしれない!いや、だったらここはやっぱり坂本龍馬の「船中八策」じゃないかしら。
これから一線を退く団塊の世代の方たちにお寺に足を運んで頂くキッカケが「船中八策」なんてなかなかお寺も攻めてくるね〜!
いや待てよ、もはやそんな格言的なものですらなくていいとすれば…
きゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」だって立派な写経の題材になるじゃないか!きゃりーぱみゅぱみゅって真言っぽいし。
うーん、変な方向に行ってしまっているぞ。何を書くか?というこだわりを捨ててしまえば…色即是空空即是色…そうか、やっぱり般若心経か!
恐るべし般若心経。次回はこれで行こうと思います。
記事の終わりに写経会のご案内です。
拙僧がおります奈良のお寺で写経会を開催させていただきます。特に参加資格などございませんのでご興味ある方はご連絡下さい。私のFacebook(@yasuo.matsushima)か、Twitter(@benniekei)までお気軽にメッセージ下さいませ。(満席の場合はご容赦下さい)
日にち:2012年6月30日(土)
時間:午後1時〜3時(途中お茶休憩有り)
場所:安養寺
アクセス:こちらの地図をご覧ください
写経:般若心経
参加資格:どなたでもご参加頂けます
定員:二十名(先着順)
冥加料:二千円(当日受付)
持ち物:日課数珠・お袈裟(お持ちの方)
合掌 松島靖朗拝
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