青山悟展「The Lonely Labourer」、刺繍と映像によるインスタレーション、コンピューターミシンを用いた作品揃う

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《News From Nowhere (Labour day)》2019、シルクスクリーンプリントに刺繍、ドローイング、100×140cm、撮影:宮島径

青山悟展「The Lonely Labourer」が、ミヅマアートギャラリーにて開催中。会期は、11月2日まで。

イギリスの大学でテキスタイル・アートを専攻中、シンガー社製の古いミシンに出会って以来、機械と人間の関わりや、時代によって変化する労働の在り方など、ミシンに纏わる言語を考察しながら刺繍作品を制作している青山悟。

2年ぶりの個展となる本展では、刺繍と映像によるインスタレーションや、新たな試みであるシルクスクリーンに刺繍を施した作品、そして古い工業用ミシンによる制作で知られる作家にとって初の試みであるコンピューターミシンを用いた作品が揃う。

《8HOURS》は19世紀のイギリスの実業家で社会改革者であったロバート・オーウェンによる有名なスローガン「仕事に8時間を、やりたいことに8時間を、休息に8時間を」に着想を得たインスタレーション。そして《News From Nowhere(Labour day)》は、19世紀のニューヨークで行われた「労働者の日」の風景に、近年世界で起こったデモや活動の旗と共に作家自身の活動のスローガンを謳った旗を加え、さらにインターネットから拾ったアートや映画、音楽などのカルチャーを織り込んだ、現代の風刺画と言えるもの。

本展のタイトルでもある《The Lonely Labourer》は、コンピューターミシンが全自動で刺繍する様子を映像に収めた作品。映像のなかで、コンピューターミシンが19世紀アーツアンドクラフツ運動の創始者・社会主義者ウィリアム・モリスの手紙の文面にある「浪費」「個人」「階級」「競争」といった言葉を淡々と刺繍していく。

今回の作品を通して青山は、「急速なテクノロジーの進歩と共に変容していく社会の中で、人間性の在り処、さらに美意識や芸術そのものの在り処は一体どこにあるのか?」という問いを提示するとともに、未来における労働のあり方と、作家本人の制作のこれからについても疑問を投げかける。美しく精巧な刺繍の奥に、風刺とユーモアを内包する青山悟の新作をぜひ堪能したい。

青山悟「The Lonely Labourer」
<会期> 2019年10月2日(水)ー11月2日(水)
<開廊時間> 11:00 – 19:00
<休廊日> 日、月、祝日
<会場> ミヅマアートギャラリー
https://mizuma-art.co.jp/exhibitions/1910_aoyamasatoru_the_lonely_labourer/

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