マンガ『ちはやふる』に学ぶ、「やりたくないこと」に取り組む上で大切なことを教えてくれる言葉――大事なことは全部マンガが教えてくれた
©末次由紀 / 講談社
突然ですが、「マンガ」のあるシーン・ある言葉に、ハッと気づきを与えられたこと、勇気づけられたこと、ありますか?
普通に仕事をしているだけではなかなか気づくことのできなかった考え方など、「マンガから学べた!」ってこと、あると思います。そんな仕事に人生にジンジン効いてくるマンガの1フレーズを、筆者の独断と偏見で選定、解説までしてしまうこのコーナー。
今回は、「競技かるた」を舞台にしたマンガ『ちはやふる』(講談社)より、「やりたくないこと」に取り組む上で大切にしたい言葉をご紹介します。
仕事はさまざまな業務の集合体
どんな仕事がしたいかと聞かれたとき、「人に喜ばれる仕事がしたい」「世界を股にかける仕事がしたい」と大きな絵で仕事を語る人もいれば、「自分の経験を活かせる仕事がしたい」「キャリアアップにつながる仕事がしたい」と自身のキャリアの観点から仕事を語る人もいるでしょう。
しかし、どんな仕事も実際に取り組んでみれば、さまざまな業務の組み合わせでできていて、必ずしもすべてが「やりたいこと」に分類される業務ではないでしょう。でも「やりたくないこと」も仕事のひとつ。しっかりと取り組まなければいけません。
そのことを改めて説いている1シーンがこちら!
“やりたいことを思いっきりやるためには、やりたくないことも思いっきりやんなきゃいけないんだ”
©末次由紀 / 講談社
競技かるたに情熱を燃やす主人公の綾瀬は、とある大会に出場しようとしたところを、部活の顧問に止められてしまいます。理由は日曜日にある大会の次の日が、定期テストの日だったからです。
綾瀬は下から数えて5番目の成績。進路の定まっていない高校生として将来を考えると、顧問としては学業をおろそかにさせるわけにはいかなかったのです。そこで成績が優秀なメンバーを教師役として、成績が不安なメンバーに勉強を教え、テスト対策を行うことになります。
一方、綾瀬の所属するかるた部の部長であり幼馴染の真島は、学年1位の成績をずっと維持していたため、部員で唯一、綾瀬が出られなかった大会に出ることを決めます。真島は「B級」に所属しており、「A級」に昇格するために、大会で優勝する必要があったからです。
大会当日、日曜日にもかかわらず部のテスト対策は行われていましたが、綾瀬は我慢できず、勉強を抜け出し真島の応援に行ってしまいます。
真島の応援に行きたいのは、部の全員同じ。でも、他にやるべきことがあったから、やらなければいけないことがあったから、応援に行きたい気持ちをぐっと抑えていたのに。
大会が終わり、学校に戻ってきた綾瀬。さすがに申し訳ないと思って謝罪を口にした綾瀬に、駒野が伝えた言葉が上記のものです。
仕事の中身がすべて「やりたいこと」であることは、ほとんどない
競技かるたに情熱を燃やす綾瀬にとっては、学校のテストよりも大会を見に行くこと、大会に出ることの方がよほど大切に感じられたことでしょう。でも「やりたいこと」以上に優先される「やらなければならない大切なこと」が存在するのです。
たとえば営業として「圧倒的な成績を残したい!」と思っても、受注活動にばかり時間を割くわけにはいかず、発注・請求処理、数字管理などもやらなければいけません。「美味しいパンを作ってお客さんに喜んでもらいたい!」と思ってパン屋を開業したとしても、パン作り以外にも大切な店舗経営のさまざまな仕事が待っています。
仕事の中身すべてが「やりたいこと」といえる仕事に出会えたらそれはとても素敵なことですが、多くの場合は仕事の中にやりたいこととやりたくないことが混在しているものです。しかし、仕事である以上、やりたくないことだからといってやらないわけにはいきません。
むしろ、やりたくないことでもしっかりとやって初めて、仕事への信頼が高まり、やりたいことをより多くやらせてもらえるようになるのではないでしょうか。
「やりたいこと」を明確に持つのはいいですが、それゆえに「やりたくないこと」がおざなりになってしまうと、気づかない内に「やりたいこと」をするチャンスまで逃す可能性があることは、認識しておくべきでしょう。
「やりたいこと」の時間を増やすためには、「やりたくないこと」に工夫が必要
ではなぜ真島は「やりたいこと」を選ぶことができたのかといえば、それは「やらなければならない大切なこと」をしっかりとやってきたからです。テスト前に慌てて勉強をしなくてもちゃんといい成績が残せるように、競技かるたをしながらも時間をうまく管理して勉強をしてきたからです。
「やりたくないこと」の発生が避けられない以上、考えるべきは、限られた時間の中で、いかに「やりたいこと」に費やす時間を多くできるかということです。
そのためにまず必要なのは「やりたくないこと」の分解です。「やりたくないこと」の業務プロセスを分解した上で、楽しめるポイントはないか、あるいは工夫して、効率化を図って、より早く「やりたくないこと」を終わらせる方法がないかを考えた方が生産的といえるでしょう。
たとえばやりたくないことをやるときは、「○分以内」に終わらせるという目標を決め、クリアできたらさらにそのタイムを縮める、という風に取り組むと、効率化の工夫も進むし、タイムを競うゲームのような感覚も生まれて、作業内容ではなく、早く正確に終わらせることに楽しさを感じられるかもしれません。「やりたくないこと」にこそ、工夫をする必要があるのではないでしょうか。
>>『大事なことは全部マンガが教えてくれた』シリーズ
監修:リクナビネクストジャーナル編集部
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