『ジョン・ウィック:パラベラム』の”寿司屋”に映し出された世界 チャド・スタエルスキ監督とキアヌ・リーブスが込めた「愛するもの」への想い

access_time create folder映画

キアヌ・リーブス演じる殺し屋“”ジョン・ウィックの死闘を描くアクション映画シリーズ『ジョン・ウィック』。その最新作である『ジョン・ウィック:パラベラム』が10月4日(金)に公開される。3作目の『ジョン・ウィック:パラベラム』では、殺し屋ギルド“コンチネンタル”の掟を破り、様々な国や組織の殺し屋から命を狙われる、ジョン・ウィックの死闘が描かれている。

同シリーズは、銃による射撃と近接格闘術をミックスしたジョンの操る“ガン・フー”や、殺し屋ギルド“コンチネンタル”の存在、個性豊かな殺し屋たちが登場する独特のテイストで人気に。1作目、2作目に引き続いてメガホンをとったチャド・スタエルスキ監督は、プロデューサーでもあるキアヌ・リーブスとともに、どのようにシリーズの世界を拡張させてきたのか? 『マトリックス』などのスタントマンとして活躍した、独自の経歴から生まれたアクションシーン秘話や影響を受けた作品群など、単独インタビューでじっくりと語ってもらった。

『ジョン・ウィック』で目指したのは“アニメのリアリティ”

――ジョンのルーツを掘り下げていく物語が興味深かったです。アイデアはいつ頃からあったものなのでしょうか?

私たちは最初に脚本を書くのではなく、まずテーマを決めてからアイデアを出していくようにしています。その段階で、私が大好きなバレエだったり、劇場でのパフォーマンスといったもの、それとキアヌが特に興味を持っていたロシアのジプシーなどが、要素として挙がりました。それと、「ジョン・ウィックは孤児だった」設定がいいんじゃないか、と。1作目からジョン・ウィックがロシアにルーツを持つという背景はある程度出来上がっていたので、そこに今回のアイデアを集約しています。その結果、ジョンの出身を“孤児を集めてパフォーマーとして育てる養成学校のようなところ”にしよう、ということになったんです。

――キアヌさん自身が考えたバックグラウンドも多い?

ええ、とても多いですよ。特にルスカ・ロマ、つまりロシアのジプシーのパートは、ほぼ全部が彼のアイデアです。「孤児院を運営する“ディレクター”がアンジェリカ・ヒューストンだったらいいんじゃないか」といったことも含めて。キアヌはとても協力的な人で、この映画のアイデアの半分くらいは、彼との話から生まれたものなんですよ。

――本作でコンチネンタルの上位組織・ハイテーブル(主席連合)や、各国の個性的な殺し屋も登場して、さらに『ジョン・ウィック』の世界が広がりました。現実とアニメの中間のような、独特なテイストが興味深かったのですが……何を意識して作り上げられたのでしょうか?

私が監督として一番大変だと思っていることは、作品のトーンを決めることです。これを上手く決められず、すべてが台無しになってしまう映画も多い。私が初めて監督した1作目『ジョン・ウィック』でも、やはりトーンを決めるのにとても苦労しました。そんな中で私たちが目指したのは、おっしゃる通り“アニメのリアリティ”です。つまり、「ジョンたち映画の中のキャラクターにとってはリアルだけれど、観客にとってはアニメのように感じる」ものにしたかった。日本のアニメでも、それぞれの作品の中のリアルがありますよね。音楽、照明、カメラの構図、俳優、アクションの振付など、それら全ての要素をコントロールするのはとても大変です。上手くいけば、魔法のようなコンビネーションが生まれるわけですが。あなたにはそれが伝わったようなので、とても嬉しいです。

――なかでも、殺し屋ゼロ(マーク・ダカスコス)が登場する寿司屋のシーンはインパクトがありました。

そうですね。J-POP(きゃりーぱみゅぱみゅの「にんじゃりばんばん」)も流れていますし。私は黒澤明監督や三船敏郎さんの大ファンで、チャンバラ映画も大好きなので、どうしても日本的な要素を入れてしまうんだと思います。それと、日本のアニメが好きということもありますね。

――具体的には、どういった作品がお好きなのでしょう?

『マトリックス』(99年)に参加する前の作品が多いです。ほとんどがVHS時代のものなので……当時のアメリカでは、日本のアニメ作品を探すのはとても大変だったんですよ(笑)。『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(95年)や『AKIRA』(88年)、『アップルシード』(95年)、『ALITA(銃夢)』(93年)、『バンパイアハンターD(吸血鬼ハンター”D”)』(85年)、『Ninja Scroll(獣兵衛忍法帖)』。それと、私のオールタイム・ベストアニメは、『カウボーイビバップ』です。『カウボーイビバップ』はマーシャルアーツ、SF、音楽、編集スタイル、すべてが素晴らしい。構図だけをとっても、どのシーンもとても美しくて、「これが本当の演出なんだ!」と思いましたね。初めて『カウボーイビバップ』を観たときのことは、今でも覚えています。「誰の作品だよ! Fucking insane(マジでヤバイよ)!」って思いましたから(笑)。

――(笑)今回のアクションは、走ったり、馬などに乗ったり、移動しながら戦うシーンが非常に多いですね。どういうコンセプトで作られたのでしょうか?

私たちは「ランニング・チェイス」あるいは「ランニング・ファイト」と呼んでいるのですが……セリフと同じで、アクション映画の中で物語を語るときには、「どこかに行って」「何かをする」ことが必要です。私は映画を観てもらうときには、観客に一緒に「ハァハァ」と息を切らせて欲しいと思っているので、登場人物をいつも移動させるようにしました。くつろいで観るのではなく、アンバランスさを感じて欲しいんです。いいアクション映画は座って観ていても、「うわ!おお!」と観客が巻き込まれるような感覚になるものだと思っています。ジャッキー・チェンの映画を観れば、同じようなことを感じるでしょう。ジョン・ウィックが疲れたら、観客にも同じよう疲れて欲しいし、哀しかったり、途方に暮れていたり、力強く感じたら、同じ気持ちになって欲しい。だから、アクションシーンをたくさん入れるわけです。これが、私たちが演技と観客を繋ぐ方法なんです。アクションの振り付けについては、ダンスから多くを学びました。それはつまり、全てのコレオグラファー(振付師)の仕事は、肉体を通じて「見た人がどう感じるか」を喚起させることである、ということです。

1 2次のページ
access_time create folder映画
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

スマホゲーム タラコたたき
ガジェ通制作ライブ
→ガジェ通制作生放送一覧