「YOU、やっちゃいなよ」に体現!? ジャニー喜多川流の人材育成力とは
7月9日に亡くなったジャニーズ事務所社長・ジャニー喜多川さんのお別れの会が4日営まれました。会場となった東京ドームには、近藤真彦さん、中居正広さん、木村拓哉さん、嵐、KinKi Kidsなど、多くの所属タレントが集結。その国民的かつ、ひとりとして個性が重ならない錚々たる顔ぶれに、あらためてジャニーさんの「才能を見出し、育てる」プロデューサーとしての手腕を感じた人も少なくなかったのではないでしょうか。
「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」、「最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物」、「チャート1位を獲得した歌手を最も多くプロデュースした人物」の3部門でギネスブックに掲載されたジャニーさん。彼を「日本で最も優秀な採用担当者」と評し、その偉大さで構築した”人を成長させる仕組み”について論じたのが本書『ジャニーズは努力が9割』です。著者は18歳でJr.オーディションを受けた生粋の「ジャニヲタ男子」にして、これまでに3冊の就活・キャリア関連の著書がある霜田明寛氏。
霜田氏はジャニーさんの才能発掘において、その人物が”今どうなのか”だけではなく”今後どうなるか”を見抜く、未来を見通す能力に長けていると指摘します。 「僕には20年後の顔が見えるんだよ」と自ら語っていたという、アイドルプロデューサーならではの「成長期の男子のルックス」はもちろん、競争の激しい芸能界で謙虚に努力し続けられる「人間性とやる気」も長期的目線で見極めるというのです。
むしろ、「踊りのうまい下手は関係ない。うまく踊れるなら、レッスンに出る必要がないでしょう。それよりも、人間性。やる気があって、人間的にすばらしければ、誰でもいいんです」というように、ジャニーさんは人物の物事に対する取り組み方を重視しました。本書は、このジャニーさん流の採用を「人事に関わる決定は、真摯さこそ唯一絶対の条件」と言った経営の神様・ドラッカーの説く組織論と重ね合わせます。このような方針のもと集められた”何者でもなかった”少年たちは、自らの頭で考えてそれぞれのやり方で努力し、やがて”特別な何かを成し遂げる”唯一無二のスターになっていくのです。
「ジャニーズの場合は、ジャニーさんが、きっかけを作ってくれて、あとは自分のことは自分で磨いていくというか。だから、ジャニイズムは人の数だけある。(中略)みんなちがっていいし、だからこそバラバラな個性がグループになったらおもしろくなったりもする」(本書p.215より)
こちらは昨年芸能界を引退し、若手ジャニーズJr.の育成やプロデュースを担う株式会社ジャニーズアイランド社長に就任した滝沢秀明さんの言葉。滝沢さんの言うジャニイズムの精神は、今回のお別れの会でもナレーションで引用されたジャニーさんの口癖であり名言である「YOU、やっちゃいなよ」に体現されているかのようです。
人間というのは、こんな風に自分を全面的に受け入れ信頼してくれる一言を投げかけられたら、人生を変えるほどの努力を自ら始めるものなのかもしれません。ジャニーズ好きならずとも、誰かを育成する機会を持った人にもぜひ読んでほしい一冊です。
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