100年経たずに人口半減!? 20年後の日本人はどこに暮らしているのか
現在、日本で急速に進んでいる少子高齢化。厚生労働省の人口動態統計(年間推計)によると、2018年の減少幅は44万8000人となり、ついに40万人台に突入したそうです。今後も減少幅は年を追うごとに拡大し、わずか40年後には現在より3割ほど少ない「7割国家」となり、100年も経たないうちに人口は半減すると予測されるといいます。
このようなスピードとボリュームで人口が減っていき、少子高齢化が進んだ結果、私たちの経済活動や国民生活はどうなってしまうのでしょうか?
この問題に2つのアプローチで挑んでいるのが本書『未来の地図帳』です。第1部では主な大都市を中心に人々が移動する現状を見ていき、第2部では、2015年を起点として2045年までの日本列島がどのように塗り替えられていくかを分析しています。
第1部は「現在の人口減少地図」ですが、例として首都である東京についての箇所を見てみましょう。現時点で、データで見ると東京の一極集中は依然というより、むしろ拡大し続けているといいます。東京圏の学校に進学し、出身地に戻らない若者が少なくないだけでなく、地方から東京圏に仕事を求めて出てくる女性の増大が一極集中の流れを押し上げているそう。東京一極集中は是正されたほうがよいものの、著者の河合雅司氏は「もはや一極集中を前提として人口減少時代を考えなければなるまい」として、「人口減少日本の中において、東京圏を全く違う歩みを辿る「外国」と位置づけ、非東京圏の各エリアは人口が減っても成り立つ仕組みへ変換することで、共存する道を探っていくほうが現実的」だと述べています。
ほかにも、「『西の都』の人口拡大を下支えしているのは、外国人住民」(大阪市)、「名古屋市最大の懸念材料は、リニア新幹線と広すぎる道路」(名古屋圏)、「周辺から人を集めきれず、”磁力”の弱い広島市」(中国)など、現在を生きている人々が日本の国土をどのように動いているのかを知れる興味深い見出しが並んでいます。
第2部「未来の日本ランキング」では、20年後の私たちがどこに暮らしているかが詳しく解説されています。東京は日本の中でも「外国」と位置づけるべきと先述がありましたが、今後、「東京圏という外国」は高齢化で苦しむこととなる模様。2025年には練馬・足立・葛飾・杉並・北区で4人に1人が高齢者となるなど、「ビジネス優先」「若者中心」できた23区内の多くの地区で「街の存り様」が大きく変わってくるようです。
また、地方に目をやると、政令指定都市は極端に明暗が分かれる、県庁所在地・地方都市は不便さの増すエリアが拡大する、などが予想されるそう。また、2045年には出産期の女性が一人になる村が出てくるほか、全国17の町村でも1ケタになるとの予定だったり、小樽、横手、河内長野では赤ちゃんが6割減になったりなど、少子化もますます深刻さを増していることが考えられます。
なんだかネガティブな見通しばかりで明るい未来が思い描けなくなってしまいそうですが、第3部では日本(人)がなすべきことが示されているのが救いです。このままでは少子高齢化と人口減少は進んでいくばかりですが、今からでも取り組み方次第で「未来」は書き換えが可能だと河合氏は本書で述べています。
今の日本の現状がどのようになっていて、今後どうなっていくのか。私たちが生き残るために取るべき対策は何なのか。その手引書となる本書を読んで、皆さんもぜひ考えてみてください。
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