賃貸住宅のオーナーってどんな人?大家さん は身近な存在?

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民間賃貸住宅(1棟全体)を経営しているオーナー、借り手からいうと大家さんの実態について、日本住宅総合センターが調査した。オーナー調査はあまり事例がないので、この結果からどういった大家さんが多いのか、ひも解いていくことにしよう。【今週の住活トピック】

「民間賃貸住宅の供給実態調査」を公表/(公財)日本住宅総合センター

低層で小規模な賃貸住宅、賃貸経営専業ではない個人経営のオーナーが多い

調査対象は、三大都市圏で賃貸住宅(1棟全体)の経営をしているオーナー。このオーナーたちがどういった賃貸住宅を所有しているかを見ていこう。

・住宅の階数は、「1~2階」の低層住宅が最多の58.3%を占め、平均は3.03階。

・住戸数は、最多が「5戸以下」の27.7%、次いで「6~9戸」の33.3%と、全体の6割が9戸以下の小規模な賃貸住宅で占め、平均は11.89戸。

次に、賃貸経営の組織や経営規模を見ていこう。

・回答した賃貸住宅以外に、「他に賃貸住宅を経営している」が 51.7%、「この賃貸住宅のみ」が48.3%。

・経営組織は、「個人経営」が 82.3%、「法人経営」が 17.3%で、個人経営が8割を超える。

82.3%を占める個人経営オーナーの職業を見ると、賃貸経営を専業としているのは23.4%、賃貸経営以外の不動産業をしている人と合わせても、オーナー全体の4分の1にすぎない。最も多いのは一般のサラリーマン(28.4%)で、大半は不動産に関わらない仕事と大家業を兼業していることになる。あなたは、どのような職業(業種)をお持ちですか(出典:日本住宅総合センター「民間賃貸住宅の供給実態調査」)

あなたは、どのような職業(業種)をお持ちですか(個人経営の内訳)(出典:日本住宅総合センター「民間賃貸住宅の供給実態調査」)

賃貸住宅の管理形態で変わる、大家さんとの距離感

さて、賃貸住宅を経営するには、建物や設備の管理も必要だし、入居者の管理、契約の管理、経営の管理なども必要だ。これらをオーナー自身が管理するのが「自主管理」、賃貸住宅管理業者に全部または一部を委託する「委託管理」(調査項目では「管理委託」)。この調査では、これに「一括借り上げによる管理」を加えた三択で、管理形態を聞いている。

その結果は、「管理委託」が 54.7%と最多で、「すべて自主管理」が25.0%、「一括借上げにより管理(サブリース等)」が 20.3%となった。賃貸住宅の管理形態についてお答えください(出典:日本住宅総合センター「民間賃貸住宅の供給実態調査」)

賃貸住宅の管理形態についてお答えください(出典:日本住宅総合センター「民間賃貸住宅の供給実態調査」)

「一括借り上げ」とは、不動産会社がオーナーから建物を一括して賃借し、運営・管理を行う形態をいう。つまり、実質的に賃貸経営をするのは不動産会社ということになる。オーナーから賃借した建物を不動産会社が実際の入居者に転貸(また貸し)することを「サブリース」という。一般的にサブリースでは、サブリース会社からオーナーに支払われる賃料は相場より低額になるが、空室があっても取り決めた賃料が安定して受け取れる形になる。 ただし、賃料は一定期間ごとに見直しをするため、当初の賃料が全期間にわたって保証されるものではない。

では、管理の違いについて、借りる側から見てみよう。

「自主管理の賃貸住宅」では、賃料の支払いから建物の不具合、近隣とのトラブルなどについては大家さんに直接交渉する。どう対応してくれるかは、大家さん個人の対応力がものをいうわけだ。

「委託管理の賃貸住宅」では、委託された範囲については専門の管理業者が対応するので、一定の対応がなされることが多い。管理業者は大家さんに管理の内容を定期的に報告するので、大家さんが状況を把握しているのが基本だが、管理業者にお任せという場合もあるだろう。

「一括借り上げの賃貸住宅」では、大家さんは入居者と全くかかわりをもたない。

このように、管理形態によって入居者と大家さんの距離感はかなり違ってくる。

賃貸住宅を所有するだけで収益が上がるわけではない、大家さんの創意工夫に期待

この調査では、賃貸経営を始めたきっかけも聞いている。

「今後の安定した収入を得るため」(52.7%)、「事業として収益を上げるため」(37.0%)、「資産運用に関心があったため」(28.3%)といった、賃料収入を目的にしているオーナーが多い。一方で、「一括借上げによる管理」に限定してみると、「今後の安定した収入を得るため」(63.9%)、「将来の相続税対策のため」(34.4%)の順になったという。賃貸経営をはじめたきっかけについて、主なものを3つまでお答えください(出典:日本住宅総合センター「民間賃貸住宅の供給実態調査」)

賃貸経営をはじめたきっかけについて、主なものを3つまでお答えください(出典:日本住宅総合センター「民間賃貸住宅の供給実態調査」)

家余りの今は、賃貸住宅さえ所有していれば収益が上がるものではない。老朽化したり、駅から遠かったりする賃貸住宅の場合、空室が続いて賃料を下げざるを得ない、賃料を下げても借り手がいないといったリスクも高くなる。

法人であれば収益が出るように計画的に賃貸経営をしていくだろうが、問題は8割を占める個人オーナーの場合だ。個人経営でも、積極的に魅力的な賃貸住宅にするために創意工夫をしている大家さんもいる一方で、相続などで賃貸住宅を譲り受けたり、相続税対策として不動産会社に勧められたりして、お任せで賃貸経営に深くかかわっていない大家さんもいる。

最近では、大家業をしっかり学ぼうという大家さんも増えている。SUUMOジャーナルの記事でも、「大家の学校」の取り組みを紹介している(→賃貸住宅を楽しい暮らしの舞台に! 「大家の学校」で伝えたいこと【前編】【後編】)。大家さんが創意工夫をしている賃貸住宅の入居者は、満足度も高く長く住む傾向がみられる。

同じ住むなら、暮らしが楽しくなる住宅がよいだろう。賃貸住宅を選ぶときには、立地と広さと賃料だけでなく、管理や大家さんとの距離感も確かめてはいかがだろうか?
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