年4回台湾を旅するプロに聞く、東京で台湾を感じる旅へ
暮らしのエッセイを書いている柳沢小実と申します。旅も好きで、台湾好きが高じて、台湾を紹介する『わたしのすきな台北案内』『わたしのすきな台湾案内』(ともにマイナビ出版)という著書もあります。
ここ何年か、年に4回、計1~2カ月は台湾へ通っています。特に、屋台から高級レストランまで、バリエーション豊富な台湾料理の数々に、とても惹きつけられます。
食を求めてせっせと台湾へ通っていましたが、東京でもとっておきの台湾と出合うことができます。どこの料理も、現地に匹敵するほどのレベルの高さ。胸を張って紹介したい名店ばかりです。今回は、私の行きつけのお店をご案内します。
五反田
台湾の定番朝ごはんを
JR東京駅から山手線で約20分、まずはJR五反田駅に向かいます。
五反田駅から徒歩5分ほどのところにある「東京豆漿生活(トウキョウトウジャンセイカツ)」は、台湾の朝ごはんを体験できる話題のお店。神田「東京豆花工房(トウキョウマメハナコウボウ)」のオーナー・田邊与志久さんが手がけるお店です。
「東京は外食レベルが高いにもかかわらず、朝ごはんのお店が少ないことに気づきました。もともと会社員で、飲食業の経験はありませんでしたが、妻の故郷である台湾の朝ごはん文化を広めたくて、このお店を開きました」と、田邊さん。
鹹豆漿(シェンドウジャン)は、豆乳、干し海老、ザーサイ、ねぎなどが入った豆乳のスープ。ほのかに塩気があり、油條(ヨウティアオ:揚げパン)やお饅頭と一緒にいただきます。黒酢が入っていて、混ぜると自然におぼろ豆腐のように固まります。軽くてヘルシーなので、食べ歩きのスタートにもぴったり。こちらのお店では、毎日10キロの大豆を仕込んでいるそうです。
鹹豆漿と共に食べたい蘿蔔絲酥餅(ルゥオボスーソービン)は、パイ生地の中に細切りの大根がいっぱい詰まっています。台湾出身の職人さんが毎日夜中から朝にかけて一生懸命作っているそうで、お店に行った11時頃にはほぼ売り切れでした。
鹹豆漿があまりに美味しかったので、追加でもう一品、花生湯(ホワシェンタン)をオーダー。花生湯は、さらっとしたピーナッツのお汁粉です。寒い冬の日などは特に、無性に食べたくなります。
荻窪
台湾や中国の雑貨にときめく
JR五反田駅から再び山手線に乗り、JR新宿駅で中央線に乗り換えて約10分のJR荻窪駅へ。駅から徒歩15分ほどの「ビルカーベ」へ向かいます。
台湾や中国などアジア各国の雑貨をはじめ、ロシア・東欧雑貨なども取り扱うお店で、実店舗は月に数回だけオープンし、たまに食のイベントをすることも。ネットショップもやっています。
店内に並ぶのは、食器やホーロー雑貨、デッドストックのプリント生地、紙袋や包み紙など、現地へ行っても見つけられないようなレアなものばかり。毎回、オープンするのを楽しみにしているお店です。
台湾の有名メーカー・大同磁器の花柄の器も並んでいます。かつては食堂などで使われていましたが、今は姿を消しつつあり、現地でもかなり手に入りにくくなっているのです。
これらの雑貨は予想外の色使いや柄で、固定概念をひらりと飛び越えて、軽やかに、新たな価値観を見せてくれます。雑貨好きの胸をずきゅんと撃ち抜く心憎いセレクトで、絶対に手ぶらでは帰れません。洋楽のレコードもあるので、音楽好きにもオススメですよ。
高円寺
お土産に、しっとりきめ細かなカステラを
JR荻窪駅から再び中央線に乗って約4分、高円寺駅で途中下車し、徒歩3分ほど。お土産に「新カステラ」を買いにいきます。台北近郊、淡水名物の厚くてふわふわなカステラをベースに、日本人の口に合うよう、さらにきめ細かくしっとりとした食感にしたものです。
オランダ由来のカステラとは違って、スペインから台湾を経て入ってきたカステラは、焼きたてがとろけるようにやわらかい。冷やしたり、トースターで焼いたり、フレンチトースト風にしたり、アレンジしても美味しいとのこと。
「プレーン」「プレーンの生クリーム入り」「月限定カステラ」があり、中でもプレーンの日持ちは3日間のため、お土産にオススメです。ちなみに、6月の限定カステラはバナナカステラだそう。
新宿
現地の人も太鼓判の台湾スイーツ
高円寺駅から中央線でJR新宿駅へ戻り、徒歩3分ほど。中央東口を出てすぐにある、台湾デザートのお店「台湾甜商店(タイワンテンショウテン)」でひと休み。タピオカドリンクやデザートが大流行中ですが、せっかくならば台湾の人たちも太鼓判を押す店に行ってほしい。豆花(トーファー)やタピオカドリンク、日本ではなかなか食べられない仙草ゼリー(センソウゼリー)も食べてみてください。
美容や健康に効果があるといわれる仙草ゼリーは、体の外に熱を排出してくれるため、特に暑い季節に食べるのがオススメ。冬はとろとろの温かい仙草ゼリーで。
トッピングのおススメは、台湾人が大大大好きなうす紫のお芋、タロ芋。ちなみに、このお店の芋圓(ユイユエン:芋団子)はとびきり美味しいです。店内で食べるには多少並びますが、テイクアウトならすぐに買えますよ。
新宿
台湾料理で舌鼓
舌の肥えた台湾激リピーターの友人に教えてもらった、新宿「西門食房(シーメンショクボウ)」。新宿駅東口から徒歩10分ほど。
ここは、台湾からシェフを招いた台湾料理専門店。料理と点心、どちらも本格的で、味にうるさい台湾マニアの間でも高評価なお店です。日本人の味覚に合うあっさりした味付けで、油も控えめなので、女性も食べやすいですよ。
奥:海鮮盛り合わせ(ふかひれ餃子、蟹焼売、海老餃子、翡翠餃子)、手前:台湾唐揚げ
烏賊とセロリのあっさり炒め
一皿ずつの量が多すぎず、軽食的なメニューも充実しているため、しっかりめから軽めまで、おなかのすき具合によって調節できます。
魯肉飯(ルーローハン)や鶏の唐揚げ、大根餅、点心やお粥など、台湾らしいメニューがそろいます。夜は混みがちなので、予約がベターです。
青山一丁目駅
台湾音楽に出会う
おなかがいっぱいになったら、新宿駅から都営大江戸線で約7分の青山一丁目駅へ移動しましょう(※)。駅から徒歩15分ほどの「青山 月見ル君想フ」は、日本とアジアの音楽シーンを橋渡ししている、寺尾ブッタさんが運営するライブハウス。台湾やアジア各国のバンドもしばしば来日するため、耳の早いインディーズ好きが夜な夜な集っています。
※編集部注:「青山 月見ル君想フ」の最寄り駅は外苑前駅です。
この日は台湾のギターポップバンドDSPSと、日本の人気インディーズバンド・シャムキャッツが対バンでした。これまでにも月見ルを通じて、たくさんの素晴らしいバンドと出合えたため、ここのブッキングなら間違いないはず! と、信頼しています。
ライブのあとは、徒歩約5分の外苑前駅から東京メトロ銀座線で約4分のJR渋谷駅へ、さらに山手線で約7分のJR五反田駅へ向かい、ホテル泊。明日に備えます。
京成曳舟駅
日本が誇るルーローハンの名店へ
2日目は、スカイツリー周辺の散策からスタートします。JR五反田駅から都営浅草線で約30分、押上(東京スカイツリー前)駅へ。
午前中はスカイツリーをゆっくり観光し、お昼は京成押上線で一駅隣の京成曳舟駅へ移動し、徒歩約10分。週1回、日曜日だけオープンする「帆帆魯肉飯(ファンファンルーローファン)」へ、魯肉飯を食べにいきましょう。
ここの魯肉飯は、個人的には台湾で食べたどの魯肉飯よりも、好みの味です。油っぽすぎたり味が濃すぎたりすることもなく、本当にちょうどいい塩梅。付け合わせの副菜は週替わりで、この日は泡菜(パオツァイ:キャベツや人参の漬物)。酸味と甘みのバランスが完璧で、いつも一気に食べてしまいます。
お昼にお店で食べて、さらにお弁当にして持ち帰りたいくらい好き。同じく週替わりのスープも丁寧に作られているので、こちらもぜひセットで頼んでくださいね。
東京のレストランのレベルは世界屈指で、しかも他の国と比べて外食の価格は高くないのもうれしい。
食の世界旅行ができる美食の街・東京で、ぜひ台湾を感じてみてくださいね。
東京駅
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