失敗なし!トウガラシの栽培・育て方|プロの栽培術

失敗なし!トウガラシの栽培・育て方|プロの栽培術

トウガラシ(ナス科)の栽培・育て方をご紹介。植えつけから、支柱立て、収穫、追肥までプロに教えてもらいました。トウガラシのプランターでの育て方もあり。【家庭菜園の基本シリーズ】
加藤正明さん

練馬区の農業体験農園「百匁の里」園主。 NHK Eテレ「趣味の園芸 やさいの時間」では、栽培管理や講師を務める。著書に『甘やかさない栽培法で野菜の力を引き出す 加藤流 絶品野菜づくり』(万来舎)がある。

トウガラシを栽培する前に知っておくべきこと

世界三大香辛料の一つとされるトウガラシ。

「シシトウ」や「万願寺トウガラシ」「伏見甘長」など辛みのない甘トウガラシ(sweet pepper)と、「鷹の爪」「ハバネロ」など辛みのある品種(chili pepper)に大別されます。

どちらも同じように育てられますが、甘トウガラシは実が緑のうちに若どり収穫するのに対し、辛みのあるトウガラシは若どりしても、赤く完熟してから収穫してもよいという違いがあります。

株が大きく育つので、トマトやキュウリより株間を広くとって植えつけを。株間が狭いと日当たりや風通しが悪くなり、アブラムシなどの害虫が発生しやすくなります。生育初期に被害を受けるとうまく育たなくなるため、薬剤なども併用しながら予防的に防除しましょう。

また、栽培中は次々に実がつくので、定期的な追肥で肥料切れさせないことも大切です。さらに、「万願寺トウガラシ」のように実が大きく育つ品種の場合は、蕾や小さな実のうちに1/3ほど摘み取り、育てる実を限定すると、株が疲れずに長く収穫を楽しめますよ。一つ一つの実が充実し、しっかり育つ効果もあります。

株が大きく育つと枝葉が混み合ってくるため、適宜透かして株の負担を減らしましょう。特に、株の内側に向かって伸びる枝葉を整理すると日当たりと風通しがよくなり、生育もよくなります。
【トウガラシ栽培データ】

ナス科 ●畝のサイズ(※長さは自由)畝幅:60〜70cm、畝の高さ:5〜10cm、株の間隔:70〜80cm ●適正pH:6.0~6.5 ●土のpH調整(植えつけの2〜3週間前) 苔土石灰:100〜150g/㎡ ●元肥(1〜2週間前。溝施肥)牛ふん堆肥:0.5ℓ/㎡、有機配合肥料:(N-P-K=3-9-10程度):40~〜50g/m²、熔成リン肥:50g/m²、米ぬか:0.2l/m² ●気をつけたい病害虫:モザイク病、アブラムシ、オオタバコガなど

 

トウガラシの栽培カレンダー

暑さに強い一方で寒さには弱いため、十分に暖かくなってから植えましょう

※寒冷地
植えつけ:5月下旬〜6月下旬 
収穫:7月下旬〜10月上旬

※暖地
植えつけ:4月中旬〜5月下旬
収穫:6月中旬〜10月下旬

※寒冷地・・・北海道、東北、新潟県、富山県、石川県、高冷地。
※中間地・・・福井県、関東甲信、東海、近畿、中国、九州北部。
※暖地・・・四国、九州南部、沖縄県。

 

【4月下旬〜6月上旬】植えつけと仮支柱立て

がっちりとして元気な苗を選び、黒マルチ(ポリフィルムのシート)を張った畝に、70〜80cm間隔で植えつけ。

仮支柱として長さ50〜60cmの竹ひごを2本、茎を挟むように交差させて土に差します。

【Point】植えつけ後、約1ヵ月は防虫ネットで株を守る

幼い苗を強風や害虫から守ると、根が張って生育がよくなります。

畝の長い辺に、70〜80cm間隔でトンネル用の支柱を差してアーチ状の骨組みを作り、防虫ネットで覆いましょう。

害虫対策は植えつけ時に殺虫剤を土に混ぜ、予防的に対処するのもオススメ。

 

【5月下旬~7月上旬】本支柱を立てて追肥

最初の実がついたら防虫ネットのトンネルを外し、支柱を立てて茎をひもで誘引。

同時に、マルチのすそをめくって化成肥料(N-P-K=8-8-8)40〜50g/m²を追肥、土と軽く混ぜ合わせてマルチのすそを元に戻します。

 

【最初の実より下のわき芽は全て摘む】

支柱立て・追肥と同じタイミングで、最初の実より下のわき芽を全て摘み取る「わき芽かき」を行います。養分の分散を防ぎ、その後の実つきをよくする効果があります。

わき芽は手で簡単に摘み取れますよ。

 

【6月下旬~10月下旬】収穫・追肥(2回目以降)・整枝

「万願寺トウガラシ」などのように実が大きくなる品種は、蕾か小さな実のうちに1/3ほど摘み取ります。

花や実の数が多いと養分が分散してしまい、一つ一つの実が大きく育ちません。もったいないと思わずに、適宜摘みましょう。

 

【通路の土を耕して根の張りをよくする】
栽培を始めてから時間がたつと、通路の土が踏み固められてしまいます。

2〜3週間に1回、スコップで根が張る先を深さ20〜30cmのところまで掘り返すと、水はけと通気性が改善され、根が張って生育がよくなりますよ。

 

【追肥と整枝で長く楽しむ】

最初の実は、ごく小さいうちに収穫を兼ねて摘みましょう。

以降は、その品種特有のサイズになったら、ハサミで切ります。2〜3週間に1回追肥し、混み合った枝葉を切って整枝すると、秋まで収穫できます。

 

【Column】トウガラシのプランター栽培のポイントは?


株が大きく育つため、直径・深さともに30cm以上、要領15ℓ以上のプランターに1株植えましょう。

植えつけ後、約1ヶ月間は強風が当たらない場所で育てると、根がしっかり張ります。

追肥は植えつけの1ヶ月後から2〜3週間に1回、化学肥料10gをまきます。追肥のたびに、4〜5cm間隔で深さ20cmほどのところまで割り箸を差し込んで土をほぐすと、水はけと通気性がよくなります。

 

【トウガラシレシピ】三升漬

米麹+しょうゆで作るピリ辛の発酵調味料レシピをご紹介!

湯豆腐などに添えるほか、ご飯や納豆にかけてもおいしいですよ。

 

【材料】(作りやすい分量)

青トウガラシ(辛い品種)・・・50g

米麹(乾燥)・・50g

しょうゆ・・・1/2カップ

※生麹を使用する場合は、しょうゆを半量にする。

 

【作り方】

青トウガラシは、へたを取ってタネごと小口切りにする。密閉瓶は、殺菌消毒しておく。

ボウルに材料を全て入れ、まんべんなく混ぜる。密閉瓶に入れ、ふたをして、直射日光の当たらない涼しい場所に置く。ときどき、ふたをしたまま瓶を振って混ぜる。

3ヵ月〜半年後、麹の粒がなくなってトロリとしたら完成。

 

トウガラシの栽培方法・育て方はいかがでしたか?
栽培方法をマスターして、たくさんトウガラシを収穫してくださいね!

 

写真・万来舎・丸山滋/八木竜馬
イラスト/小春あや
構成、文、料理写真、料理監修/北村文枝

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